著者インタビュー

著者の窓 第12回 ◈ 岸 政彦『東京の生活史』
 岸政彦さん編『東京の生活史』(筑摩書房)は百五十人の聞き手が、百五十人の人々に東京での生活について聞いたインタビュー集です。家族との確執を語る人、華やかな東京暮らしを語る人、戦争体験を語る人──。プロフィールのない語り手の声が、それぞれの人生、それぞれの東京を鮮やかに浮かび上がらせる。現在四刷、一万五千部を超えるヒッ
河﨑秋子さん『絞め殺しの樹』
いいものも悪いものもいつかは終わりを迎えるんです 発表する作品が毎回高く評価される河﨑秋子さんが、待望の新作『絞め殺しの樹』を発表。根室に生きた一人の女性と、彼女の人生を想う青年の物語。書名はなんとも不気味だが、実はこれ、菩提樹のこと。主人公たちの人生のなかで、この言葉が意味したものとは?
ゲスト/岸 政彦さん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第8回
 沖縄でのフィールドワークを長年続けている社会学者の岸政彦さん。岸さんのツイートから始動したという『東京の生活史』は、一般から公募した150人の聞き手が、東京で暮らした経験がある150人の語り手の人生を聞く、かつてない規模のインタビュー集だ。カウンセリングとも傾聴とも異なる、ただ「聞く」という行為は何なのか。そして、そ
斜線堂有紀『愛じゃないならこれは何』
恋は「殉ずる」の一択 二〇二〇年八月に刊行した特殊設定ミステリ『楽園とは探偵の不在なり』が第二一回本格ミステリ大賞の候補となり、斜線堂有紀は一躍、「本格」シーン最注目の存在となった。ところが、最新刊『愛じゃないならこれは何』は自身初となる非ミステリの短編集だ。その代わり──自身初の「本格」恋愛小説である。
ゲスト/荒井裕樹さん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第7回
 コロナ禍やそれに伴う政治状況の変化によって、世の中にはネガティブな言葉が溢れ、要約という作業で言葉は削られている。〈短くてわかりやすい〉ことが重視される一方で、簡単にはまとめられない現実があるのではないだろうか。今回は障害者文化論を研究する日本文学者の荒井裕樹さんと、私たちの身の回りに溢れる「言葉」と社会との関わり方
辻村深月さん『闇祓』
ホラーの文脈の中で謎と真相を用意しようと考えました 「なんか不快だけれどもその理由をうまく説明できない」という経験をした人は多いだろう。辻村深月さんが新作『闇祓』で描くのは、そんな闇に取り込まれる恐怖。著者初の本格ホラーミステリ長編だ。
君嶋彼方『幻月と探偵』
諦めた先の人生 第一二回小説 野性時代新人賞を受賞した君嶋彼方の『君の顔では泣けない』は、いわゆる「男女入れ替わりもの」だ。しかし、定番のラブコメ路線には進まない。入れ替わってしまった男女の心情を透徹したリアリズムで描き出していく。そこには当該ジャンルに対する批評意識とエンターテインメントの作り手としての「逃げない」矜
著者の窓 第11回 ◈ 平松洋子『父のビスコ』
 二〇一八年から四年にわたって「本の窓」に連載されていた平松洋子さんのエッセイが一冊になりました。その作品『父のビスコ』(小学館)は、食と生活、文芸と作家をテーマに、幅広い執筆で知られる平松さんが、幼少期や家族のこと、生まれ育った倉敷について綴った、初の自伝的エッセイです。思い出の味、忘れがたい出来事を通して、人々のひ
著者の窓 第10回 ◈ デイヴィッド・ピース『TOKYO REDUX 下山迷宮』
 一九四九年七月、当時の国鉄総裁・下山定則が行方不明となり、轢死体となって発見されるという怪事件が発生しました。いわゆる下山事件です。今なお議論が尽きないこの戦後最大の謎に、東京在住のイギリス人作家デイヴィッド・ピースさんが挑みました。下山総裁は殺されたのか、それとも自殺だったのか? 虚実のあわいを縫う物語で事件の真相
町田そのこさん『星を掬う』
人生に意義や意味を見出して希望を持ってほしかった 『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこさんが、待望の受賞後第一作を上梓。『星を掬う』は、幼い頃に出奔した母親と大人になって再会し、一緒に暮らすことになった女性の物語。この二人はもちろん、周囲の女性たちの事情をも交え、さまざまな痛みと苦しみ、やがて見つけ
ゲスト/ヨシタケシンスケさん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第6回
 オリジナル絵本としての第1作『りんごかもしれない』が大ヒットし、その後も多数の人気作を生み出しているヨシタケシンスケさん。何気ない日常を違った目線で捉え、想像する楽しみを与えてくれる〈ヨシタケワールド〉は、大人も子どもも惹きつけてやまない。作中に登場するのは、〝完璧〟ではなく、欠点だらけでいい加減な大人たち。死やネガ
乙一 × 吉田大助 ◇熱血新刊インタビュー【特別編】
僕の100回、僕たちの19年、そしてこれから 吉田大助氏による本誌「STORY BOX」名物連載「熱血新刊インタビュー」が遂に三桁の大台に突入した。「聞き手」としての役割を離れ、この節目だからこそお会いしたい方は誰か。一〇〇回記念を祝して吉田氏に問うたところ、上がってきた名が作家・乙一氏である。さて、一体どうして? 
