◎編集者コラム◎ 『お願いおむらいす』中澤日菜子

◎編集者コラム◎

『お願いおむらいす』中澤日菜子

　中澤日菜子さんの小説は、登場人物が本当に魅力的だ。誰かしらと共感して、切なくなったり、心から応援してしまったり、温かい気持ちになったり･･････。

　そんな小説の代表格と言えるのが、この『お願いおむらいす』ではないだろうか。

　この一冊のどこかに、読み手が共感してしまう登場人物が絶対いるはず。

　ままならない就職で半分くさくさしながらも真面目でつい頑張ってしまう男子や、姉の悲しいニュースに心乱れるやんちゃものの妹、頑固者の昭和オヤジ、仕事が命綱の姉、なかなか上司に認めてもらえない料理人、自分にまったく自信が持てない崖っぷちアイドル、母親の介護に悩むリストラされた中年男性･･････。だれもが人間臭く、懸命に生きている。

　文庫になって、この連作短編集がさらに読みやすくなったんではないか、と思っている。

　電車の中でも、ちょっとした休憩時間にも、一編ずつ、ちょっとずつ読み進めていけば、疲れた心にもジーンとしみこみ、登場人物に共感して物語世界に巻き込まれて、読後はきっと心が元気になっているはずです！

──『お願いおむらいす』担当者より

『お願いおむらいす』
中澤日菜子

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