今月のイチオシ本【ノンフィクション】

『amazon 世界最先端の戦略がわかる』
成毛 眞
ダイヤモンド社 本体1,700円+税

 最近GAFAというワードをよく耳にする。ITの巨大企業になったグーグル、アップル、フェイスブック、そしてアマゾンの4社を指している。

 この中でもアマゾンの特異性は群を抜いていると著者は語る。元日本マイクロソフト代表取締役社長の成毛眞は、インターネットの黎明期から業界に関わり趨勢を見続けてきた。そして今、辿りついた結論はこの一社を知れば「世界最先端の戦略がわかる」ということだった。

 インターネットを使って買い物をする人は幾何級数的な増え方をしている。テレビショッピングは楽しんでいても、ネットの買い物はどうも、と敬遠しがちだった人もアマゾンの使い勝手の良さを知ると、まず検索はここでするようになる。

 私も最初はネットで本を買うのをためらっていたクチである。だが送料無料で翌日届く便利さに、いつの間にかヘヴィーユーザーになってしまった。特に古書を探す難しさから解放されたのは、本当に助かっている。

 だが本書に書かれているアマゾンの姿は、生易しいものではなかった。2018年8月「米国防総省のデータをクラウドで一元管理する1兆円規模の事業『JEDI』をアマゾンが獲得間近か」というニュースが流れた。アメリカの国家機密をアマゾンが請け負うかもしれないというのだ。すでにそれだけの信頼を国から受けていることに驚かされる。

 マーケットプレイスを利用したことのある人も多いだろう。よく似た楽天は出店企業から料金を取るのだが、アマゾンは企業から物を買い、それを直接売っているのだ。巨大なアマゾンの倉庫がメディアに登場することが多いが、そこで在庫を管理しユーザーに届ける。

 最初は難しく、経営が危ぶまれた時期もあったが、そこを乗り越えた今、新規事業に資金をつぎ込み、黒字を最小限にする姿勢に驚かされる。

 この先の10年を予想するためには今のアマゾンを理解する必要がある。新社会人から企業のトップまで、まず本書で時代の流れを知るべきだ。未来の社会の一端を垣間見られるかもしれない。

(文/東 えりか)
〈「STORY BOX」2018年10月号掲載〉