ゆっきゅんの毎日今日からちゃんとしたい日記 ☆2026年8月前半★

8月1日
季節だけじゃなくて、出来事自体が夏だよね。
SAKA-SAMAに作詞した『親友って呼んでいいのかな?』のレコーディングに急遽行くことになり、ボーカルディレクションで参加。出来るだけ具体的に伝えようと思うけど、みんな私のニュアンスをすぐ汲み取ってくれて歌に反映してくれてすごい。「しんゆうってよんでいいのかな」ってサビ頭をただ歌うと、子音でリズム感が出せなくて「しーゆーってー」ってのっぺりしてしまうので「し“ン”ゆー」って立てて歌ってみてください。とかそういうことを言いに来た。何人か目のレコーディングをしている間に、メンバーのえりこがサーティワンでアイスのホールケーキを買って来ていて、私の現場くらい朗らかな現場。
去年、えりこと遊園地に行ったとき、帰りに広めのドラッグストアに寄った。私はコスメの流行や評判に疎いので、「SNSの情報を全て鵜吞みにしてます」というえりこに教えてもらって化粧品をあれもこれも買うことにした。下地もファンデーションもブラシも、買いたいものが増えていって、両手で指から溢れんばかりの商品を手に持って歩いていたら店員さんが「よろしければこちら、お使いください」とカゴを差し出してくれた。さらに続けて「ファンです。ゆっきゅんさんって、やっぱりカゴを使わないんですね」と言われた。
え!?
ありがとう
ねえ
たしかに私ってカゴを使わないね
ていうか、カゴを使わないことに
今気付かされたんだわ
でもさ
今あなたが言った
その
やっぱり
ってやつ
何?
どの、やっぱり!?
そして私は『Oh My Basket!』という歌で、カゴを使わずに両手で粘る人を描いた。
8月2日
東京学生映画祭の審査員を務めさせてもらった。映画祭の審査員をするのは初めてだったし、神保町に新しくオープンした映画館・シネマリスに行くのも初めてだった。力作ばかりで、これからも映画を撮り続けてほしいと願う。名残惜しかったけど、打ち上げに一瞬でも行ったら絶対に朝まで帰れなくなると思い、パセラに向かう群れから意を決して帰宅。仕事が終わっていないんだ。カラオケに向かう人たちの群れからこの俺が離れたのは人生で初めてだろう。
帰り道に考える。もし自分が大学生のときに映画を撮ってたらどんなだったんだろう。その過去もきっと楽しそうだった。でも、撮るべきだったもの、20歳前後に撮り損ねたものは特に何も浮かばなかった。今日出会った監督たちの年齢のころの私は、好きな映画の批評を書く時に、映像の持つ文体やリズム感を文章に同期させるとか、そういうことを模索していた。書けた!っていう感触が一回だけあって、たまたまそれを読んでくれた大人がいて、初めて雑誌に寄稿する依頼が来て、その人とは今も連載の仕事をさせてもらっている。
音楽活動を始めた頃は、自分がわざわざ学生をしていたことと活動があんまり関係がなかったけど、2年前に自分のMVと選んだ映画を併映する特集上映――ゆっきゅん映画祭をやったあたりから、別にここに繫げるためというわけでもなかった努力が、実を結び始めた。今はもう、同じ一つの心によってさまざまなものを感じて出すだけなので、何でも来いって感じだ。
8月3日
山梨に春にオープンした「山梨いちごの王さまミュージアム」に行く。サンリオの歴史資料を並べた「サンリオ歴史館」と創業者の歩みと功績を振り返る「辻󠄀信太郎記念館」が併設されている。私と友人はサンリオの広報誌である「いちご新聞」がアーカイブされたモニターに夢中になり、反戦や「みんななかよく」の思いが幾度となく綴られたいちご新聞を何年分も見ていた。辻󠄀信太郎氏の思いを発信するために作られたキャラクターがいちごの王さまなのだ。たぶん1時間くらいはそこに座って「いちごの王さまからのメッセージ」のページを閲覧していた。そんな人々は他にいなくて、私たちはクーラーの効いた図書館に来て友達とパソコンに夢中になる夏休みの小学生のようだった。友人は辻󠄀信太郎氏に感銘を受けすぎて「いちごの王さまの言うことが全て正しいでございます。いちごの王さまだけを信じます。」と繰り返していて、信じ方が間違っていた。王さまはそれを望んでいない。
クリスタル・ミュージアムという施設にも行った。ショップの一角に、月ではなく366日に分けて誕生石を調べられる本があったので、5月26 日を開いてみると、「銅」と書かれている。「五月蠅いと書いて“うるさい”と読みます。ハエは……」と始まる文章で、「悪い虫に追いかけられているあなた、ぜひ銅のジュエリーを。」と終始、ハエについて書かれた文章だった。心外である。
