武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第7回「バタービールと解釈違い」

武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第4回「思い出の京の味」
小さい頃に思い描いた憧れの世界。
「ハリー・ポッター」に登場する
謎の飲み物を口にしてみると…!?

 子供の頃、バタービールを飲んでみたかった。バタービールとは「ハリー・ポッター」に登場する飲み物で、映画の中ではハーマイオニーが口元に泡でひげを作っていた。ビールジョッキに並々とつがれた温かそうな謎の飲み物! 幼い私はその味が知りたくてたまらなかった。

 小学生だった私にとって、魔法の世界は空想の中でのみ遊びに行ける憧れの場所だった。

 グリフィンドール、スリザリン、レイブンクロー、ハッフルパフ。もしも自分がホグワーツに入学するならどの寮に入るだろうか、と当時は真剣に悩んでいた。ハリー・ポッターを知っている人なら一度は考えたことがあるだろう。私はいまでもこっそり考える。

 最近は同世代で活躍する人と話す機会が増えたせいか、共通の話題としてハリー・ポッターを挙げることが増えた。なので今回はハリー・ポッターにまつわる思い出を書いていこうと思う。

 

「ハリー・ポッター」について一応説明すると、魔法世界を舞台としたファンタジー小説だ。ホグワーツは名門の魔法学校で、魔法使いの資質がある子供たちが入学を許される。ホグワーツには四つの寮があり、入学時に組分け帽子によってどの寮に入るか決められるのだ。

 主人公であるハリー、ハーマイオニーやロンといった面々が所属しているのは勇気と騎士道精神を持つグリフィンドール。勇敢と無謀は紙一重、主人公気質の生徒が集まる寮だ。スリザリンは野心的で狡猾、成果主義なきらいがあり、ハリーと揉めがちなマルフォイがここに所属していた。ハリー・ポッター内でフィーチャーされるのは大抵この二寮で、レイブンクローとハッフルパフはちょっとだけ影が薄い。レイブンクローは学習意欲に溢れ、発想が独創的。ハッフルパフは勤勉で友好的、義理堅く善良な精神を持つ。

 ちなみに、私は入るなら絶対にレイブンクローがいいと思っていた。次点でハッフルパフだった。小学生ながら、グリフィンドールやスリザリンの人間とはウマが合わなさそうだと感じていた。

 一年間の締めくくりの寮対抗杯の結果を聞いた時、私なら絶対に「アレ、先生の贔屓入ってるよね」と談話室で愚痴ってしまう。その時に一番ちょうどいい塩梅で愚痴に付き合ってくれるのがレイブンクローの生徒なんじゃないかと思う。愚痴というのは互いの温度感と相性が重要だ。グリフィンドールは過激だろうし、スリザリンは陰湿になりすぎるし、ハッフルパフだと温厚すぎる。まぁ、これらは小学生時の妄想なので、ホグワーツの実態とはかけ離れているかもしれないけれど。


「響け!ユーフォニアム」を語る

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「おはようおかえり 京は猫日和」アーカイヴ

武田綾乃(たけだ・あやの)

1992年、京都府生まれ。2013年、第8回日本ラブストーリー大賞隠し玉作品「今日、きみと息をする。」(宝島社文庫)でデビュー。2作目となる「響け!ユーフォニアム」シリーズが累計159万部の大ヒットとなる。他の著書に『石黒くんに春は来ない』『青い春を数えて』『その日、朱音は空を飛んだ』『君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部』『どうぞ愛をお叫びください』『愛されなくても別に』がある。

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