編集者コラム

◎編集者コラム◎ 『都立水商3年A組 卒業』室積 光
『都立水商!』は、室積光さんのデビュー作です。2001年に刊行されるや、水商売専門の高校という斬新な設定が大きな話題となり、猪熊しのぶさんによるコミック化が決定。累計250万部を超えるベストセラーになりました。それから年月は経過し、昨年12月に『都立水商! 2年A組』を、今年1月に連続刊行を実施した本作が、シリーズの完
◎編集者コラム◎ 『最終法廷』エリザベート・ヘルマン 訳/浅井晶子
 昨年7月、長くお世話になっているドイツ・ミステリのエージェントに、翻訳家・浅井晶子さんをご紹介いただいたのが、この企画の始まりでした。浅井さんには当初、2012年にハヤカワ・ミステリの一冊として刊行されたオリヴァー・ペチュ〈首斬り人の娘〉シリーズの第二作のリーディングをお願いしました。17世紀、南ドイツの小都市ショー
◎編集者コラム◎ 『ふたつの星とタイムマシン』畑野智美
 この作品を初めて読んだとき──。一つ一つの短編がバラエティーに富んでいて、次にどんな物語がくるのかと、わくわくしながらページをめくったことを思い出します。彼氏の過去へと遡り、前の女とつきあわせないように画策したいって気持ち、よくわかる!! と共感したかと思えば、小学生男子のシビアな人間関係に胸が締め付けられたり。全く
◎編集者コラム◎ 『山岳捜査』笹本稜平
 2021年11月に急逝された笹本稜平さんは、警察小説(代表作はともにTVドラマでシリーズ化された『越境捜査』『駐在刑事』)と山岳小説(代表作は映画化された『春を背負って』)の二大ジャンルで健筆をふるわれていました。本書は、その二大ジャンルのハイブリッドに挑んだ意欲作です。長野県警山岳遭難救助隊に所属する桑崎祐二は、同
◎編集者コラム◎ 『あなたの死体を買い取らせてください』村崎羯諦
『あなたの死体を買い取らせてください』の編集者コラムをご覧いただき、ありがとうございます。本作品の編集を担当しましたA田と申します。本作品は、デビュー作ながら30万部をこえる大ヒットとなった『余命3000文字』の著者・村崎羯諦先生が贈るショートショート集となります。村崎先生といえば、コミカルなものから感動作まで巧みに描
◎編集者コラム◎ 『アンダークラス』相場英雄
「1ドル=150円」の円安局面に揺れた今秋。たしかBSの海外ニュースだったと思います。「日本バーゲンセール」というテロップのニュースが流れていました。コロナ禍で厳しくなった入国制限がようやく緩和され、日本が旅行者の滞在先として人気を集めているといった内容でした。衝撃的だったのは東南アジアの観光客が、日本は安くてうまい、
◎編集者コラム◎ 『都立水商! 2年A組』室積光
 室積光さんの伝説のデビュー作『都立水商!』は、2001年の発売以来ロングセラーを続け、猪熊しのぶさんによるコミックスが大ベストセラーとなった作品だ。テレビドラマ化もされ、二度目のドラマ化となった2019年に、18年ぶりとなる続編『都立水商1年A組』を刊行した。主人公の淳志は、中学時代にいじめられ、仕方なく水商売専門の
◎編集者コラム◎ 『しょったれ半蔵』谷津矢車
 小説を読むと、たびたび自分の常識が覆されることがあって、それが一つの喜びでもあります。本作が生まれたのも、著者の谷津矢車さんと話していて「服部半蔵は一人ではない。じつは代々『半蔵』の名を継いで、12代目までいた」さらに「忍者だったのは初代だけ。その息子は足軽を率いた武士、ちなみに得意武器は槍」という歴史トリビアを聞き
◎編集者コラム◎ 『軋み』エヴァ・ビョルク・アイイスドッティル 訳/吉田薫
 アイスランドといえば、何を思い浮かべますか? 北極圏に迫る氷の国、そして火山の国であり、オーロラも見られるというさながら地球の原始の姿を感じさせる地。そして北欧らしく、アートや音楽などの文化も豊か。あの歌姫、ビョークを思い出す人も多いはず。そう、そのビョーク(Bjorg)と同じ名を持つ作家が、日本初上陸です!エヴァ・
