武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第5回「創作アイデンティティ」

武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第4回「思い出の京の味」
リアルタイムでアニメを見たのは、
『響け!ユーフォニアム』が初。
そんな著者が影響を受けたアニメって!?

 大学生の時に美術サークルを選んだのは、人数がほどほどに多くて、活動もほどほどにあって、尚且つ趣味が合いそうな人間が多いからだった。サークルでは定期的に展覧会を開いたり、合宿などのイベントがあったり、なんやかんやで毎月飲み会をしたりと非常に大学生らしい生活を送った。小学校・中学校・高校・大学で一番楽しかったのはいつですかと聞かれたら、即座に大学生活と答える。私の体感としては、大人になればなるほど人生は楽しく生きやすい。強制的に何かの枠に押し込められる機会が減るからだ。あと、シンプルに私は集団生活に向いていない。

 小・中・高時代の自分の娯楽というのは、六割が小説、三割が漫画、一割がゲームぐらいの配分だった。今ほどストリーミングサービスが普及していなかったので映画はあまり見なかったし、ドラマやアニメも見る方じゃなかった。後者をあまり見ない理由は、毎週同じ時間に続き物を見るという習慣が全く根付かないからだった。今はネットサービスで色んなコンテンツに触れられるけれど、それでもやっぱり映画ばかり見てしまう。二時間くらいできちんと起承転結が収まるから性に合っているのだろう。

 そういうわけで、私とアニメの本格的な出会いはかなり遅い。今だから正直に言うと、リアルタイムで深夜アニメを見たのは『響け!ユーフォニアム』が初めてだった。それまでは録画したものを一気に見るということが多かった。自分の書いた小説がアニメ化するというのは本当に衝撃的な体験で、毎週テレビの前に座って待機し、久美子や麗奈がやり取りする姿を眺めていた。家にあるDVDケースを見る度に、やっぱりアレは夢だったんじゃないかなと今でも思ったりする。

 

 そんな学生時代の私が影響を受けたアニメはいくつかあって、特に2011年に放送された『輪るピングドラム』は一番好きなアニメだ。幾原邦彦監督が手掛けた作品で、様々な要素がミックスされた映像表現に圧倒された。隠喩の使い方の巧みさに興奮したし、小説ではできない視覚体験に憧れた。……という話をサークルの先輩にしたら、「じゃあ『少女革命ウテナ』を見なきゃ!」と強引に鑑賞会がセッティングされた。美術サークルの女たちは自分が好きなものを布教することに余念がないのだった。


「響け!ユーフォニアム」を語る

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「おはようおかえり 京は猫日和」アーカイヴ

武田綾乃(たけだ・あやの)

1992年、京都府生まれ。2013年、第8回日本ラブストーリー大賞隠し玉作品「今日、きみと息をする。」(宝島社文庫)でデビュー。2作目となる「響け!ユーフォニアム」シリーズが累計159万部の大ヒットとなる。他の著書に『石黒くんに春は来ない』『青い春を数えて』『その日、朱音は空を飛んだ』『君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部』がある。

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本の妖精 夫久山徳三郎 Book.75