翔田 寛

 失恋の痛手は、誰もが経験するものだろう。トーマス・H・クックの小説「夏草の記憶」は、白人少年ベン・ウェイドの、謎めいた少女ケリー・トロイへの熱烈な思慕と、その想いが潰えさる顛末を物語って、痛切な共感を呼び覚まさずにおかない。