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◎編集者コラム◎ 『口福のレシピ』原田ひ香
「『口福のレシピ』といえば、これなんだよなあ」と個人的に思っているレシピがある。竹の子の料理だ。2019年の連載時は、原稿をいただいた時がちょうど旬の終わりで間に合わず、単行本化の準備をしていた2020年の4月、ようやくそれを作ることができた。新型コロナウィルス感染症の対策で仕事は在宅になって、スーパーでの買い物も人数
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◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第229回
「その日の夕方、足立南署に当番弁護士が接見に来た。そうですね?」「──はい」「川村弁護士はあなたから話を聞き、取調べに対してどう臨むべきか助言した。違いませんか?」「……そうです」「川村弁護士はあなたに、たとえ一度本当のことを自白してしまったとしても大丈夫、何とか切り抜ける方法がある、と入れ知恵をした。取調べでの自白を
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SPECIALインタビュー◇加納愛子『これはちゃうか』
 お笑いコンビ・Aマッソの〝頭脳〟としてテレビや YouTube、ライブを中心に活躍中の加納愛子。近年は文芸誌でエッセイや小説を精力的に執筆している彼女が、このたび初となる小説集を発表した。そのユニークな発想の源から、お笑いと小説というまったく異なる表現への思いまで、余すところなく聞いた。加納愛子の上梓した『これはちゃ
目利き書店員のブックガイド 今週の担当 八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店 平井真実さん
 家から30分ほどの距離に鎌倉がある。出身どこ? と聞かれると「横浜です」と答えてきた私だが、実際は横須賀市、逗子市の境目のぎりぎりハマっこである。だからなのか桜木町やみなとみらいなどのザ・横浜よりも実は鎌倉の方が行きやすく居心地がいい。神社仏閣を訪ねるのが好きなのも、より鎌倉の居心地の良さにつながっているのかもしれな
英国つれづれ第5回バナー
どこまで行っても、窓から見えるのはたいてい住宅街。しかし、これまで見てきた街とは、少し様子が変わってきました。ブライトンの街中でよく見る住宅は、いわゆるフラットです。京都の町屋のように、間口が狭く、奥に向かって細長く、裏手に小さな庭がついている……たいてい3階建てくらいの長方体の住宅が密接して並ぶ、なかなか圧迫感のある
むちゃぶり御免!書店員リレーコラム*第6回
〝トボトボ〟としか表現できないほどトボトボと歩く帰り道がある。特にここ数年は、そんな日が増えたような気がする。人との距離は空けること、不要不急の外出は避けること、急な予定変更、中止、制限、我慢我慢我慢……。何と戦っているのかわからないけれど、増す疲労。そんな変化の日々に積もっていった疲労が隠しきれない夜、トボトボと歩き
『超短編! ラブストーリー大どんでん返し』刊行記念鼎談 ◇ 森晶麿 × 大山誠一郎 × 青崎有吾
 日本を代表するミステリー作家三〇名が、わずか二〇〇〇字で「どんでん返し」を仕掛けてみせたショートショート集『超短編! 大どんでん返し』(小学館文庫)。九万部突破の大ヒットを記録している同書にインスパイアされた森晶麿が、『超短編! ラブストーリー大どんでん返し』(小学館文庫)を刊行した。たった一人で三一編ものどんでん返
相場英雄『覇王の轍』
素朴な疑問が出発点 〈こんなビジネスモデルで、どうやって経営を続けていくんだ?〉拙著『覇王の轍』は、こんな素朴な疑問が出発点となった。先に触れたビジネスモデルとは、〈ガラガラに空いた列車〉を指す。素人目にみても、将来的に破綻するのが目に見えていると映ったのだ。私事で恐縮だが、日頃の取材活動では自ら自動車やバイクを駆り、
辻堂ホームズ子育て事件簿
「侮るなかれ、マタニティブルー」2023年1月×日 先日、30歳になった。2人の子のママになって約1年、逆にまだ20代なのが不思議だ~、くらいに軽く考えていたけれど、いざ年齢欄に「30」と書くようになると、ちょっとずっしりくるものがある。そんなわけで周りもいよいよ出産ラッシュだ。この年末には、クリスマスから大晦日までの
採れたて本!【国内ミステリ】
 東京地裁で「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある。だから現場が密室である限り、犯人は必ず無罪になる」という奇天烈な判決が下って以来、日本中で密室殺人事件が急増した……という奇想天外な設定の本格ミステリ『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』で、第二十回「このミステリーがすごい!」大賞の文庫グランプ
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第228回
 休憩後、ふたたび開廷した。反対質問に立ったのは青葉だった。増山に向かって微笑みかけた。増山は赤面した。「あなたは女子中学生に性的興味があり、ジュニアアイドルのDVDを大量に保持しており、女子中学生が監禁・レイプされる漫画を愛読していた。そうしたものを観たり読んだりしながら自慰行為に耽(ふけ)った。そうですね?」増山の
ご好評につき会期延長「伊集院静 旅行鞄のガラクタ」展を小説丸スタッフが見てきました!
