◎編集者コラム◎

『世界が記憶であふれる前に』岡本貴也


世界が記憶であふれる前に


2004年に大ヒットした韓流映画「私の頭の中の消しゴム」を憶えていますか?
若くして記憶を失っていく妻と彼女を支える夫の愛に、当時、日本中が涙しました。

その映画、実は日本のドラマが原案なのです。
そして、朗読劇としていまなお再演され続けています。

そのドラマをつくったプロデューサーと朗読劇の演出と脚本を手掛ける著者の岡本貴也さんと私で、彼のデビュー作『彼女との上手な分かれ方』を刊行した後、次作をどうするか、アイディアを出し合う会議をしました。

あーでもないこーでもないと馬鹿話を挟みつつ二時間が経過しようとしたその時に、プロデューサーから「私の頭の中の消しゴム」のヒロインとは正反対に、なんでも忘れない能力をもったヒロインの話はどうだろうか? という案が出ました。

面白い。私だったらこんなことをする。俺なら、こうだ! タイトルも『超記憶少女』といった戦隊ものチックにするか! 

などなど盛り上がって、一気にストーリーの骨格は出来上がったのですが……。

そこから、書いては直しを繰り返し、
本として出すまでに三年もかかってしまいました。
その間のやりとりは"忘れられません"(笑)。

忘れない、ということは受験やテストなどには便利な能力かもしれないけれど、
辛いことや悲しいことも忘れられないとしたら、どうでしょうか?

そんなことを想像しつつ、
読んでいただけたらうれしいです。

超記憶をもったが故に、過去に捕らわれ、未来に絶望したヒロインと、
前向きだけが取り柄のまっすぐな青年が繰り広げる感動の冒険物語です。

──『世界が記憶であふれる前に』担当者より
 
syoei