辻 真先

辻 真先「忘却とは」
「忘却とは──」  それが女房の口癖だった。 「忘れ去ることなり」  当たり前だろ。耳にする都度吹き出しそうになり、懸命に歯を噛みしめたもんだ。今となってはどうでもいいが、三年前に亡くなったあいつは、