小学館文庫

これだけは見ておきたい現代アート名作11

 世界の美術愛好家がそれを見るだけのために来日する、日本に存在する世界的レベルの現代アートの名作11点とその施設を、北から南まで、現代アートの第一人者である著者(秋元雄史・東京藝大名誉教授)が徹底紹介。作品の魅力と制作背景、鑑賞のコツ、作家の横顔を、その場を実際に訪れる以上に詳細にガイドします。各施設の情報やアクセスガイドもついて、実際に訪れる際のガイドブックになると同時に、11の優れた作品の鑑賞解説を通し、現代アート一般の理解と鑑賞のコツが楽しく身につく1冊でもあります。巻末企画として、街中で誰でも気軽に見られるパブリックアートの名品を紹介する「パブリック現代アート逸品ミニガイド」も収録!〈紹介アーティスト(紹介作品設置場所)〉:安田侃(北海道美唄市)、ロン・ミュエク(青森県十和田市)、マーク・ロスコ(千葉県佐倉市)、三島喜美代(東京都大田区)、杉本博司(神奈川県小田原市)、レアンドロ・エルリッヒ(石川県金沢市)、ジェームズ・タレル(石川県金沢市)、内藤礼(香川県豊島)、ウォルター・デ・マリア(香川県直島)、イサム・ノグチ(香川県高松市)、アントニー・ゴームリー(大分県国東市)

永六輔 大遺言
著/さだまさし,永拓実 発売日:2022-07-06

悩みも迷いも吹き飛ぶ「言葉の天才」の遺言

 「活躍の根底にあるのは言葉だった」(黒柳徹子さん)「自由に自分を生かすことを学んだ」(久米宏さん)「発想力と知恵にいつも驚かされる」(タモリさん)200万部超の『大往生』や名曲『上を向いて歩こう』『見上げてごらん夜の星を』など、日本人の心に残る「言葉の名作」を生み出し続けた永六輔さん。名だたる著名人たちの人生を変えたばかりか、自殺を考えた女性や仕事を失った職人、自暴自棄に陥った若者らを著作や放送を通して、「言葉の力」で奮い立たせた。「笑うことは武器になる」「立場や肩書きを裏切れ」「知識に予算はかからない」「叱ってくれる人を探す」「人間関係に順位をつけない」「人間は今が一番若い」「生きているだけで面白い」「聞くは話すより難しい」……本書では「言葉の天才」と称された永六輔さんの短く含蓄に富んだ数々の名言を、その薫陶を受けた「弟子」のさだまさしと「孫」の二人が余すことなく紹介します。人生100年時代に役立つ好奇心や行動力を育むコツや、仕事、人間関係、生きがい、老い、病などの悩み、さらにはコロナ禍やウクライナ問題といった社会の難局を乗り切るヒントになる「知恵とユーモア」が満載です!

死神の花嫁は夫に離縁を言い渡され…!?

  死神・八雲の花嫁となり、人の世界とは隔絶された場所にある八雲の屋敷で暮らすことになった没落華族の令嬢、千鶴。死を覚悟しながら生贄の花嫁としてやってきた千鶴だったが、いまや八雲の愛を受けながら、家事にいそしんだり、拾われた人間の子・一之助の世話をしたりと、穏やかで幸せな日々を送っている。 そんなある日、千鶴の前にひとりの女性の死神が現れる。翡翠と名乗ったその死神は、人間嫌いだった八雲が心を許したのはどんな女性なのか興味があって訪ねてきたと語り、人間同士の友のように千鶴と付き合いたいと言う。同じ死神ながら、出会った当初の八雲とはまるで違う、明るく気さくな様子の翡翠とのおしゃべりに、思わず女学生だった頃の自分を思い出した千鶴は、久しぶりに心が弾んだ。そして、女学校時代を懐かしむ千鶴を見た八雲に、かつての友人に会ってみないかと誘われた千鶴は、昔住んでいた麹町へ八雲とともに向かうことに。だが、乳飲み子を抱いた親友との再会に感動しながらも、もう普通の人間とは違う自分の立場を思い知らされる。やがて千鶴は、見えない未来に思い悩むように――。愛を知らない死神と生贄の花嫁の、不器用な愛の物語。第三弾!

