編集者コラム

◎編集者コラム◎ 『犬も食わねどチャーリーは笑う』市井点線
 香取慎吾さん主演で9月23日から公開される映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』を小説化したのがこの作品です。「夫婦って何だろう?」とさまざまな夫婦のカタチを映画のテーマに考えた市井昌秀監督が、約2年の歳月をかけて、脚本を完成させました。脚本を書き始める段階で香取さんの主演が決まり、市井監督は、「平凡な日常を生きる香取
◎編集者コラム◎ 『海とジイ』藤岡陽子
 藤岡陽子さんのデビュー当時の作品『海路』という作品がとても好きでした。そのお話を藤岡さんとしているときに伺うと、その後何年も経つけれど文庫化の予定がない、とのこと。それとは別に、藤岡さんから「是非読んでほしい原稿です」と渡していただいた、文芸誌に掲載された素晴らしい短編。共通するのは、お爺さんが主人公であることと、舞
◎編集者コラム◎ 『私たちは25歳で死んでしまう』砂川雨路
『私たちは25歳で死んでしまう』の編集者コラムをご覧いただき、ありがとうございます。本作の編集作業を担当しました、A田と申します。本コラムを執筆している2022年の8月末現在、東京は急に気温がぐんと下がりましたが、振り返ると、この夏の暑さは異常だったのではないでしょうか。 東京都心の年間の猛暑日(最高気温35度以上)日
◎編集者コラム◎ 『1794』ニクラス・ナット・オ・ダーグ 訳/ヘレンハルメ美穂
 フランス革命期のスウェーデンと聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?名作『ベルサイユのばら』のフェルゼンでしょうか。宝塚ファンの方なら、フェルゼンのボスの〝ロココの文化王〟ことグスタフ三世をイメージされるかもしれませんね。そんな時代を描きながらも、美しく華麗なこれらの世界とは正反対の、街も人々もひたすら暗くて汚い当時
◎編集者コラム◎ 『本を守ろうとする猫の話』夏川草介
 2017年に刊行された夏川草介氏の『本を守ろうとする猫の話』が、刊行から五年半の歳月を経て、いよいよ文庫化されました。本書は海外でも高い評価を受け、これまでにブルガリア、ブラジル、中国、チェコ、ドイツ、デンマーク、カタロニア、スペイン、フィンランド、アメリカ、フランス、イギリス、ギリシア、クロアチア、ハンガリー、イン
◎編集者コラム◎ 『てらこや青義堂 師匠、走る』今村翔吾
 今年1月に『塞王の楯』で第166回直木三十五賞を受賞した今村翔吾さんは、元ダンスインストラクターです。作家を目指したきっかけとして、教え子から「翔吾くん(と呼ばれていたそうです)だって夢を諦めている」と言われたことをインタビューなどでも話しておられるので、ご存じの方も多いと思います。このたび文庫版が発売された『てらこ
◎編集者コラム◎ 『あの日に亡くなるあなたへ』藤ノ木 優
 小学館文庫2022年8月刊『あの日に亡くなるあなたへ』の編集者コラムをご覧いただきありがとうございます。本作の編集業務を担当させていただきましたA田と申します。本コラムを執筆している7月末現在、関東では急に猛烈な雨が降るなど天気が安定しない日々が続いていますが、実は本作、偶然にもこの「雨」が重要なキーワードになってい
◎編集者コラム◎ 『恋文横丁 八祥亭』立川談四楼
 今回の作品の企画がスタートしたのは、6年ほど前のことでした。私が担当する作家さんの単行本を、談四楼師匠が週刊誌の書評で取り上げてくれたのがきっかけです。師匠は立川談志さんの一番弟子として知られる人気落語家であると同時に、「石油ポンプの女」『ファイティング寿限無』などの著作も持つ作家としても著名です。書評のお礼かたがた
◎編集者コラム◎ 『聖週間』アンドレアス・フェーア 訳/酒寄進一
 昨年1月の『咆哮』、7月『羊の頭』に続き、〈ヴァルナー&クロイトナー〉シリーズ第3弾となる『聖週間』が刊行となりました。前作から1年、楽しみに待ってくださった方もいらっしゃるでしょうか。凍った湖の氷の下から金襴緞子のドレスを身に着けた少女の死体発見(『咆哮』)。山頂で男の頭部が銃で吹き飛ばされる(『羊の頭』)。ショッ
