書店員さん おすすめ本コラム

毎週金曜日更新。全国の書店員さんが、気になる単行本や文庫を紹介してくれます。

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目利き書店員のブックガイド 今週の担当 大盛堂書店 山本亮さん
 ちょっとしたタイミングで運命的に出会ってしまった人の存在、普段意識をしていなくても、もしかしたら誰でも心当たりがあるのではないだろうか。恋愛や友情を通じて掛け替えのない人、もしくは自分にとって都合の良い人、羅針盤のようにこれからの生き方を示してくれる人。色々いるだろうけど、その人が自分の大切な心の中へ踏み込んできたと
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
 ユーミンは50周年なのだ。気づいたら当たり前のように暮らしの中にはユーミンの曲が流れていた。昭和も、平成も、令和も。街中でも、スキー場でも、ビーチでも。懐かしくも新しく、時や空間を超えて輝き続けている。近年でユーミンの人柄に魅了されたのは、2021年紅白のステージだった。一瞬にして会場の空気をつかむ笑顔のトークと天性
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うなぎBOOKS 本間悠さん
 8人の書店員が週替わりでその時々のおススメの本を三冊紹介する『週末は書店へ行こう!』。「他の書店員さんが紹介する本と被らない」「メインで紹介するのは新刊」という制約があったため、私が書きたかったものを既に他の書店員さんが紹介したり、その時々で何を紹介しようか悩んだりするかもと思ったが、不思議と被ることも悩むことも無く
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 吉見書店 竜南店 柳下博幸さん
『リバー』! まずはこの分厚さに驚く。ずっしりとくる重さは電子書籍では絶対に味わえない紙の本での読書の魅力だろう。渡良瀬川は群馬県桐生市と栃木県足利市に流れる大きな川。数々の支流を飲み込み利根川支流では最大の流域面積を誇る。その渡良瀬川の河川敷に若い女性の絞殺死体が見つかる。現場に向かう捜査員の頭に10年前にこの地で起
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 成田本店 みなと高台店 櫻井美怜さん
 10月のある日、そろそろ眠ろうかと寝室の明かりを消すと、外のあまりの明るさに驚いて飛び起きたことがあった。外から懐中電灯で照らされているかのような丸い光がカーテンの隙間から届いていたのだ。すわ、泥棒か!? とおそるおそる外を覗くと、そこには信じられない明るさの月が佇んでいた。私が見たのは、アメリカの先住民が動物の狩猟
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん TSUTAYA 中万々店 山中由貴さん
 姉が行方不明になった。それから一年経って、姉の不在はあたりまえになった。姉宛てに届く年賀状、それを伝える口実で姉のスマホに送るメッセージ。ずっと既読はつかない。それでも送りつづけ、いつか電源が入る瞬間を待つ家族。その、淡々としていながらどこかが裂けて空気の漏れつづける日常が、淡々としているからこそなまなましい。あれ、
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 啓文社 西条店 三島政幸さん
 クイズプレイヤーの三島玲央は、第一回『Q-1グランプリ』のファイナリストとして、スタジオの解答席に立っていた。優勝賞金は破格の一千万円。決勝は一対一で七問先取の早押しクイズ、対戦相手は圧倒的な記憶力で頭角を現してきた本庄絆だ。決勝戦でもお互いに一進一退の攻防を続けていた。スコアは本庄が追い付いて6-6のイーブン。次が
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 丸善 お茶の水店 沢田史郎さん
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ とは、俵万智の『サラダ記念日』(河出文庫)から。日常のふとした瞬間の愛しさと、かけがえの無さ。それを飾らない言葉で表現した名歌ではなかろうか。まるでコピペしたような毎日の中で、不意に輝きを放つ小さな幸せ。それは、
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店 平井真実さん
 空高く涼しい風が吹くたびに秋を少しずつ感じる今日この頃。秋といえば食欲、スポーツ、読書、芸術といわれるが芸術の秋ってなぜ秋なのだろうかとふと思った。調べてみたところ、大正時代にとある雑誌に「美術の秋」という言葉が使われ、そこから芸術の秋となったとのこと。ということで読書の秋、芸術の秋を一緒に体感できる今回紹介したい本