冥府の王と屍人姫
著/片瀬由良 発売日:2022-07-06

一度死んで冥府の姫となった宵華の冒険譚!

 「わたしは宵華。人は屍人姫(しびとひめ)と渾名する」 冥府の都・ほう都に流星の如く現れた、愛と正義の英雄は、鬼神の如き強さを持つ十三歳の少女。数百年前に実在したといわれる伝説の英雄・焔崇(えんすう)の大ファンを自認する暴力系女子だ。しかし実のところ生前の宵華はといえば、穹国の第二皇女でありながら、病弱すぎてあっという間に死んでしまう、かわいそうな姫君だった。さて、前のめり気味に最強屍人(=ゾンビ)となった宵華には「冥府の王に嫁入りする」という大きな目標があった。噂ではその王様はとんでもない美形で、文武両道に優れた完全無欠の英雄らしい。ヒーローが大好物な宵華は意気込んで王城へ向かうが、先代の英雄「東嶽大帝」から理由あって代替わりしたばかりの、新しい冥府の王「ほう都真君」は、職務放棄も甚だしい、すこぶる無気力な《働いたら負けだと思っている》駄目男だった。予想外の人物像にドン引きの宵華だが、この真君、ただのサボりキングではなさそうで? 諸般の事情により互いの利害が一致してしまった冥府の王と屍人姫は、ひとまず形ばかりの夫婦となった。 ノンストップ中華風ファンタジー、ここに開幕!

映画化・舞台化の超人気シリーズ第5弾!

  ぽんこつ可愛いロボット・タング、将来の夢へいよいよ第一歩を踏み出す?――生意気盛り、でもやっぱり甘えん坊で心優しいタングと、父親として今も成長中の「元ダメ男」ベン&一家と仲間たちが帰ってきた! 長かったパンデミックが終息し、チェンバーズ一家にも平穏な日々が戻ってきた……はずはなく、ベンは些細な失敗から大怪我を負い病院へ行くことに。さらにタングのことで学校に呼び出されるベンとエイミー夫婦、学校を辞め家庭で学ぶ娘ボニーの大イベント、介護ロボットのフランキーやミセス・カッカー、隣人ミスター・パークスを巻き込んだトラブル、家族の関係がかなり微妙なベンの姉ブライオニーの選択。てんやわんやの毎日の中、タングはエイミーの出産を手伝った時から抱いていた助産師への夢へと、小さな一歩を踏み出すことに……! 1作目『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は2022年夏、二宮和也主演で映画化(『TANG タング』)、劇団四季で舞台化。ロボットと人間の心温まる超人気シリーズ、待望の第5弾!

最強の蠱師である玲琳王妃の姿が…!?

  大陸に君臨する大帝国・斎の皇女にして、新興国・魁の王妃。蟲愛づる姫君こと李玲琳はすでに嫁いで八年半、六歳になる男女の双子の母でもあるというのに……現在、大変な問題をひとつ、抱えていた。実年齢はすでに二十四歳なのだが、現在の玲琳の見た目は我が子と変わらないくらいの幼女になってしまった。というのも数か月前、玲琳はある蠱術の呪いを受け、過去の時間を奪われて若返り、未来の時間を奪われて寿命が縮まったのだ。現状玲琳は、自らの体内に巣食う毒蟷螂の蠱毒を抑えるために全力を使いきっている。ゆえに他の蟲へは力を注げず、結論として蠱師としてはほぼ役立たずの状態にあった。一刻も早く元に戻りたいと願う玲琳だったが、事態はそれを許さず、彼女はさらなる試練に晒されることに……。ある夜のこと、玲琳の夢の中に尊敬する祖母・月夜が現れ、蟷螂のほかに三体の特別な蟲を与えて去った。この四体の蟲を同時に使うと、大陸を血の海に沈める究極の毒を生み出せると言われているが、それを実現できた蠱師は、これまでひとりしか存在しないという。果たして玲琳は最大の苦難に打ち勝ち、最強の蠱師になることができるのか? 「むしめづ」シリーズクライマックス!

