エッセイ

ハクマン57回
今年になってから、毎月本を出しているような気がするが、本当に毎月出ており、なんだったらひと月に2冊出てるし、さらに今月も出る。おそらく買う方も疲れていると思うが、俺が一番疲れているのだから、我慢して最後まで買って欲しい。
辻堂ホームズ子育て事件簿
2021年3月×日 「子育てエッセイの依頼とか、来ないんですか?」2020年2月。産後2週間健診で、助産師さんから突如、そんなことを言われた。私が出産したのは規模がそこそこ大きい病院で…
武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第4回「思い出の京の味」
昔からジェットコースターが苦手だった。高いところから急降下する時の、あのふわっとする感じが好きじゃない。でも、屋内のジェットコースターは好きだ。「武田の乗れるやつと乗れないやつの基準ってなんなん?」と友人に聞かれた時には、「落ちた時に死にそうなやつは乗れない」と答えた。
東川篤哉『新 謎解きはディナーのあとで』
コロナ禍はミステリではありません このたび『新 謎解きはディナーのあとで』が刊行の運びとなりました。執筆期間は一昨年の終盤から今年の正月まで。したがって五本収録された短編のうち四本までが、昨年春以降のコロナ禍において執筆されたものとなります...
関口英子『戻ってきた娘』
岩に咲く一輪の花 「13歳のとき、もう一人の母親のことはわたしの記憶になかった。」という一文から始まるこの小説、10行にも満たない第1章で、早くも読者を物語の世界に引きずり込む魔力を持っている。いったいこの少女になにが起こっているのか。なぜ会った記憶もない実の母親の許に戻されることになったのか。
ハクマン56回
「月初の呼札を紙屑に変えた奴だけが集うサロンへようこそ」これは一時期、私が月初めに必ずツイッターでつぶやいていた言葉である。ソシャゲの「FGO」で…
思い出の味 ◈ 伊岡 瞬
 大学三年生の夏休みに、学友六人(全員男)で北海道を旅行した。移動手段は、メンバーの親から借りた都合二台の車だ。うち二名は、東北の実家に帰省中だったので、東京方面から北上する途中で合流する。ついでに、そのうちの一軒にひと晩泊めてもらうことになっていた。当時もおそらく今も、学生は節約旅だ。雨風がしのげて、
辛酸なめ子『電車のおじさん』
おじさんだらけの日本で、おじさんへの応援と感謝を込めて……  日本の平均年齢は47歳、という数字を先日目にしました。日本はほぼおじさん、おばさんだらけの国。それなのに存在感が薄かったり、力を発揮できない中高年世代が多い気がします。森首相の女性蔑視発言は問題ですが、おじさんたちも虐げられているように思います。家庭では疎まれ、仕事場では時代遅れだと言われ……。
一木けい『9月9日9時9分』
いつも言葉を探している 「嫉妬」と「埃」の区別がつかない。どちらのタイ語も無理やりカタカナにすれば「フン」だ。ネイティブの発音を聴くと違うのはわかる。でもその通りの音を正確に出すことができない。舌や歯などついているものは同じなのにどうして、といつも思う。
ハクマン55回
「月初の呼札を紙屑に変えた奴だけが集うサロンへようこそ」これは一時期、私が月初めに必ずツイッターでつぶやいていた言葉である。ソシャゲの「FGO」で…
武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第4回「思い出の京の味」
 ──おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)初めてこの文章に触れたのは、確か小学生の高学年の頃だった。フランス人飛行士であり作家でもあったアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの名作小説『星の王子さま』の一節だ。
若松英輔「光であることば」第3回
詩を書くことでいのちの燈火を燃やし続けた若松さんにとって「詩歌のちから」 とは── 静寂の音信おとづれ  世の人々は悲しむ者を励ます。悲しむことは不幸である。早く悲しみを乗り
ハクマン54回バナー
最近「Clubhouse」という新しいSNSが話題になっている。 「Clubhouse」については、この連載以外で何度も話題に出しているため、読者によっては「またその話かよ」「使っても
手嶋龍一『鳴かずのカッコウ』
無名の諜報機関に降臨した若者 旧知の英国人が一か月に及んだ日本滞在を終えて帰国するという。その前日、皇居の濠を望むホテルのラウンジで雑談をしていた。初めての日本では随分苦労したらしいが、この国はとても気に入ったらしい。そんな彼が突然真顔で一つだけ教えてほしいと言う。
宮﨑真紀『おばあちゃん、青い自転車で世界に出逢う』
90歳のおばあちゃん、哲学の旅  メキシコのオアハカでひとり暮らす90歳のマルおばあちゃんが、会ったこともなかったたった1人の孫を探しに、ターコイズブルーの自転車に乗って、海辺
スピリチュアル探偵
折しものコロナ禍で、人々の働き方や生活様式は大きく変わりました。僕のような物書き稼業の者にしても、取材や打ち合わせがオンライン化され、移動の負荷は少なからず軽減されています。 そうして
三浦裕子『リングサイド』
熱くて真剣でおかしくて切ない 台湾の若手作家、林育徳の『リングサイド』は、プロレスをめぐる10篇の連作短編小説。プロレスがとてもマイナーな娯楽である台湾で、プロレスにうっかり出会ってしまい、なぜか深く魅了されてしまった市井の人々のストーリーです。
思い出の味 ◈ 望月麻衣
 デビューする前、私はまだ幼い子の育児に奮闘する専業主婦でした。子どもを幼稚園に送り出した後、執筆した作品を小説投稿サイトに掲載し、更新するのが何よりの楽しみという毎日。