キッチンが呼んでる!

「推してけ! 推してけ!」第27回 ◆『キッチンが呼んでる!』(稲田俊輔・著)
評者=平野紗季子(フードエッセイスト) 聖域としてのキッチンで 私の友人に、スニッカーズにキャラウェイシードをつけて食べる女がいる。なんでもキャラウェイはピーナッツと合うのだという。彼女は受動的な食事をしない。自分の好きな味世界、というものを明確に確立しているから、自炊はもちろん、レディメイドの食べ物が向こうからやって
稲田俊輔『キッチンが呼んでる!』
料理という名の物語 「小説を書いてみませんか?」と、小学館の加古さんにお誘いを受けた時、僕は反射的にかぶりを振っていました。「無理ですよ。書き方もわかんないし」しかし加古さんは、「本、お好きですよね。小説も読んでらっしゃるでしょう? きっと書けますよ」と、事も無げにおっしゃいます。「いや、エッセイならともかく、小説はま