武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第14回「フラグの恩返し」

武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第4回「思い出の京の味」
武田さん原作の漫画連載が
スタート。実は幼い頃から、
思い描いていた夢があって……。

 2021年の6月からウルトラジャンプで『花は咲く、修羅の如く』という漫画連載が始まった。放送部を題材にしたお話で、原作担当が私、漫画担当がむっしゅさんだ。

「漫画を描きませんか」という依頼が届いた時、正直に言うとかなりテンションが上がった。小学生の頃は漫画の原作者にもなりたいと思っていたからだ。大学生になり、デビューが決まり、そのまま小説家という道を進んできたのだけれど、こんなところで幼い頃の夢と自分の仕事が交差することってあるんだ! と驚いた。作家って本当に自由度の高い職業だ。

 

 小学生の頃に私が好きな漫画は何だっただろう。少年ジャンプだったら『ONE PIECE』『NARUTO -ナルト-』『HUNTER×HUNTER』『シャーマンキング』『BLEACH』『アイシールド21』なんかを読んでいた。あとは母親の影響で『ガラスの仮面』や『ポーの一族』、『シャカリキ!』『め組の大吾』を何度も読み返していた記憶がある。

 家にはとにかく漫画があったのだけれど、それだけでは小学生の私が漫画原作者になりたいと思うことはなかっただろう。漫画を作るということに関しては一つ、印象的な思い出がある。

 

 小学生の頃、Yちゃんという友達がいた。とにかく絵が上手くて、休み時間や授業時間中に自由帳に絵を描いていた。優しくて素敵な女の子で、幼い私はとにかくこのYちゃんのことが好きだった。

 私の通う小学校では当時、校則で漫画の持ち込みが禁止されていた。するとYちゃんは「持ち込むのがダメなら描けばいいんだ!」と自分で漫画を描いたのだ。Yちゃんがページを描き進める度に、私は友人たちと共にそのノートを回し読みしていた。


「響け!ユーフォニアム」を語る

*武田綾乃の新刊情報*
\第42回吉川英治文学新人賞受賞/
愛されなくても別に『愛されなくても別に』
(講談社)

 
どうぞ愛をお叫びください『どうぞ愛をお叫びください』
(新潮社)

刊行記念インタビューはこちら
 

「おはようおかえり 京は猫日和」アーカイヴ

武田綾乃(たけだ・あやの)

1992年、京都府生まれ。2013年、第8回日本ラブストーリー大賞隠し玉作品「今日、きみと息をする。」(宝島社文庫)でデビュー。2作目となる「響け!ユーフォニアム」シリーズが累計159万部の大ヒットとなる。2021年『愛されなくても別に』で第42回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に『石黒くんに春は来ない』『青い春を数えて』『その日、朱音は空を飛んだ』『君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部』『どうぞ愛をお叫びください』などがある。

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