編集者コラム

 もしも、あの時ああしていたら、自分の人生、どうなっていたんだろう。誰しも思い当たる節があるそんな瞬間に本当に戻れたら、いったいどんなことになってしまうのか。そのあとは、思い描いたように新たな時を刻んでいってくれるのだろうか。ひとことでいえば、本作はタイムリープのジャンルに入るはずですが、「もしも、あの時」というこの一
◎編集者コラム◎ 『おれたちを齧るな! わしらは怪しい雑魚釣り隊』椎名 誠
 シーナ隊長が「怪しい探検隊」の正統後継団体として「雑魚釣り隊」を結成したのは2005年のことだ。結成から既に17年もの月日が流れたということになる。日本や世界の色々な海や川や湖や水たまりでバカ騒動を繰り広げてきたこのシリーズも、今作でなんと7作目となった。それだけ長期間、顔触れも大して変わらない男ばかりの集団でやるこ
◎編集者コラム◎ 『予備校のいちばん長い日』向井湘吾 企画・監修/西澤あおい
『予備校のいちばん長い日』の編集者コラムをご覧いただき、ありがとうございます。本作の編集を担当しました、A田と申します。突然ですが、皆さんは「受験」というものにどのような思い出がありますか? 人生が変わった、もう二度としたくない、糧になった、泣いた、笑った、などなど。様々な思い出がある中、やはり受験というと「難しい」「
◎編集者コラム◎ 『ミライヲウム』水沢秋生
 水沢秋生さんとの出会いは、ファッション誌の後輩からの紹介だった。出版社に勤めていた友人の作家を紹介したいとのことで、会社の近くのビアホールで会うことになった。その時、横浜中華街の餃子の名店がまずかったという話をしたら、水沢さんもその店に行ったばかりで、自分もそう感じたとのことで意気投合したのを覚えている。そこからはあ
◎編集者コラム◎ 『壜のなかの永遠』ジェス・キッド 訳/木下淳子
 突然ですが、アイルランドの人魚伝説って知ってますか?「メロウ」と呼ばれ、民話・伝承に登場する存在で、上半身は人間、下半身は魚という点ではアンデルセン童話やディズニー映画に登場するマーメイドと同じ。ただ、女のメロウは人間の男と恋をして結婚することもある一方で、獰猛な面もあり、時に男を破滅させる力も発揮すると伝えられます
◎編集者コラム◎ 『十津川警部 仙山線〈秘境駅〉の少女』西村京太郎
 2022年3月6日。突然のニュースに言葉を失いました。西村京太郎先生ご逝去の報。小学館の文芸PR誌として1974年から現在まで続く「本の窓」(20220年12月よりWEBマガジン)でも、西村先生には幾度も連載をしていただきました。同誌での最後の作品となった「十津川警部 四国まんなか千年ものがたり 四国 土讃線を旅する
◎編集者コラム◎ 『臨床の砦』夏川草介
 作家の夏川草介さんといえば、デビュー作『神様のカルテ』(第十回小学館文庫小説賞受賞作)が、自他ともに認める代表作かと思います。シリーズ5作で344万部の『神様のカルテ』シリーズは櫻井翔さん、宮崎あおいさん主演で2度映画化され、福士蒼汰さん、清野菜々さんの主演で2時間×4回の大型スペシャルドラマ化もされましたので、ご記
◎編集者コラム◎ 『舌の上の散歩道』團 伊玖磨
「自分が過去の五万五千食の中で経験して印象深かった食事を思い出し、原稿用紙の一枚々々に、舌の上に自分が行ってきた散歩を記して見よう」(『舌の上の散歩道』より)『ぞうさん』『花の街』などの童謡、『祝典行進曲』『夕鶴』などのクラシック曲を作った大作曲家である團伊玖磨氏。そのもう一つの顔は『パイプのけむり』シリーズで知られる
◎編集者コラム◎ 『鴨川食堂しあわせ』柏井 壽
 あの大人気「鴨川食堂」シリーズの最新刊が、さらにボリュームアップして発売になりました! 9巻目となる本作は、「しあわせ」と題されました。著者の柏井さんたっての希望です。実は、最初の段階では「まごころ」としていたのですが、ご意見をいただいて、変更することになりました。以下は、柏井さんからのメールに記されていたものです。
