武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第12回「天職と天敵と締め切り」

武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第4回「思い出の京の味」
作家と締め切りの
切っても切れない関係。
上手な付き合い方とは?

 恋とはどんなものかしら。噂によると、心臓のドキドキが抑えられず、頭からそれが離れない。寝ても覚めてもそれのことばかり考えてしまって、やらなきゃいけないことまで手につかない。息苦しさが募っていって、だけどそれがあることにホッとしている自分もいる。

 こういう存在に私は心当たりがある。ずばり、「締め切り」だ!

 

 そんな冗談はさておき、私は今、現在進行形で複数の締め切りに追われている。締め切りが迫ってくる~! 嫌だ~! と暴れ回りたいところだが、私も大人なので、全然気にしてませんよ~という顔を外ではしている。それにしても、締め切りとはなんて恐ろしい響きだろう。英語だとdeadlineである。デッド!! なんて物々しい単語がくっついてるんだ。こんなもん、大人が怖がるのも当然に決まってる。

 今月は特に仕事がむちゃくちゃでいろんな締め切りがいっぺんにやってきてしまったのだけれど、作家と締め切りは切っても切れない関係なので、今回は締め切りについて書いてみようかなと思う。自分の仕事論みたいなものを語るのはどこか照れくさいが、もしこれを読んでいる作家志望の人がいたらちょっとは参考になるかもしれないし、全くならないかもしれない。

 

 作家デビューしてすぐの頃は、締め切りというものに憧れていた。散々情けないことを書いたが、そもそも締め切りがあるというのはとてもありがたい話だ。売れてない頃には、締め切りなんてものは存在してなかった。無名の作家の原稿なんて誰も待ってないし、そもそも書き終えた原稿が本として形になるかも分からない。「書き終えたら送ってくださいね~、いつでもいいですよ~」というのが新人作家に対するよくあるパターンじゃないかと思う。私がデビューしたのは2013年で今から十年近く前のことだから、状況は変わっているかもしれないけれど。

 


「響け!ユーフォニアム」を語る

*武田綾乃の新刊情報*
\第42回吉川英治文学新人賞受賞/
愛されなくても別に『愛されなくても別に』
(講談社)

 
どうぞ愛をお叫びください『どうぞ愛をお叫びください』
(新潮社)

刊行記念インタビューはこちら
 

「おはようおかえり 京は猫日和」アーカイヴ

武田綾乃(たけだ・あやの)

1992年、京都府生まれ。2013年、第8回日本ラブストーリー大賞隠し玉作品「今日、きみと息をする。」(宝島社文庫)でデビュー。2作目となる「響け!ユーフォニアム」シリーズが累計159万部の大ヒットとなる。2021年『愛されなくても別に』で第42回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に『石黒くんに春は来ない』『青い春を数えて』『その日、朱音は空を飛んだ』『君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部』『どうぞ愛をお叫びください』などがある。

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