漂白

◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第13回
「漂白」目次  今後の弁護方針を決めるために、話しづらいことも話してもらわなければならない。大事なのは、彼がどんな人間であれ、どんな行為を働いていたのであれ、弁護士まで取調べを行った刑事と同じ側に立
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第12回
「漂白」目次      4 「接見室へどうぞ」女性留置官は、表情を消し去って事務的に告げた。  接見室のドアは、事務室のカウンターの内側にある。無言の二人の留置官を残して中へ入
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第11回
「漂白」目次 「私はまさに、"捜査の中断による支障が顕著な場合"だと申し上げている。犯罪者を捕まえておしまいなら、警察の仕事も楽なもんです。残念ながら、検察送致という重いお役目もしょわされてる。先生
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第10回
「漂白」目次      3  初回接見が時間との戦いとなるのは、弁護士の到着が遅れる間に違法な取調べが行われ、それによって自白調書が取られてしまうおそれがあるからだ。  報道に
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第9回
「漂白」目次  画面が切り替わって、ヘリコプターからの空撮映像になった。荒川とおぼしき河川敷の上空。青い制服に帽子をかぶった警視庁の鑑識課員たちが、一部をブルーシートで覆い、さらに周辺をロープで囲っ
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第8回
「漂白」目次  犯罪心理学者は、フリップボードを新しいものと入れ替えた。 『まず、FBIが性的殺人犯の分類に用いる、「秩序型」、「無秩序型」というモデルを適用すると、この犯人は秩序型
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第7回
「漂白」目次      2 「志鶴、あなたまたそれだけ? せめておかずくらい食べたら?」  冷蔵庫から出した牛乳をグラスに注いでテーブルに座った志鶴に、母親が声をかけた。
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第6回
   第一章──自白      1 「どうした。全然食べてないじゃん」  三浦俊也(みうらしゅんや)が言った。  職場近くのワインバル。夕食を誘われ、仕事に区切
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第5回
「漂白」目次 「……私は、栗原学さんを殺すつもりなんて、ありませんでした。あのときは、ただ、自分の身を守ろうと無我夢中で……」  嗚咽(おえつ)で、彼女の言葉は途切れた。 「すみません……私からは、
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第4回
「漂白」目次  志鶴は、司法解剖を担当した医師による鑑定書を書画カメラで提示した。 「検察側は、栗原氏の死因を、腹部の傷口からの出血による、出血性ショックとしています。救急手術を担当した医師による死
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第3回
「漂白」目次  志鶴は、検察側が証拠として請求した、栗原学の死体の損傷状況をイラストにした書面を書画カメラで提示した。 「栗原氏の体には、腹部の傷の他、もう一つ、爪やすりによる傷があ
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第2回
「漂白」目次  ──呑(の)まれるな。  胸の中で、ひるみそうな自分を叱咤(しった)し、もはやこの世にはいない相手に声をかける。  ──やるよ。見てて、尊(たける)。
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第1回
「漂白」目次    序章──予震  「弁護人、最終弁論をどうぞ」  静まりかえった法廷に裁判長の声が響く。 「はい」  答えた川村志鶴(かわむらしづる)は、弁