◎編集者コラム◎ 『うかれ堂騒動記 恋のかわら版』吉森大祐
 このたび、小学館時代小説文庫に初登場くださった吉森大祐先生は、新進気鋭の作家さん。『幕末ダウンタウン』で第十二回小説現代長編新人賞を、『ぴりりと可楽!』で第三回細谷正充賞を受賞された実力派でもあります。もはや面白さが確定しているといってもよい、吉森先生の最新作は、なんと初の文庫書き下ろし!いやが上にも期待が高まってし
◎編集者コラム◎ 『燃えよ、あんず』藤谷 治
 このお話は、著者がかつて下北沢に開いていた本屋さん・フィクショネスを舞台にした、店主や常連客たちが巻き起こす悲喜こもごもの人間ドラマです。実際に登場人物とまんま同じひとは、そこは小説なので存在しないようですが、かなりイメージに近い人なんかもいると聞いています。ちなみに、私は仕事場を兼ねていたそのお店に何度もお邪魔した
◎編集者コラム◎ 『いつでも母と 自宅でママを看取るまで』山口恵以子
 山口恵以子さんに、本書のもとになる女性セブンでの連載を依頼するべくお目にかかったのは2019年1月4日のこと。いつも打合せに使っているという喫茶店はまだ正月休み中で、その並びにあるケンタッキーフライドチキンでお話ししました。当時、山口さんは連日、刻々と変わるお母様の病状を Twitter で書いていらっしゃいました。
◎編集者コラム◎ 『料理道具屋にようこそ』上野 歩
 料理に苦手意識がある私も一時期は自炊をしており、よく作っていたのがポトフです。野菜を切ってコンソメ入れて煮込むだけ。簡単に美味しく作れるポトフは私の救世主でしたが、野菜を切るときに引っかかりが結構あったので、怪我をしないか少し不安でした。セラミック包丁だから、切れ味が良くないのか……それとも、単に私の切り方が悪いだけ
◎編集者コラム◎ 『醤油と洋食』神楽坂 淳
「うちの旦那が甘ちゃんで」や「金四郎の妻ですが」などの文庫書き下ろしシリーズで人気絶好調、時代小説の旗手である神楽坂淳先生の最新作が本作『醤油と洋食』。小学館文庫の既刊『うちの宿六が十手持ちですみません』と『大正野球娘。』では、江戸時代と大正時代を描いていただきましたが、今回は明治時代の麻布周辺が舞台となります。その本
◎編集者コラム◎ 『羊の国の「イリヤ」』福澤徹三
「週刊ダイヤモンド」2021年9月11日号の記事から話を進めたい。ネットに掲載された特集ページの見出しは、まるで身も蓋もない。「貧困大国ニッポンの『階層データ』初公開! 全5階級で年収激減の格差世襲地獄」そして記事はこう始まる。「もはや、日本は経済大国ではなく、貧困大国になってしまったのかもしれない。」さらに、「日本の
◎編集者コラム◎ 『噤みの家』リサ・ガードナー 訳/満園真木
 ボストン市警殺人課の部長刑事であり、一児の母でもあるD・D・ウォレン。超豪腕の彼女が活躍する、アメリカの大人気シリーズ第11作目(※短篇・中篇を除く)『噤(つぐ)みの家』をいよいよ日本の皆さまにお届けします。小学館文庫からは、長篇8作目『無痛の子』、9作目『棺の女』、10作目『完璧な家族』が好評発売中ですが、本作『噤
◎編集者コラム◎ 『消える息子』安東能明
 著者の安東能明さんといえば、警察小説の王道を歩む練達の作家です。近年は、近現代史を下敷きにした社会派小説の領域にも進まれています。そんな安東作品の愛読者からすれば、この作品のコピーである「タイムスリップミステリー」はちょっと意外かもしれません。本作冒頭、八王子の公務員である主人公・宮津和夫は、相模湖に連れ立った息子か
◎編集者コラム◎ 『警部ヴィスティング 悪意』ヨルン・リーエル・ホルスト  訳/吉田 薫
 2022年(つまり今年)3月、ヴィスティングのドラマが遂に日本で放送される。スウェーデンに拠点を置く北欧No.1のローカル配信サービス Viaplay (ヴァイアプレイ)が制作したドラマを WOWOW が放送・配信する。WOWOW と言えば、ヘニング・マンケル原作の「刑事ヴァランダー」シリーズ、ユッシ・エーズラ・オー