ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第17回

ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第17回
クリエイター関係フリーランスが
「老後までに2000万」問題を考えてみた。

つまり、コンビニのレジで客の買った弁当に箸をつけるより「箸の代わりにジャックナイフを入れたら面白いのでは? いや箸をジャックナイフのように刺した方が良いんじゃないか? だとしたら誰に刺す? 客、と見せかけ、その背後にいる殺し屋…それは普通すぎる。自分の尻…いや、それはこの前やった」みたいなことを延々考え、それをわざわざ「絵」にする方がまだ楽、と思っているのだ。

よって、コンビニでバイトしていても、すぐここにある物でどう殺し屋と戦うかを考え出すため、弁当には箸をつけ忘れるのだ、ただの使えないバイトなのである。

よって、私も、会社員をしていた時より、尻に箸を何本刺すか決めあぐねて一日が終わる生活の方がまだ辛くないのだ。

しかし、残念なことに、そんなノールールな世界の人間にも「老後2000万」は無関係ではない。むしろフリーランスはもっと貯めなければいけない、という。

しかもクリエイター関係フリーランスにとって「計画がそもそも無意味」なのは仕事だけではなく、将来設計に関してもそうなのだ。
今現在「現金で2兆円持っている」もしくは「明日死ぬ」という場合以外、フリーランスの将来というのは計画すら立てられないことが多い。

最近は一般家庭でもフィナンシャルプランナーに家計診断をしてもらいアドバイスをもらうことが少なくない。
確かに私は去年無職になった不安から適当に株を買い、今その株は「-¥231,241」という謎の数字を表示している。

「俺の考えた最強の2000万貯める方法」がいかに死期を早めるかは身を以って知っている。
「内臓を売る」ぐらい具体的でなければやらない方がよいし、それはそれで寿命を縮める気がする。

よって、本気ならプロにアドバイスを求めた方が良いだろう。
しかし、プロとて顔を見ただけで「神を信じろ」など的確なアドバイスが出来るではないし、おそらくそれはフィナンシャルプランナーではなく、別の仕事の人だと思う。

次記事
前記事
カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。