甲府駅前のカラオケに行く。友人がDA PUMPの『ごきげんだぜっ!〜Nothing But Something〜』を歌う。2番の「ずっとあんたと話してみたかった 別の生き方ができそうな気がしたの」という部分が急に心に入ってきて、泣いちゃみ(泣けるという意味)。
8月4日
初単著『孤独はかけがえないディスコ』の情報が解禁されていた。Blueskyで新刊情報を投稿しているアカウントが1番反応が早かった。
ところで、最近は来年で20周年を迎えることになる年、2007年のことばかり考えている。Perfume『ポリリズム』がリリースされるまでの、Perfumeがブレイクしてエレクトロサウンドが一世を風靡する直前の、その土壌を作ったものたち。2005年から2007年のカルチャー。インターネットがあってブログとmixiとMyspaceがあって、Twitterがない。関心の中心にあるのは主に音楽雑誌『MARQUEE』が取り上げていたポップアイコン系の歌姫やシンセが目立ってる四つ打ちのバンド、あとYouTube登場寸前のスペースシャワーTV、ヴィレッジヴァンガードで見つけていたような音楽について。とはいえ、2007年の夏のど真ん中にあった衝撃は浜崎あゆみと長瀬智也の破局報道なのだった。結局、長瀬にとってのayuが「1番目に好きな人ではなくて0番目に好きな人。」になったのがあの年の日本で1番大きな出来事ではあるけど、9月12日に『ポリリズム』がリリースされ、9月29日に沢尻エリカが「別に」って言って、10月3日にはMEGが稀代の名曲『OK』をリリースした。つまり、大切な夏の後には、大切な秋が続いているんだ。そんなことを考えていたら『絶対恋愛辞めないで』(絶対アイドル辞めないで/=LOVE)という架空の曲名が頭をよぎったけれど、破局だって恋愛なのだった。ごめん。
8月5日
PayPayから「AKB48さんからの請求を確認してください」と通知が来て何事かと思う。昨日遊んだ友人がPayPayの名前を「AKB48」に設定していた。どうしてそんなに面白いのか。
教師の山田邦子と生徒の西田ひかるの心が入れ替わってしまう映画『山田ババアに花束を』。心が西田ひかるの山田邦子(山田ババア)が、心が山田邦子の西田ひかるに向かって、「あたしの体で勝手に泣かないでよ。あたしは、あたしの泣いた顔が一番嫌いなんだから」と言う。泣いちゃみ。
ベーシストの藤本ひかりさんとBase Ball Bearの関根史織さんと台湾料理を食べて、パフェを食べた。兵庫の君島くんのライブを君島大空トリオの一員であるひかりさんも見に来ていて、「史織姫と3人で会おう」と言ってくれて、すぐ会えた。しおりひめしおりひめ〜と思いながらお会いして、帰り道でふと「関根嬢」という呼び名を思い出す。
8月6日
なんか盛り上がって、10年前に東京の大学生がみんな持っていたアメアパ(American Apparel)のショルダーバッグを友達と一緒にフリマアプリで買ってしまう。都市の名前がアルファベットとスラッシュの羅列でプリントされているやつである。私は当時持っていなかったし、欲しいと思ったこともなかったはずなのに、今、あえて。売りに出している人がたくさんいるのはわかるけど、買っている人は一体なんなんだ。自分たちのことである。
夜にたまたま新宿で暇になり、映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』を観たくなる。もう3回観ているらしい友達が、明日も観に行くらしいのに仕事場からすぐに来てくれた。タイ料理を食べてからバルト9のレイトショーに行く。ちいかわに詳しくないから「相関図だけ見とくか」と言ったら「そんなものはないよ」と笑われた。検索してみるとファンによる手作りの相関図はいくつかあった。「なんかわかっといた方がいいことある?」「言葉を喋れるキャラクターとそうでないキャラクターがいる」「あー、英語と同じだ」「ねぇ、そんなこと言ったら中国語もだよ」とか話しながら映画が始まった。私は、間違えてもいいから、大人ならばもっと、結末はもう一歩進めて、この映画なりの答えを出してみてくれないかと思った。帰りに友達がパンフレットを買っていて、何冊目なのか確認したら1冊目だった。
8月7日
河出書房新社の会議室をお借りして『孤独はかけがえないディスコ』、ゲラ再校作業1日目。これを一通り見直し終わったら、基本的には改稿はしづらくなる段階らしい。丁寧に見ていく。担当編集の村田さんが「フレッシュ柑橘とメロンの杏仁豆腐」を差し入れしてくれる。私は1人だし、杏仁豆腐も1つなのに、スプーンを大小2つ用意してくださった。その親切心を大切に受け取りたいと思う。