 作家・伊集院静さんのエッセイ集『旅行鞄のガラクタ』の刊行を記念して、昨年12月から開催されている「伊集院静 旅行鞄のガラクタ」展。ご好評につきこのほど、2月28日(火)まで会期の延長が決定しました。会場には、本書に登場するスペイン、フランス、スコットランド、エジプト、中国など、世界各地の旅先から作家が持ち帰った品々が
新川帆立さん『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』
法律家スピリットと反抗期の批判精神から生まれた物語 『元彼の遺言状』で『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を受賞して一昨年デビューした新川帆立さん。以来ヒットを飛ばし続けている彼女の新作が『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』。リーガルSF短篇集という、新たな試みだ。このなんとも長いタイトルにも、実
目利き書店員のブックガイド 今週の担当 未来屋書店石巻店 恵比志奈緒さん
 何もかもが心を迂回していくようだった。言葉はすべて本心を避けて通った。 なけなしの社会性はとうに擦り切れ、もう何の気力も残っていないというのに、立ち止まる術が無い。 夕暮れが懲りもせず私を急き立てる。靴の埃を払う事さえ出来ないような日々に、幾度となく自分を恥じた。やがて冬が訪れても、豪雪ののち翳りの中にいつまでも溶け
著者の窓 第23回 ◈ 真山仁『タングル』
 企業買収の裏側を描いたヒット作「ハゲタカ」シリーズをはじめ、『売国』『オペレーションZ』など現代社会と鋭く向き合う作品で知られる真山仁さん。最新作『タングル』(小学館)は、日本・シンガポール共同の光量子コンピューター開発プロジェクトに携わる人々の姿を追った、熱くスリリングな物語です。安全保障や金融システムを一変させて
「推してけ! 推してけ!」第30回 ◆『ぼくはないいろ』(黒田小暑・著)
評者=戸田真琴(AV女優 ・文筆家・映画監督) 人間らしすぎるままで、傷口を重ねて 自分より脆い人のことは殴らないと決めている。壊れてしまうかもしれないから。ところが、脆い人間ほど他者への攻撃に暇がない。自らの加害性に気付くにも強さが要る。まさか、自分が他者を侵害しているだなんて、普通は受け入れたくもないからだ。それに
高野和明『踏切の幽霊』
お涙はいらない ハリウッド級どエンタメ『ジェノサイド』で第二回山田風太郎賞および第六五回日本推理作家協会賞を受賞した高野和明が、同作から実に一一年ぶりとなる長編『踏切の幽霊』を発表した。タイトルからは「ホラー」を連想させるが、著者は否定する。本作は、まごうことなき「ゴースト・ストーリー」なのだ。 身元不明の犠牲者に物語
採れたて本!【エンタメ】
 自分が働いて稼いだお金を、一体何のために使いたいか。そう問われると、皆が「幸せのため」だと答えるのではないだろうか。鞄や服を買うのも、生活用品を買うのも、家族で暮らす場所を買うのも、休日に過ごす旅行先の宿泊を買うのも、すべて自分や周囲の人間の幸せが手に入ると思っているからだろう。しかし他人や時代の空気に流されず、何が