◎編集者コラム◎ 『あの日に消えたエヴァ』著/レミギウシュ・ムルス 訳/佐々木申子
◎編集者コラム◎
『あの日に消えたエヴァ』著/レミギウシュ・ムルス 訳/佐々木申子
先が気になりすぎて数頁先をちら読みしてしまうなんて、何年ぶりのことだろう。
著者の原稿を最初に読むとき、特にミステリーを読むときは、いくら気になったとしても先を読んでしまうなんて野暮なことはしてはいけない。せっかくの読書の楽しみを損なってしまうし、だいたい著者に失礼だろう──これまで、一応は編集者のはしくれとして、そんな自分ルールを設けていました。
でも本作の原稿を初めて読んだ時、お恥ずかしいことにあっけなくそのルールを破ってしまいました。だって、どうしてもどうしてもどーーーうしても先が気になってしょうがなくなってしまったんだもの!!
そして最後の章を読みながら、本当に声に出してしまった。「ええええっ!?」と。
……著者にまんまとやられました。
本作『あの日に消えたエヴァ』はポーランドきっての超人気作家によるスリラーです。
著者レミギウシュ・ムルスは現在33歳(ちなみに弁護士で法学博士でもあるのだ!)で、ミステリーだけでなくSF、歴史ものなど幅広いジャンルの小説やノンフィクションを執筆。新作を出せば必ずランキング1位のベストセラーになり、文学賞受賞も多数、150万部超の警察小説「Joanna Chylka」シリーズはテレビドラマ化もされ大好評だといいます。本国ではスティーブン・キングやジョー・ネスボより売れている作家。そんな紹介を受け、「おっ?そんなにすごいの?」と疑い半分期待半分で頁をめくり始めたのです。
ごめんなさい。著者のミロスさんに謝ります。その数々の華々しい経歴は伊達じゃありませんでした。とくかく読ませる。そのページターナーぶりたるや、なんと表現していいのか言葉が見つかりません。
冒頭からハードなシーンで始まり、正直、その後もほっと一息つけるような場面はほとんどありません。とにかく読んでいる間中「どうなっちゃうの!?」とハラハラさせられ、「い、痛い!」「早く逃げろ!」とアドレナリンは上がりっぱなし。振り回されたその末は──今回解説を寄せて下さった大矢博子さんの言葉をお借りして。
「めちゃくちゃ驚くぞ!」
もう、多くは語りません。とにかくその目でこの作品の凄さを確かめて下さい。