エッセイ

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下村敦史『アルテミスの涙』
20作目 『闇に香る嘘』(講談社)で第60回江戸川乱歩賞を受賞してデビューしてから早くも7年。『生還者』(講談社)、『真実の檻』(KADOKAWA)、『黙過』(徳間書店)、『刑事の慟哭』(双葉社)、『悲願花』(小学館)、『同姓同名』(幻冬舎)、『ヴィクトリアン・ホテル』(実業之日本社)等々、各社で警察小説や医療ミステリー、山岳ミステリー、冒険小説と様々なジャンルの作品を書いてきました。
ハクマン第67回
ようやくコロナウィルスのワクチンの予約が出来た。ネット予約争奪戦に挑んでは惨敗してきたが、一足早く予約が取れ、打ちに行った家人から「今予約受付しているらしい」という情報があり、本当にそれで難なく予約できた。
一木けいさん
物語の舞台が異世界だろうと実在する場所だろうと、私は創作で現実を思い知らされたいのだと思う。この十年で衝撃的に面白かった漫画は『先生の白い嘘』と『ぷらせぼくらぶ』。鳥飼茜さんはちょっともさくて200%セクシーな男を描く天才。
 フェアか、後出しか、それが問題だ。いや、問題じゃないかもしれないけど。何の話かと言えば、どんでん返しの仕掛けの話だ。フェアつまり公正などんでん返しとは、きっちり伏線が張られており、種明かしされたときに「なるほど!」と膝を打てるようなどんでん返し。後出しは、その逆で伏線なしの意外な展開で驚かせるどんでん返し。
思い出の味 ◈ 河野 裕
父と鱒寿司 私は徳島県の出身で、幼いころは長期休暇の度に、大阪で暮らす祖母のところまで遊びに行った。当時はまず船で和歌山に渡ってから電車で大阪に向かうルートが定番だった。船内には座席の他に、寝転がって過ごせるよう、床が絨毯張りになっている区画があった。その絨毯の上で、なんとなく即席の縄張りみたいなものを確保すると、父が
辻堂ホームズ子育て事件簿
2021年8月×日 我が家のテレビのチャンネルは、ほとんど常時、NHKのEテレに固定されている。娘が起きている間、子ども向け以外の番組を見ることはない。娘が生まれる前までは...
武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第4回「思い出の京の味」
作家、家を探す。 家探しって、楽しいけどめんどくさい。大学を卒業して上京するまで、私はずっと京都府宇治市の実家に住んでいた。宇治はかなり住みやすい街だ。買い物には困らないし、自然も多いし、近くには文化遺産もあるし。
「どんでん返し」に欠かせないものといえば、やはりフィニッシング・ストローク――最後の一行で物語をひっくり返すのが一番の妙味でしょう。おすすめ作品を挙げるなら、テリー・ビッスンの「マックたち」(中村融訳)。文庫本で20ページ足らずの短編ですが、ラストの一行(正確には一語)できれいに落ちる。
直島 翔『転がる検事に苔むさず』
自己都合的な仮説「読めれば書ける」は本当か 本の話です。かれこれ三十数年前、東京で学問に身の入らない大学生をしていたころ、図書館で挫折を味わったことがあります。
長岡弘樹『教場X 刑事指導官・風間公親』
記憶に残る指導官 これまでの人生で、「指導官」と呼ばれる人物から何か教えてもらった経験があるだろうか……。しばらくのあいだ考えてみたが、心当たりは一つだけだった。自動車学校での教習である。
若松英輔「光であることば」第8回
たましいの燈火――たましいとは何か Ⅰ 「たましい」とは何か。そんなことをずっと考えている。答えがでないことは分かっているのだが、長く続く危機の時代にあって、「たましい」をはたらかせなければならない、そう感じることが多いからかもしれない。ここでいう「たましい」は、先の戦争で叫ばれた大和魂とはまったく関係ない。また、どこ
『ロートレック荘事件』筒井康隆。「どんでん返し」をコンセプトにしたストーリーを考える際、もっとも大事なのは「派手にどんでん返すこと」ではなかったりします。派手に返すのは当たり前でして、返しただけでは「いまいち」以上の水準にならないからです。問題なのは「返したあとにどんな景色が広がるか」。
hakuman
先日「ネームに対して1円も作家に支払われないというのは、いくらなんでも出版社の方が有利すぎるシステムじゃないか」というつぶやきがツイッターでちょっと話題になったらしい。
◇自著を語る◇ 谷口桂子 『食と酒 吉村昭の流儀』
奇跡のような夫婦の軌跡  思いがけないきっかけから、一冊の本が生まれることがある。私が吉村昭さんに関する本を書くことになったのは、吉村さんの恩師である丹羽文雄の名前を冠した文学賞を、郷里の三重県四日市市に提案したことに端を発する。渡辺淳一さんに賛同人になっていただいたにもかかわらず、それは泥沼の紛争と化し、嘘はつかない
 どんでん返しの一定型に、ある男(女)が実は女(男)だったと最後に判明するパターンがある。こういう性別誤認のトリックを映画で上手くやっている作品と言えば、まず思い出されるのが『クライング・ゲーム』(1992)だ。それより少し後に公開された『薔薇の素顔』(1994)も(世評は芳しくないようだが)個人的には好きである。
 山田風太郎の小説は、デビュー作から多くをリアルタイムで読みつづけた。ミステリ作家だからドンデン返しの妙に唸らされたものも数多いが、読後しばし茫然としたドンデン返しなら「外道忍法帖」がある。シリーズ中では忍者の登場人数が最大級で.三つ巴の乱戦模様を呈する。
南 杏子『ヴァイタル・サイン』
追いつめられないでほしいから 主人公が女性医師でない物語を書いたのは初めてです。医療現場で患者さんや家族に最も近い存在が看護師さん。命の最前線にいる緊張やストレスがあるにも関わらず、決して逃げずに献身的で、共感力があり、いつも笑顔を見せてくれます。そんな姿がとても魅力的で、神々しさすら感じていました。
 ショートショートという短くて不思議な小説に特化したショートショート作家として活動している。ショートショートといえば、どんでん返し。そんなイメージもあるけれど、現代ショートショートとは「アイデアがあり、それを活かした印象的な結末のある物語」。