転生×中華後宮物語!主上の寵妃候補、現る

  凰朔国の後宮に入り、皇帝・天明と秘密の契約で寵妃となってからも、商売に野球に漫才舞台に…と、いくつもの事業を興して奮闘する蓮華。どれも前世の真似事に過ぎないと思いつつ、この国で笑顔になる人が増えるならば頑張ろうと蓮華は心に誓い、忙しく駆け回っている。 ある日、天明が美しい女官と一緒にいるところに出くわした蓮華。自分は偽の寵妃だから、天明のために本当の皇后候補を見つけるのが自分の務めと考え、天明にもそう宣言していた蓮華だったが、なぜか心は落ち着かない。 そんな頃、天明によって新たな官吏登用試験が設けられることに。受験者の身分も性別も問わないという画期的なこの試験。第一回に庶民の合格者を出したいと考えた天明のたっての希望で、貧民層出身で蓮華の侍女となった朱燐が挑むことになる。だが勉強に励む朱燐に不穏な気配が忍び寄り――。 大阪女子だった前世の記憶を持つ蓮華が、凰朔国にもたらした新風。やがてそれは大きなうねりとなってさらなる変化を呼ぶ!? 転生×中華後宮物語、第四弾!

ミライヲウム
著/水沢秋生 発売日:2022-06-07

新二度読みミステリー、待望の文庫化!

 凜太郎は、中学と高校時代に、つきあっていた女性に触れた瞬間、未来を見てしまった。しかもバッドエンディングばかり。そんな体質だから、恋愛とは無縁の大学生活を貫いていた。大学二年の大晦日の夜、花火を見に出かけた同級生にキスされた瞬間、凜太郎はとんでもない未来を見てしまう。その結末を変えるべく、凜太郎は奔走するのだが……。「やられました」「とにかく読んで」「面白さ、保証します」などなど、単行本刊行時に話題となった一気読み必至、新・二度読みミステリーが待望の文庫化です! 驚きのあとにやってくる感動を、是非とも体験してください!!

韓国と京都を結ぶ未解決殺人事件を追え!

 余命いくばくもない無期懲役囚の堀友一郎が、突然十津川警部に会いたいと言ってきた。網走刑務所で対面した彼から、十津川は意外な依頼を受ける。それは、15年前に仙山線の八ツ森駅で知り合った愛(めぐみ)という女性に自分の写真を渡してほしいというものだった。しかし、秘境駅で人の利用もほぼ無い八ツ森駅はすでに廃止が決まっており、愛の消息も全く掴めない。そんな中、現地で出会った鉄道マニアの小林雄作から、秘境駅マニアの山中愛という女性の存在を知らされる。果たして彼女は捜していた愛なのか。一方、堀から預かった写真立てからは、京都で起きた16年前の未解決の韓国大使殺人事件に関連すると思われる言葉が書かれていた。さらに、山中愛からは事件の真相に迫る、ある重大な事を知らされる。しかしそれは、事件解決へのほんの入口に過ぎなかった……。仙台から京都へ。事件の裏に渦巻く歴史の闇に十津川が果敢に挑む、鉄道ミステリーの巨星渾身の大作!

大人気! 雑魚釣り隊シリーズ第7弾!

 ブリだってボラだって出世するのに、どうしておれたちはちっとも賢くならないのだろうか――。シリーズ第7弾となる今作では、誰が一番うまい魚を釣ってくるのかを競う「第1回雑魚釣りステークス」が開催。果たして栄冠は誰の手に!?さらに冬の館山ではカワハギをたくさん釣って「痛風肝試し」にチャレンジし、夏の東京湾では干潟でアナジャコたちと手にハサミ握りあう激闘を繰り広げた。そして、クライマックスは能登半島の超特級キャンプ場を舞台に、幻の高級魚をネタにした「人間回転寿司」の大宴会。なんとその一部始終は地元テレビ局の特番として放映されたのだった――。釣ったそばからまるかじり!進化も成長もしないおバカな男たちによる爆笑釣行シリーズ最新刊!!

臨床の砦
著/夏川草介 発売日:2022-06-07

小さな病院は命がけでコロナに立ち向った。

 『神様のカルテ』著者、最新作!感染症指定医療機関でコロナ禍の最前線に立ち続ける現役医師が自らの経験を克明に綴った記録小説!「対応が困難だから、患者を断りますか? 病棟が満床だから拒絶すべきですか? 残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。筑摩野中央を除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とは違うのです。当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」――本文より

壜のなかの永遠
著/ジェス・キッド 訳/木下淳子 発売日:2022-06-07

謎多き女探偵が活躍する幻想歴史ミステリ!

