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週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うなぎBOOKS 本間悠さん
 8人の書店員が週替わりでその時々のおススメの本を三冊紹介する『週末は書店へ行こう!』。「他の書店員さんが紹介する本と被らない」「メインで紹介するのは新刊」という制約があったため、私が書きたかったものを既に他の書店員さんが紹介したり、その時々で何を紹介しようか悩んだりするかもと思ったが、不思議と被ることも悩むことも無く
採れたて本【エンタメ】
『君の名は。』『天気の子』を大ヒットさせた新海誠監督の新作長編『すずめの戸締まり』が11月11日に全国で公開される。本書『小説 すずめの戸締まり』は、それに先駆け刊行された自身による小説版だ。『秒速5センチメートル』以降、新海は度々自作の小説化を手がけ、特に『君の名は。』からは、映画に先駆けた「原作小説」として刊行、公
「推してけ! 推してけ!」第27回 ◆『キッチンが呼んでる!』(稲田俊輔・著)
評者=平野紗季子(フードエッセイスト) 聖域としてのキッチンで 私の友人に、スニッカーズにキャラウェイシードをつけて食べる女がいる。なんでもキャラウェイはピーナッツと合うのだという。彼女は受動的な食事をしない。自分の好きな味世界、というものを明確に確立しているから、自炊はもちろん、レディメイドの食べ物が向こうからやって
◉話題作、読んで観る?◉ 第56回「あちらにいる鬼」
 直木賞作家の井上荒野が、父・井上光晴と愛人関係にあった瀬戸内寂聴をモデルにして描いた同名小説の映画化。主演の寺島しのぶは、出世作『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督と久々のタッグとなり、剃髪シーンで実際に髪を剃り上げたことでも話題となっている。1966年、作家の長内みはる(寺島しのぶ)は、徳島で開かれた講演会で気鋭の作家
「推してけ! 推してけ!」第26回 ◆『十二月の辞書』(早瀬 耕・著)
評者=池澤春菜(声優) 水晶の明晰さと透徹性を持ち、時間をかけて育つ物語 水晶のようだ。ゆっくりと、物語は育つ。1992年にデビューし、この30年で、これが6冊目。寡作と言ってもいいかもしれない。ただ、早瀬さんの物語は時間をかけて育つ。水晶の明晰さと透徹性を持ち、二つとない結晶として生まれてくるのだ。氷だったら数時間で
採れたて本!【評論】
 本書は、タイトルで中身がおおかた想像できる系書物の一つといえる。テーマは超気になるが、もし二千円も払ってチャラい内容だったら……と逡巡した方も少なくないだろう。そこで読んでみた。結論を先に言うと、かなり面白いし深い。控えめに見ても三千円ぐらいの価値はある、と断言可能。なお英語空間で確認したところ、著者は学術領域でハイ
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 吉見書店 竜南店 柳下博幸さん
『リバー』! まずはこの分厚さに驚く。ずっしりとくる重さは電子書籍では絶対に味わえない紙の本での読書の魅力だろう。渡良瀬川は群馬県桐生市と栃木県足利市に流れる大きな川。数々の支流を飲み込み利根川支流では最大の流域面積を誇る。その渡良瀬川の河川敷に若い女性の絞殺死体が見つかる。現場に向かう捜査員の頭に10年前にこの地で起
◉話題作、読んで観る?◉ 第55回「ある男」
 芥川賞作家・平野啓一郎が2018年に刊行した長編小説を、劇場デビュー作『愚行録』で注目を集めた石川慶監督が映画化。別人としての人生を歩もうとしたひとりの男の謎めいた生涯を、社会派ミステリーとして描いている。弁護士の城戸(妻夫木聡)は、奇妙な仕事を引き受けた。宮崎で暮らすシングルマザーの里枝(安藤サクラ)は、夫・大祐(
◎編集者コラム◎ 『ラインマーカーズ』穂村弘
 2003年に初版が刊行された、人気歌人・穂村弘のベスト版歌集『ラインマーカーズ』が遂に!というか、待望の!というか、満を持して!というか、文庫化されました。 穂村弘さんの文庫は、小学館文庫だけでも4冊の既刊があり、そのすべてに重版がかかっています。この『ラインマーカーズ』の文庫化を待っていたファンの方も多いのではない
