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超短編!大どんでん返しSpecial

第12話
芦花公園
「幽霊屋敷」


 はい、来ました、ゆがみんオカルトちゃんねる。

 今日のゲストは林檎坂46のゆみみ。豪華ですね〜。

 おっ、霊能者の霧島葉子も来てくれた。

 中野で一番有名な心霊スポットということですからね、気合も入ります。なんでも、引っ越してきた住人が、次々と謎の死を遂げる家だとか。ちなみに、ここ五年は新しい入居者はいないようですね。

 おっと、ゆみみ、顔が真っ青だよ? 霊感とかあったりして。

 玄関の鍵は壊されてるね。早速入って……おお、靴が揃えられてる。何人分? 十人くらいいない?

 俺は靴脱ぐけど、君たちは土足でいいよ。埃塗れだし、何か刺さったりしたら危ないでしょ。

 霧島さん、なんか見つけた? 二階?

 じゃあちょっと早いけど、上がっちゃおうか。

 ん、何だろうあの音。奥の和室かな?

 ああ、襖が、開いたり、閉じたり。何度も繰り返しているね。

 お婆さんがいます。

 ん? 首?

 うわ、ほんとだ。首が逆についてる。うわ、それで前、見えてるの?

 はいはい、怒ってますね。お婆さんを刺激しないように。霧島さん、ゆっくりね、ゆっくり降りましょう。

 一階に戻ってきました。

 どうします? まあ、そうですね、せっかく来たんだから、やはり噂の居間に。

 ここでね、五年前、後藤さん一家五人、お父さん、お母さん、娘一人息子二人、折り重なって死んでいたとか。外傷はなかったそうですが、何故かこの部屋は、洗っても洗っても血痕が浮き出てきて、消えないんだって。

 それではお邪魔します。

 うわ、いるいる。います。ゆみみ、見えない? やっぱり霊感はないのかな。

 五人全員、君のこと見てますけど。

 霧島さん、どうしたの? ああ、お祓いするんですね。

 はい、静かにしています。

 霧島さんはその辺のインチキ霊能者じゃなくて、割と本気で解決できる人らしいので、俺は尊敬してます。それでは、お祓いに集中しましょう。

 ……。

 ……。

 ええと、これで終わりなんですかね。

 確かに様子は変わりましたけど。

 長女の成美ちゃんが大声で叫んでいるし、男の子二人はお口の中が真っ黒ですけど。

 ううん、苦しそうですね。三人もお子さんがいると、お父さんと、お母さんは、大変ですね。お金も無くなるし。だから事故物件なんかに住まなきゃいけなくなっちゃったし、それでもお金が無くなって、一家心中する羽目になっちゃったんでしょうか。

 危ない? 一刻も早く離れた方がいい?

 はい、そうかもしれません。

 じゃあ、倒れちゃったゆみみは置いといて、退散しますか?

 しないんですね、霧島さん。皆はとっくに逃げちゃったのに。さすが、立派です。

 でも、玄関にも沢山いるし、ちょっと出るの難しくないですか?

 ああ、お風呂場ですね。はい、行ってみましょう。

 あー、ダメですね。ここもいます。

 グロいのちょっと苦手です、申し訳ないですけど、おじさんがスープ状になったのとかはちょっと。

 そもそも、床を這ってる女の人は誰なんですか? 霧島さん、足、気を付けて!

 あ、お婆さんが降りてきちゃった。

 うるさくしたから、ますます怒ってます。

 顔は逆についてるから、想像ですけど。

 集まってきちゃいましたね。

 でも、皆、思い思いに、好きなことをしてるだけなんですよ。

 幽霊って、死んでも、ルーティンワークっていうのかな、自分がやってたことを、ずっと繰り返しているだけなんですよね。

 後藤さん一家はガス心中当日のドタバタ。

 佐藤さんは娘さんに階段から突き落とされたときのまま。

 中島さんはお風呂で手首切って寝ちゃったからだし……ごめんなさい、床の女性は把握してない。

 人が死んだら皆集まって、お葬式。玄関で靴を揃えるのも常識でしょ?

 あ、この辺で終わりですか、お疲れ様です。

 出て行かせることはできませんでした、ってひどいじゃないですか。

 ここは元から俺の家でーす笑

 


芦花公園(ろか・こうえん)
東京都生まれ。2020年、カクヨムにて発表した「ほねがらみ─某所怪談レポート─」がTwitterで話題となり書籍化が決定。21年、同作を改題した『ほねがらみ』でデビュー。第二作に『異端の祝祭』。古今東西のホラー映画・ホラー小説を偏愛する。

〈「STORY BOX」2022年2月号掲載〉

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