  1863年のロンドン。探偵と外科医の看板を掲げる女性ブライディのもとを、ある貴族の主治医が訪れた。彼は「館で秘密裏に育てられていた準男爵の娘がさらわれてしまった」と言う。娘の詳細を明かされないままの捜索依頼に戸惑いながらも、ブライディは彼女の前に突然現れた「ルビー」と名乗る元ボクサーの幽霊とともに、少女の行方を追うことに。しかし調べれば調べるほどに、ブライディは迷宮に嵌まり……。 英国の新星が、アイルランドの人魚伝説とビクトリア期ロンドンの誘拐事件をファンタジックに描く、時空を超えた歴史ミステリ。

予備校のいちばん長い日
著/向井湘吾 発売日:2022-06-07

東大からの挑戦状!?伝説の入試問題に挑め

 1998年・3月。東京大学理科一類の後期日程試験に、過去に類を見ない数学の奇問が出題された。中堅予備校「七徳塾」の数学講師・言問さくらは、解答速報を出すべく早速この奇問に挑むも、まったく解けない。しかも信じられないことに、他の大手予備校も解答を作成できずにいるという。さくらはこの問題が受験史に残る超難問であると確信し、大手予備校を出し抜き、どこよりも早く解答速報を出してみせると決意するのだが――。立ちはだかるは、東大が出題した伝説の入試問題。いまだ語り継がれる実在した受験史上最悪の超難問に挑む、本格数学小説!

弱った心を踏みにじる奴はこの刀が許さねえ

 最近、町人を騒がせている盗賊一味――笹山の閻僧。定町廻り同心の夏木慎吾は、ここひと月ばかり奴らを追うのに必死で、奉行所で寝泊まりすることも多い。つい先日押し込まれた漆問屋では、女子供までが皆殺しにされた挙句、金もすべて盗まれたという。しかし、火付盗賊改方からの報せでは、「大店ばかりを狙い、店の者が気付かぬうちに、潰れぬ程度の金を蔵から盗み取る」のが、笹山の閻僧の流儀らしい。なぜ、急に変わったのか? まさか偽物が跋扈しているのか?とはいうものの、「笹山の閻僧の盗みである証に、笹の葉の墨絵を一枚柱に打ち付け、印として残していっている」との報せもあり、混乱した慎吾たち奉行所の探索は難航を極めていた。血も涙もない押し込みに江戸市中が震えるある日、慎吾が持ち場の高級料亭・松元で働くおもよの前に、行商の元締めをしている平次が姿を現した。「松元の金蔵のありかを、絵図にしてほしいそうだぜ」平次が言うには、おもよの父親・金五郎の手伝いらしい。思いも寄らない真実を耳にしたおもよは――。手に汗握る、人気絶頂の捕物活劇シリーズ第三弾!

いい酒いい人いい肴。至福の旅のエッセイ集

 日本全国の居酒屋巡りを初めて三十余年である著者・太田和彦氏によるエッセイ集を、過去の再録作品と未発表の作品と併せ改めて編みました。をテーマに全国を旅歩き飲み歩き、辿り着いた至福の時をどうか読者の方も追体験して下さい。目次より一部抜粋します。「旅には旅の見どころあり」「旅の居酒屋、この一品」「ゆっくり滞在、町歩き」「人とのっで愛が待っていた」等々…あなたも、この本を片手に、居酒屋行脚の旅はいかがでしょうか??

鴨川食堂しあわせ
著/柏井壽 発売日:2022-05-06

ドラマ化もされた“おいしい小説"第9弾!

 京都のとある食堂の奥には、「思い出の味」を捜し出す探偵事務所があるそうで──。料理人の父・流と探偵の娘・こいしが、依頼人の悩みにそっと寄り添い、あたたかい料理でもてなします。第一話 焼鳥……消えた父に伝えたい第二話 駅弁……迷い込んだ心第三話 イタリアン……強い男を演じた夫第四話 巻き寿司……毎日一から出直し第五話 フィッシュアンドチップス……大切な名前第六話 すき焼き……忘れられない一日ドラマ化もされた大人気シリーズ、待望の最新刊!