田島芽瑠の読メル幸せ
11月になりました だんだんと日が暮れるのが早くなってきましたね。あっという間に寒い季節がやってきました。気づいたらもうあと1ヶ月半で2022年も終わります。皆さんはいかがお過ごしでしょうか? 私は久しぶりに実家にいます。というのも、福岡で12月9日から3日間行われる「山笠キックボーダーズ」という舞台に出演させていただ
◎編集者コラム◎ 『メイド・イン・オキュパイド・ジャパン』小坂一也
 かつて一世を風靡した歌手「小坂一也」と聞いても戦後すぐ生まれの高齢者以外には馴染みのない名前かもしれません。でも1950年代の終わりから90年代にかけては俳優としても活躍しましたから、その甘いマスクをご存じの若い読者も少なくないはず。まず、彼のプロフィールをご紹介しましょう。小坂一也(こさか・かずや) 1935(昭和
◎編集者コラム◎ 『書くインタビュー 5』佐藤正午
 佐藤正午さんの『書くインタビュー5』が発売されました。この一文、念のためひとつひとつ説明します。まず【佐藤正午さん】。念のためです、小説家の名前です。まもなく公開をむかえる映画『月の満ち欠け』の原作者で、2017年にはこの小説『月の満ち欠け』(岩波書店)で直木賞を受賞しています。次に【書くインタビュー5】。この本のタ
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 成田本店 みなと高台店 櫻井美怜さん
 10月のある日、そろそろ眠ろうかと寝室の明かりを消すと、外のあまりの明るさに驚いて飛び起きたことがあった。外から懐中電灯で照らされているかのような丸い光がカーテンの隙間から届いていたのだ。すわ、泥棒か!? とおそるおそる外を覗くと、そこには信じられない明るさの月が佇んでいた。私が見たのは、アメリカの先住民が動物の狩猟
◎編集者コラム◎ 『バタフライ・エフェクト T県警警務部事件課』松嶋智左
 勤め人の引き際、ということを考えることがあります。いずれ来る退職の日までに、何を成せるのか、何を残せるのか。松嶋智左さんにお会いしたときに、お伺いしたのは、「警察官の引き際って、どんな感じなんですかね」ということでした。松嶋智左さんは、元警察官で、日本初の女性白バイ隊員でもあります。現在、警察小説を中心に作品を精力的に
◎編集者コラム◎ 『タスキメシ 箱根』額賀澪
 2019年~2020年、変わりゆく東京五輪マラソンの情報の中で、何度「ぎゃーーー!」と叫んだことでしょうか。この『タスキメシ 箱根』は、未曾有のコロナ禍に振り回された、まさに「TOKYO2020の悲劇」と名付けたい小説かと思います。単行本をお持ちの方はご存知かと思いますが、この本は、ベストセラー小説『タスキメシ』の続
◎編集者コラム◎ 『WIN』ハーラン・コーベン 訳/田口俊樹
『偽りの銃弾』『ランナウェイ』『森から来た少年』と、近年の3作品を小学館文庫からご紹介してきたハーラン・コーベン。過去33作がNYタイムズのベストセラーリストの1位になり、世界中で45言語・7500万部以上が刊行され、近年はNetflixとのコラボレーションで自身の過去作品群の映像化制作も手がけている、アメリカきっての
採れたて本!【海外ミステリ】
 本で読む、一話完結の警察もの連ドラ。本書『九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション』(竹書房文庫)の特徴を一言で言い表すなら、こうなる。著者の一人であるSF作家、マルカ・オールダーのウェブサイトによれば、ポッドキャストサービスである Serial Box(今は Realm)で、三人の共著者──フラン・ワイルド
◎編集者コラム◎ 『超短編! ラブストーリー大どんでん返し』森晶麿
「僕は死にましぇん!」ではないけれど、昨今は、いっそ派手なまでの恋愛表現というものをめっきり見かけなくなったように思います。そもそも恋愛しない若者も増えているというし、エンタメとしての恋愛ものは今どこに!? そんなエアポケットに生まれ落ちたのが本作、『超短編! ラブストーリー大どんでん返し』なのです。現在9万部のロング