書店員さん おすすめ本コラム

想い合う家族

ブックマルシェ津田沼店(千葉) 渡邉森夫さん

 世の中には色々な形をした家族がある。ひと括りにはできないが、そのいくつかを紹介したい。テーマは「押し付けないけど想い合う家族」。

 

恐怖を楽しむホラー、強く生きたいと思わされる怪談

丸善ラゾーナ川崎店(神奈川) 山田佳世子さん

 

 怖い話が好きだ。ホラー小説とか映画とか。テレビで心霊特番とか本当にあった怖い話とか放送されれば、録画してまで観てしまう。

 もちろん普通に文芸書も大好きだが、好きなホラー作家さんの新刊が出ると、読んでいた他の本を一旦置いてそっちを読みたくなってしまう。“怖いもの見たさ”というのもあるし、現実とかけ離れた物語を読むことで、ある種逃避のような感覚になるのも、なんかいいのだ。

飲みながら読みたいおつまみ小説

紀伊國屋書店天神イムズ店(福岡) 嘉村佳奈さん

 

 お酒と本とおつまみ、私の三種の神器です。本もおつまみも甘いだけじゃなくしょっぱいところもある、甘さとしょっぱさがお互いを引き立てるようなものがぐいぐいお酒が進みます(笑)。今日はシンプルなのに読み応えもある、飲みながら読むのにぴったりな小説とお酒とおつまみを3つ、ご紹介します。

〈新本格ミステリ〉三十周年を機に振り替える極私的三大傑作

ときわ書房本店(千葉) 宇田川拓也さん

 二〇一七年は、いわゆる〈新本格ミステリ〉の嚆矢である、綾辻行人『十角館の殺人』が刊行されてから、ちょうど三十年。中学・高校時代に、続々とデビューする若手新人作家を中心とした〈新本格〉ブームの直撃を受けた私から、いまなおとくに印象深い三作をご紹介したい。

オフビートな小説3選

正文館書店知立八ツ田店(愛知) 清水和子さん

 アウトローやオフビートな小説は、えげつない描写や目を背けたくなる場面が多々ある。しかしそれは紛れもなくこの世界で起きている出来事であり事実であり、実は日常なのだと思う。そのような描写でしか表すことの出来ない人間の造形や世界の在り方、そのオフビート感覚が顔を出した瞬間、それを目撃した瞬間を読書の歓びと言うのだと思う。エンターテインメントとして成り立っているならば尚更素晴らしい!

ちゃんと「ありがとう」の気持ちを伝えたくなる本

ブックマルシェ津田沼店(千葉) 渡邉森夫さん

本年度本屋大賞第二位の森絵都さん著『みかづき』。昭和三十年代から現在に至るまでの教育業界の物語、というと堅い印象になるが、人間味溢れる家族のお話。時代とともに塾経営のやり方も変化していく。その時その時の考え方、感情をぶつけ合う家族は、知らぬ間に無数の傷ができ、やがて教育という言葉だけが頼りの細い糸のようになってしまう。子供、孫の世代になるにつれその教育への熱は、再び家族の繋がりを強くさせ、より深い愛情へと流れていく。この作品の生命力は凄まじい。家族だから何をやってもよいということはないが、ある程度許し、許される関係性がどの家庭にもあることだろう。言えなくなった、もしくは言いにくくなった『ありがとう』を読後に伝えてほしい。
学生時代にクラスの中でちょっと変わった子がいた、という記憶は概ねどの人にも当てはまることではないだろうか。神田茜さん著『ぼくの守る星』の主人公の翔くんは『ディスレクシア』という、読み書きが難しい障害を持っている。『障害』というとネガティブなイメージが先行するが、本人はとても明るく、親目線の書き方になってしまうようだが、とても良い子。障害という言葉の持つ重さを翔くんの明るさと優しさが温かさに変えてくれる。そして一冊読み終えると翔くんの成長以上に読んでいる自分のこころが成長していることに気付く。自分に厳しい人でも誉めて欲しい時はある。そんな時、自分に『大丈夫だよ』と背中を押してくれる作品だ。そして少しだけ周りを見る目も優しくなれる気がしてくる。
子どもの頃からずっと大切にしているものはありますか? 自分だけにわかる宝物のようなもの。物でなくても場所だったり、行動という人もいるかもしれない。ヒグチユウコさん著『せかいいちのねこ』は男の子に大事にされているねこのぬいぐるみ、ニャンコが主人公のお話。ある日ニャンコは大好きな男の子とずっと一緒にいたいと願い、本物の猫になれるように旅に出る。旅の最後にニャンコは気付く。本物の猫よりもぬいぐるみのねこでいることの方が、ずっと長く大好きな男の子といられることに。子どもだけでなく大人にも読んでほしい作品。私の中でプレゼントしたい本第一位。