嶋津 輝

思い出の味 ◈ 嶋津 輝
 だいぶ前、まだ横須賀線の車両の大半がボックス席であったころのこと。  上り電車は空いていた。ボックス席には私と、通路を挟んで反対側に六十代くらいの女性が一人座っているきりだった。  その女性が大きな