◎編集者コラム◎

『小説 響 -HIBIKI-』豊田美加 原作/柳本光晴 脚本/西田征史


画像 響 小学館文庫


「柳本先生は圧倒的天才を描きたいということが、『響』のはじまりなんだとおっしゃっていました。ただ天才としてそこにあるだけということを見せたいと」

 9月14日に公開予定の映画『響 -HIBIKI-』の原作であり、現在ビッグコミックスペリオールで連載中の「響~小説家になる方法~」(柳本光晴・作)の現担当編集者・一宮大介さんはこう語る。2014年から連載が始まり、2017年にはマンガ大賞2017大賞を受賞、累計160万部を売り上げる人気コミックがついに実写映画化されるのだ。

 主人公の15歳天才女子高生小説家・鮎喰響(あくいひびき)を演じるのは、欅坂46の不動のセンターとして活躍中の平手友梨奈。
 今回映画初出演にして初主演という話題性十分のキャスティング。
「スケジュールの関係もあり、撮影に入るまでがとても大変だったそうです」
 と一宮さんも当時を思い出す。

 響の才能を見出す若手女性編集者・花井ふみ役に北川景子、芥川賞を目指す青年作家に小栗旬という話題のキャストがずらり。さらに監督は『君の膵臓をたべたい』の月川翔。今一番勢いのある監督がメガホンを握る。その映画脚本を元にノベライズの女王の異名を取る豊田美加さんがノベライズ。映画とも原作コミックとも違うオリジナル作品に仕上がった。

 圧倒的かつ絶対的な才能を持って文学界に突如現れた一人の天才少女は世間の常識と慣習に囚われず、自分の信じる生き方を絶対曲げない。その行動は、過去の栄光にすがる有名作家、スクープの欲だけで動く記者、生きることに挫折した売れない小説家など、さまざまな人に計り知れない影響を与え、彼らの価値観をも変えていく──。

 得も言われぬ閉塞感を感じながら、もやもやした日常を生きている現代人にとって、天才の存在はある種のカタルシスを呼び起こす。
 将棋界の藤井聡太、野球界の大谷翔平……時代の顔となる圧倒的スターを常に大衆は渇望し、それに呼応するかのように、新たな才能が降臨し、時代を創りかえていく。

「響」人気は、鮎喰響という「奇蹟」を渇望する大衆が生み出した幻であると同時に現実の文芸界における新たなるスター出現の予兆なのかもしれない。

──『小説 響 -HIBIKI-』担当者より

画像 響 小学館文庫