◎編集者コラム◎ 『旅だから出逢えた言葉 Ⅲ』伊集院静
 どうやら、このシリーズを編集している時は、不測の事態が起こるようです。思い起こせば、1年半前、『旅だから出逢えた言葉Ⅱ』を編集していた時はまさにコロナ禍まっただなかで、タレントで作家の加藤シゲアキさんからいただいた解説文から、「(前略)コロナ禍で旅にいくこともままなりません。伊集院さんはどうお考えですか」しかし、よく
 一流百貨店の外商部を舞台にした人気のお仕事小説シリーズ『上流階級』も、はや四巻目! ちょっと三巻分の主人公・鮫島静緒を振り返ってみますと! 一巻目で静緒は、パティスリーのバイトから一流百貨店外商部の正社員となって芦屋の個性的なセレブたちを相手に月に1500万円ノルマ達成に奮闘し、大嫌いな同僚の桝家修平(ゲイ)と同居す
◎編集者コラム◎ 『教場X 刑事指導官・風間公親』長岡弘樹
「信長さま─―!!」沿道からの黄色い声援に、引き締まった表情で応える木村拓哉さん。木村さんが織田信長役を務め、騎馬武者行列が行われた「ぎふ信長まつり」には当日、過去最多の約46万人が訪れたとニュースやワイドショーで繰り返し紹介されていました。木村さんの揺るぎなく高い人気を目の当たりにし、私は気持ちを引き締めたのでした。
◎編集者コラム◎ 『姉川忠義 北近江合戦心得〈一〉』井原忠政
 戦国時代小説に新しい風が吹いている。言わずと知れた「三河雑兵心得」シリーズ(双葉文庫)だ。先ほど刊行された最新刊『馬廻役仁義』を合わせた発行部数は累計、なんと75万部。驚嘆すべきは部数だけではない。これまで、これほど生き生きと、かつリアルに、百姓から身を起こし、戦国時代を懸命に生き抜く人物像を描いた作品があっただろう
◎編集者コラム◎ 『ラインマーカーズ』穂村弘
 2003年に初版が刊行された、人気歌人・穂村弘のベスト版歌集『ラインマーカーズ』が遂に!というか、待望の!というか、満を持して!というか、文庫化されました。 穂村弘さんの文庫は、小学館文庫だけでも4冊の既刊があり、そのすべてに重版がかかっています。この『ラインマーカーズ』の文庫化を待っていたファンの方も多いのではない
◎編集者コラム◎ 『メイド・イン・オキュパイド・ジャパン』小坂一也
 かつて一世を風靡した歌手「小坂一也」と聞いても戦後すぐ生まれの高齢者以外には馴染みのない名前かもしれません。でも1950年代の終わりから90年代にかけては俳優としても活躍しましたから、その甘いマスクをご存じの若い読者も少なくないはず。まず、彼のプロフィールをご紹介しましょう。小坂一也(こさか・かずや) 1935(昭和
◎編集者コラム◎ 『書くインタビュー 5』佐藤正午
 佐藤正午さんの『書くインタビュー5』が発売されました。この一文、念のためひとつひとつ説明します。まず【佐藤正午さん】。念のためです、小説家の名前です。まもなく公開をむかえる映画『月の満ち欠け』の原作者で、2017年にはこの小説『月の満ち欠け』(岩波書店)で直木賞を受賞しています。次に【書くインタビュー5】。この本のタ
◎編集者コラム◎ 『バタフライ・エフェクト T県警警務部事件課』松嶋智左
 勤め人の引き際、ということを考えることがあります。いずれ来る退職の日までに、何を成せるのか、何を残せるのか。松嶋智左さんにお会いしたときに、お伺いしたのは、「警察官の引き際って、どんな感じなんですかね」ということでした。松嶋智左さんは、元警察官で、日本初の女性白バイ隊員でもあります。現在、警察小説を中心に作品を精力的に
◎編集者コラム◎ 『タスキメシ 箱根』額賀澪
 2019年~2020年、変わりゆく東京五輪マラソンの情報の中で、何度「ぎゃーーー!」と叫んだことでしょうか。この『タスキメシ 箱根』は、未曾有のコロナ禍に振り回された、まさに「TOKYO2020の悲劇」と名付けたい小説かと思います。単行本をお持ちの方はご存知かと思いますが、この本は、ベストセラー小説『タスキメシ』の続