燃えよ、あんず
著/藤谷治 発売日:2022-05-06

ある本屋に集うぽんこつたちの人生の喜悲劇

  下北沢にある小さな書店・フィクショネスには、なかなかにぽんこつな面々が集っていた。本を愛しすぎているあまり、商売にはうまく結びつかない店主、物静かだけど筋金入りの「ロリータ」愛読者、大麻合法を真面目に主張する自由人、大手企業で管理職に就く何を考えているかわからない美形男性、そして、決して本を買わずにひたすら店で油を売り続ける、どこか憎めない女子・久美ちゃん。そんな彼女には、しかし、新婚間もなく不幸が訪れる。 それから十数年が経過したある日、久美ちゃんがお店にふらりとあらわれた。同じく懐かしい顔の男を伴って。

生涯五万五千食の美味を選りすぐった名著!

 『パイプのけむり』シリーズを始め、名随筆家と知られる作曲家團伊玖磨氏。中でも食随筆のファンは時代を超えて増えるばかりだが、数多い著作の中でも、幻の名著といわれる今作品が没後二〇年を機に装いも新たに登場。五万五千回の食事の記憶から、印象深い一皿一皿をユーモアと機知に富んだ筆致で描いたひと一冊。「海亀」「香港の蟹」「あざらし」「鰻」「虎骨木瓜酒」ほか今では食べられない幻の一皿から日常の何気ない料理まで滋味溢れる筆致で描いた、これぞ食随筆!の一冊。解説はエッセイストの平松洋子さん。

かわら版屋のお転婆が引き起こす珍事件!?

  17歳の一穂は、黒目がちの目がくりくりと大きい。なのに、たいそうなお転婆。せっかくの整った顔立ちが台無しだ。その一穂、事情があって、かわら版屋〈うかれ堂〉を営むおじさんの市右衛門と一緒に働いている。今日も今日とて、工房を構える日本橋の〈うかれ長屋〉でご飯を食べていると、北町奉行所の同心・吉田主計が様子をうかがいにやって来た。一穂と幼馴染の吉田は、事件のネタを〈うかれ堂〉のために漏らしてくれているのだ。そのかわりに一穂と市右衛門は、江戸市中で見聞きした物事を報告し、時には探索を手伝っている。十手こそ渡されてはいないが、吉田とは持ちつ持たれつの間柄というわけだ。そんな吉田が持って来たのは、新任与力の水野左衛門が一穂と直に話してみたいという、呆れた私事。ところがいざ会ってみると、なぜだか、北町奉行の小田切土佐守と寺社奉行の青山下野守の政争につながるネタを追う羽目に……。挙句の果てには、とんでもない大騒動になって!?『幕末ダウンタウン』で第十二回小説現代長編新人賞、『ぴりりと可楽!』で細谷正充賞を受賞した実力派時代作家、初の文庫書き下ろし!

あやかし姫の良縁
著/宮野美嘉 発売日:2022-05-06

陰陽師の家を継ぐ「トンデモ」姫に婿現る?

  慶長四(一五九九)年。安土桃山時代も末期、江戸時代が始まる前の京の都に、周囲が手を焼くトンデモ姫がいた。名は幸徳井桜子、年は十五。陰陽師を排出する家のひとつ、幸徳井家のひとり娘だ。名門というわけでもなく、ほどほど貧乏な公家の跡継ぎである桜子は、母を早くに亡くし、父は誰なのかわからないという有様。一部で「あやかしの子だ」と噂されるのは、桜子が生まれ持った神通力と剛力のせいだ。 「私に触ると怪我するよ」――というのは誇張でもなんでもなく、触れればすぐさま物を壊し、遊べば人を壊す。この世のものはなにもかもヤワすぎて、人も獣も妖怪も桜子の相手にはならないのだ。そのくせなぜか、京に巣くう妖怪たちはこぞって桜子に懐く。ゆえに、花も恥じらうお年頃だというのに、桜子はあやかしの首魁扱いされてしまうのだった。 そんなある日、桜子はひとりの剣士と出会う。陰陽の術にも長けたその青年は、柳生友景。どうやら彼は、桜子が本気をだして絡んでも「壊れない」理想の相手のようだが…? やわらかスピリッツでのコミカライズも大人気、「蟲愛づる姫君」シリーズの著者が贈る、もうひとりの「トンデモ姫」の物語、ここに開幕!

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