スピリチュアル探偵 第3回

スピリチュアル探偵 第3回
探偵が飲めば霊能者に当たる。
ついに本物か?
京都からやってきた出張霊能者!

 今から3年ほど前のことです。行きつけのバーの雇われ店長が、おもむろに「実は、そろそろ独立して自分の店を構えたいと思ってまして……」と言い出しました。

 プライベートでもお付き合いさせていただいてるバーテンダーなので、これはめでたい話。聞けば、すでに具体的に物件探しまで始めていると言います。

「資金調達はこれからなんですが、とりあえず動いてしまおうかと」
「いいじゃないすか、勢いは大事ですよ。ちなみにどのあたりで考えてるんですか?」
「三軒茶屋に気になる物件がひとつ見つかりまして。来週、見てもらう手筈になっているんです」
「見てもらうってのは、誰に?」
「あ、いつもお世話になっている霊能者の先生です」

 完全に油断していたのでバーボンを噴きそうになりましたが、予期せぬところで霊能者情報が飛び込んできました。これはこちらも出動しないわけにはいきますまい。

〈CASE.3〉京都からやってきた出張霊能者の実力は!?

 バーテンダー(以下、Tさんとします)の話によれば、もともとは常連客の紹介でやってきたというその先生は、アラフィフの中年男性。普段は京都に住んでおり、東京に来たときにふらりと店に立ち寄ることがあるのだそうです。

 他に本業を持たない専業霊能者で、Tさんもこれまで、自宅を引っ越す際に方位の相談をするなど、事あるごとにアドバイスを受けてきたとか。

「来月、東京にいらっしゃるそうなので、見てもらうことになっているんです。よかったら友清さんの分も予約しておきましょうか」

 もちろんこの誘いに飛びつかないわけがありません。首尾よく、翌月のアポイントが成立しました。

 しかし、問題は面会場所です。その先生は東京に拠点を持っているわけではないので、Tさんはいつも喫茶店でお会いしているのだそう。でも、公衆の面前でおっさん同士が「運命がどう」とか「守護霊がどう」とか語り合うのはちょっと恥ずかしい。

 結局、悩んだ末に僕の自宅に来てもらうことになりました。出張霊能者なんて、初めてのパターンです。これは贅沢!

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友清 哲(ともきよ・さとし)

1974年、神奈川県生まれ。フリーライター。近年はルポルタージュを中心に著述を展開中。主な著書に『この場所だけが知っている 消えた日本史の謎』(光文社知恵の森文庫)、『一度は行きたい戦争遺跡』(PHP文庫)、『物語で知る日本酒と酒蔵』『日本クラフトビール紀行』(ともにイースト新書Q)、『作家になる技術』(扶桑社文庫)ほか。