◎編集者コラム◎ 『江戸寺子屋薫風庵』篠 綾子
 かねがね、篠綾子さんに書いてもらいたいジャンルがあった。堅苦しくいえば教育問題、平たくいえば、寺子屋の師匠と子どもたちの物語である。カバーの著者略歴にもあるとおり、篠さんは東京学芸大学のご出身である。現在は教育学部の中に学校教育系と教育支援系課程を置いて、教職だけでなく各界に有用な人材を送り出しているが、そもそも同大
◎編集者コラム◎ 『1793』ニクラス・ナット・オ・ダーグ 訳/ヘレンハルメ美穂
 18世紀後半、フランス革命の余波を受け混沌としたストックホルムを舞台に、凄惨な殺人事件の謎を追う二人の男と事件にまつわる人々を描いた歴史ミステリー『1793』(ニクラス・ナット・オ・ダーグ著)は、2017年にスウェーデンで刊行されるや欧州各国でベストセラーとなった超話題作です。日本では2019年にヘレンハルメ美穂訳で
◎編集者コラム◎ 『ほどなく、お別れです』長月天音
 7月6日に文庫判が発売となった『ほどなく、お別れです』は、長月天音さんのデビュー作です。2018年に第十九回小学館文庫小説賞を受賞(応募時タイトル「セレモニー」)し、単行本として刊行された際には、グリーフケア(身近な人を亡くし悲嘆に暮れる人に寄り添い、立ち直るまでの道のりをサポートする遺族ケア)小説として大きな反響を
◎編集者コラム◎ 『ロボット・イン・ザ・ホスピタル』デボラ・インストール 訳/松原葉子
 こんにちは。ロボ担です。タングファンの皆さま、大変お待たせしました。約2年ぶりに、タング&ベンのぽんこつコンビとファミリーが帰ってきました!!シリーズ第5弾『ロボット・イン・ザ・ホスピタル』をお届けします。第1作『ロボット・イン・ザ・ガーデン』をご紹介したのが6年前。世界各国で翻訳刊行されたこの作品ですが、とりわけ日
 もしも、あの時ああしていたら、自分の人生、どうなっていたんだろう。誰しも思い当たる節があるそんな瞬間に本当に戻れたら、いったいどんなことになってしまうのか。そのあとは、思い描いたように新たな時を刻んでいってくれるのだろうか。ひとことでいえば、本作はタイムリープのジャンルに入るはずですが、「もしも、あの時」というこの一
◎編集者コラム◎ 『おれたちを齧るな! わしらは怪しい雑魚釣り隊』椎名 誠
 シーナ隊長が「怪しい探検隊」の正統後継団体として「雑魚釣り隊」を結成したのは2005年のことだ。結成から既に17年もの月日が流れたということになる。日本や世界の色々な海や川や湖や水たまりでバカ騒動を繰り広げてきたこのシリーズも、今作でなんと7作目となった。それだけ長期間、顔触れも大して変わらない男ばかりの集団でやるこ
◎編集者コラム◎ 『予備校のいちばん長い日』向井湘吾 企画・監修/西澤あおい
『予備校のいちばん長い日』の編集者コラムをご覧いただき、ありがとうございます。本作の編集を担当しました、A田と申します。突然ですが、皆さんは「受験」というものにどのような思い出がありますか? 人生が変わった、もう二度としたくない、糧になった、泣いた、笑った、などなど。様々な思い出がある中、やはり受験というと「難しい」「
◎編集者コラム◎ 『ミライヲウム』水沢秋生
 水沢秋生さんとの出会いは、ファッション誌の後輩からの紹介だった。出版社に勤めていた友人の作家を紹介したいとのことで、会社の近くのビアホールで会うことになった。その時、横浜中華街の餃子の名店がまずかったという話をしたら、水沢さんもその店に行ったばかりで、自分もそう感じたとのことで意気投合したのを覚えている。そこからはあ
◎編集者コラム◎ 『壜のなかの永遠』ジェス・キッド 訳/木下淳子
 突然ですが、アイルランドの人魚伝説って知ってますか?「メロウ」と呼ばれ、民話・伝承に登場する存在で、上半身は人間、下半身は魚という点ではアンデルセン童話やディズニー映画に登場するマーメイドと同じ。ただ、女のメロウは人間の男と恋をして結婚することもある一方で、獰猛な面もあり、時に男を破滅させる力も発揮すると伝えられます