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
 この時代、この国に生まれた私達には、当たり前のように文字を教わる学校があり、教室がある。同じ時代を生きていても、地球儀をくるりと回すと、自由に学ぶ機会のない子ども達がいったいどれくらいいるのだろうか? 国際労働機関ILOが4年に一度発表している2021年の児童労働データによると、世界の児童労働者(5〜17歳)数は1億
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うなぎBOOKS 本間悠さん
 高校生の頃から、摂食障害を患っていた。食べ物を美味しいと思う正常な味覚は持ち合わせていると信じたいが、一定量を超えた「それ」は私にとって吐くために詰め込んでいる物質で、美味しいとか美味しくないとか心を込めて作られているとかいないとか、そんなことは二の次だった。食べることは嫌いではない。嫌いではないが、食べている自分は
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 吉見書店 竜南店 柳下博幸さん
 タイトルの「クロコダイル・ティアーズ=ワニの涙」とは、嘘泣きや偽りの涙。悲しんでいるように見せて実は……という慣用句。古代ローマ時代にはすでに「ワニが獲物を食べながら涙を流す」ことが知られており、かのシェイクスピアも作中で「計略としての涙」「偽りの懺悔としての涙」を「ワニの涙」と表現している。実際は体内の塩分排出行為
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 成田本店 みなと高台店 櫻井美怜さん
 音は光よりも遅い。頭ではわかっていても、花火が打ち上げられたドーンという音が背後から聞こえると、振り返らずにはいられない。そこにはもう、火花の気配すらないというのに。出版社で働く橘は、美麗なグラフィックの世界観の中でモンスター討伐をする“リンドグランド”というアプリゲームにはまっている。昼は社会人としてきちんと働き、
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん TSUTAYA 中万々店 山中由貴さん
 もうなにも読まなくていい。すべてが霞む。しばらくはそっとしておいて。本書を閉じたあとの率直な気持ちは、ただ、そうとしか言いあらわせない。「あたしは無法者のダッチェス・デイ・ラドリー」。彼女の震える声がきこえる。怖気づいて、さびしくて、不安で、怒って──、それでも守るものがあるから、13歳のダッチェスは逃げない。30年
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 啓文社 西条店 三島政幸さん
「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」警察に協力する民間の鑑定人、土門誠の台詞だ(「遺された痕」より)。ややぶっきらぼうに見えるが、科学捜査には真摯に取り組む。自らの鑑定結果には絶対的な自信を持ち、裁判での証言も積極的に行う。土門にとって、事件の内容や真相は二の次で、科学鑑定の結果が絶対なのだ。科学第
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 丸善 お茶の水店 沢田史郎さん
 1998年3月13日。東大の後期試験の数学で、受験史に残る難問が出た。その難易度といったら、試験当日に解答速報を出すのが通例となっている一流大手予備校でさえ、一日では解けなかったというレベル。当然、完答できた受験生はゼロ。という設定は、実は本当にあった話だそうだ。その伝説の難問事件に材を取り、多彩なキャラクターとユー
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店 平井真実さん
 デビュー時から読み続けている作家さんが何人かいる。しかし書店員といえどもこの世に出ている全てを読んでいるわけではなく、苦手なジャンルもあり、最初はすっと身体になじんでいたものが、作品を追うごとになかなか咀嚼できなくなってしまい、読み続けることを挫折してしまうこともある。そんな中、デビューから15年たった今も唯一無二の
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
 ウクライナの4歳の女の子が空爆で命を落としたと自宅でつけているテレビのニュースから流れてきた。亡くなる1時間前に母親と笑顔で歩いていた映像に涙が出てくる。幼い子どもの被害に耐えられない。もうやめてと世界中から願っても止められない。もっと現代には秩序があると思っていたが、幻想だった。『モノクロの夏に帰る』を執筆するにあ