岡崎琢磨さん『Butterfly World 最後の六日間』
キャラクターは血の通った人であってほしいと思っています のちに大ヒットシリーズとなる『珈琲店タレーランの事件簿』でデビュー、以来さまざまなテイストのミステリ作品を発表している岡崎琢磨さん。新作『Butterfly World 最後の六日間』は、彼の新たな代表作といえる特殊設定の本格ミステリ。そこにこめた思い、創作の苦労
ゲスト/ブレイディみかこさん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第5回
 自分と違う状況に置かれた他者の気持ちを想像する力、「エンパシー」。ロングセラーとなっている『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に登場したこの聞き慣れない言葉は、今日的なさまざまな問題を解決するキーワードとして日本で注目された。しかし、エンパシーは万能ではなく、危険な側面もあるという。イギリス在住のブレイディ
伊吹亜門『幻月と探偵』
時代のWHYを探して 第一二回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む『刀と傘 明治京洛推理帖』でデビューした伊吹亜門は、同作で第一九回本格ミステリ大賞受賞の戴冠に輝き、歴史本格ミステリの新鋭として注目を集めた。 幕末の京都を舞台にした第二作『雨と短銃』を経た、待望の第三作『幻月と探偵』は、時代がぐっと下る。舞台は第二次大戦前
著者の窓 第9回 ◈ くどうれいん『氷柱の声』
 エッセイ集『うたうおばけ』、歌集『水中で口笛』などが話題の作家・くどうれいんさんが、初の小説『氷柱の声』(講談社)を発表しました。東日本大震災発生時、盛岡の高校生だった主人公・伊智花の目を通して、人びとの経験や思いを紡いだ連作小説です。震災報道では触れられることのない、さまざまな葛藤や悩み、苦しみ。語れないと思ってい
川越宗一さん
架空のキャラクターであっても〝自分の人生を生きてほしい〟 江戸時代、東シナ海では各国から集まった海賊たちが幅を利かせていた。そこから登場したのは、あの英雄─。川越宗一さんの新作『海神の子』は、台湾鄭氏の祖である鄭成功の生涯を、架空の人物も交えてダイナミックに描く長篇小説。実は最初に興味を引かれたのは、彼ではなく、彼の母
織守きょうや『花束は毒』
「酷さ」というフロンティア 第二二回日本ホラー小説大賞読者賞受賞作から始まる『記憶屋』シリーズでブレイクした織守きょうやは、「泣けるホラー」の書き手として知られている。一方で、現役弁護士という職能を活かしたリーガルミステリーも書き継いできた。最新長編『花束は毒』は、探偵が活躍する本格ミステリーであり、そして……過去最大言葉と出合う、世界を広げる 直木賞をはじめ各種文学賞へのノミネートが続く芦沢央が、最新短編集『神の悪手』で初めて将棋を題材に採った。ミステリーとしての驚きに満ちた全五編は、登場する棋士たちの内面に、作家である自身の心情や実体験が重ね合わされている。自他共に認める特別な一冊だ。