来年はソフィア・コッポラの映画『マリー・アントワネット』が日本公開20周年なのでコラボアパレルが死ぬほど売れるだろうけど、適当なTシャツボディに適当な場面写真をプリントして9000円台で売るだるい商売はやめてくれ。
8月8日
Summer Eyeの夏目さんが誘ってくれて、NMIXXのライブをKEIO ARENA TOKYOに見に行く。初めて行く会場だったけど、一昨年にa-nationを見に行った味の素スタジアムの隣だった。飛田給。京王線に乗ってK-POPを見に行くってなんか不思議な感じがする。NMIXXは、野外ライブかよと思うくらいに腹から声を出していて気持ちがいい。『Shape of Love』が好き。夏目さんはいまとても制作が忙しいらしかったけど、「でもご飯は食べるものだから」ってことになって沖縄料理屋に行く。どんなに忙しくてもいつでも誰とでもこの理由によって一緒にご飯を食べることができるから、私のお気に入りの理由である。
焼きそばを食べながら「自分はもっとこうしたらいいと思うんですよねーできると思うんですよねー」みたいな話をしていたら、「自分を見てるみたいでした」と言われた。それを聞いた私のニュアンスとしては、言ってくれた、が正確かな。
8月9日
友人2名とやっと集まれて北野武監督作『あの夏、いちばん静かな海。』を観る。夏に夏の映画を観るような、普通の遊びがしたかった。この映画は私が尊敬している人にとっての思い出の映画で、そんな簡単な理由で作品を好きになることは、いくつになっても楽しいことだ。
8月10日
まだ観に行けていない映画のタイトルをうろ覚えで「みんなありがとうね、みたいなやつ」って言ったら『また会えるよね』だった。惜しい。
8月11日
渋谷TOKIO TOKYOでthe bercedes menzとツーマンライブ。アンコールでコラボしましょうって言うのが昨夜になってしまって、当日リハだけでthe bercedes menzの私が好きな『あーもう』という歌を歌ったのが楽しかった。私はコラボのためにギリギリで歌詞を覚えるのがたぶん好きなんだと思う。リハではスマホの歌詞見て歌っておきながら、不安になりながら、本番までに歌詞覚えて出るのが好きだ。準備不足でライブに出ないといけない職業夢をよく見るけど、どうにかするのが好きなんだと思う。短期記憶の快。起源を辿れば、高校の小テストか。しかしライブとは、漢字でも英単語でもなく、本番です。
昨夜、夫が妻に相談せずに政党を設立したことについて妻が怒り、離婚の話にもなったらしいのに、それを配信番組で言及された夫がとにかくヘラヘラとふざけているのを見た。なんか切なくなって、今日のMCで「ヘラヘラしてる人が手放してしまう恋愛って泣けますよね」って言ったらお客さんみんな口が開いちゃった。
ライブですべてのやる気が出て、豪雨の中帰宅即洗濯機を回しただけではなく、衣装のトップスとニットポロたちを手洗いするというエネルギーのありあまりっぷり。やっぱり私は届けるのが好きだし、ライブで顔を見るのが好き! 私を頭の外に連れ出してくれてありがとう。
8月12日
『孤独はかけがえないディスコ』再校チェックが終わった。
冒頭を「あなた」から「君」に変える。
夜型とか朝型とかあるけど、普通に昼型になりたい。
8月13日
どんな時でも私が失わないもの、それは、ユーモア!
8月15日
Mizcaという歌手の『たっくんが好きなの・・・』という魔曲を発見。
面白くて、切なくて、かわいくて。
(次回は11月12日公開予定です)
DIVA・作詞家 1995年岡山県生まれ。青山学院大学大学院文学研究科比較芸術学専攻修了。2016年、ルアンとのサントラ系アヴァンポップユニット「電影と少年CQ」を結成。2021年よりセルフプロデュースでのソロ活動「DIVA Project」を本格始動。アーティストとして楽曲を発表するほか、作詞提供、コラムや映画評の執筆など活躍の幅を広げている。アルバムに『DIVA YOU』『生まれ変わらないあなたを』、最新EPは『こんな半日を宝石にして』、最新シングルは『WALK』。文化放送「武田砂鉄 ラジオマガジン」水曜後半レギュラー。初単著『孤独はかけがえないディスコ』が好評発売中!
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