今月のPick UP

 山本文緒さんの七年ぶりの新作長篇がいよいよ刊行になる。『自転しながら公転する』は、茨城県の牛久を舞台に、一人の女性が恋に、仕事に、家族との関係に悩みもがく姿が描かれる。出発点は〝少女漫画〟だったとい
宮内悠介さん『黄色い夜』
 アフリカのエチオピアに隣接する架空のE国。そこは資源が乏しく、産業はカジノに頼り、砂漠には螺旋状の巨大なカジノ・タワーが建っている。ここにやってきた日本人青年の龍一、通称ルイは、ある目的を持って数々
森見登美彦さん『四畳半タイムマシンブルース』
 あの腐れ大学生たちにまた会えるなんて! 二〇〇五年発表の『四畳半神話大系』の大学生たちが再び登場する新作『四畳半タイムマシンブルース』。物語の原案は、劇団ヨーロッパ企画を主宰する上田誠さんによる二〇
松田青子さん
「〝持続可能〟という言葉は環境問題などでよく使われる言葉ですが、人間も持続可能であることが大事。毎日生活するだけでも大変ななか、ちゃんとご飯を食べて、しっかり寝て、理不尽なことから自分を守って、持続可
椰月美智子さん『こんぱるいろ、彼方』
 ある世代以上の人なら、「ボートピープル」と聞けば、人々があふれんばかりに乗った船が漂流しているニュース映像を思い浮かべるだろう。ベトナム戦争が終結した1975年以降、日本にもインドシナからたくさんの
藤野可織さん
 二〇一三年、文芸誌『群像』に〈8月の8つの短篇〉のうちの一篇として掲載された「ピエタとトランジ」。のちに短篇集『おはなしして子ちゃん』にも収録されたが、その後も続篇が執筆され、このたび長篇『ピエタと
伊吹有喜さん
 手作業で羊毛から糸を紡ぎ、手織りで作り上げるホームスパン。もともとはイギリスの伝統織物だ。それが明治時代に日本に伝えられ、岩手の盛岡、花巻周辺で産業として根付いたという。伊吹有喜さんの新作長篇『雲を
高山羽根子さん
 戦後まもない頃。〈わたし〉は美術系出版社の榎田から、水彩画家の平泉貫一について調べてほしいと頼まれる。大戦末期に出征した彼は、終戦後に復員した時、人相がすっかり変わっていたという。榎田は別人のなりす
森絵都さん
 普段特別気にしているわけではないけれど、言葉にされると「あるある」「わかるわかる」と思うことは多い。日常のなかで生じる、ささやかな反発心もそのひとつ。小さな、でも絶対に譲れない事柄についてのエピソー
井上荒野さん
「今回の本は、私の小説にしてはちょっとメッセージ性があるかもしれません。私はいじめが本当に嫌いだし、少女少年に死んでほしくないという気持ちがあるから」  人間同士が関わるなかでの微妙な心理に鋭く切り込
須賀しのぶさん
 須賀しのぶさんが選ぶ小説の舞台は幅広い。ここ最近の作品を見ても、ベルリンの壁が崩壊する1989年の東ドイツを舞台にした『革命前夜』、大正末期の浅草を少女たちが駆け抜ける『くれなゐの紐』、第二次世界大
乾 ルカさん
 叔父の雅彦に憧れ、医師を目指していた川嶋有人は中学二年生の時に学校で起きたある出来事から引きこもりとなり、夢も未来も見失ってしまう。が、叔父に勧められ、東京を離れ、彼が医師として勤務している離島の高
早見和真さん
 舞台は東京・吉祥寺にある武蔵野書店。契約社員の谷原京子はこよなく本を愛する二十八歳だが、人は良いが空回りばかりの店長にほとほと困らされている。早見和真さんの新作『店長がバカすぎて』は、そんな書店のさ
クジラアタマの王様_書影
 主人公は製菓会社の広報担当、岸。トラブルの発端は、マシュマロに画鋲が入っていたという一本のクレーム電話だった──一人の会社員が直面する理不尽と奮闘の物語の間に、ファンタジー的な世界で巨大な生物と闘う
中島京子さん『夢見る帝国図書館』
 日本初の近代図書館ができたのは明治五年。湯島の聖堂にできた「書籍館」はその後「帝国図書館」と名前を改めつつ、複雑な変遷を遂げることになる。現在は国立国会図書館に統合され、上野の国立国会図書館支部であ
川村元気さん『百花』
「今回の本の感想を送ってくれる人が、それぞれ自分の人生についても書いてくるんです。僕にとって良い小説って、物語に没入させるものというより、何か記憶を引きずり出されて自分の人生を照射するもの。今回は特に
江國香織さん 『彼女たちの場合は』
 読み進めながら、すっかり彼女たちと一緒にアメリカを旅している気持ちになっていた。それくらい、各地の景色や食事や街の空気感、出会う人々の個性がありありと伝わってくる。江國香織さんの新作長篇『彼女たちの
朝井リョウさん『死にがいを求めて生きているの』
「依頼をいただいた時、私からすると、文壇高校の伊坂先輩に呼んでいただいた感覚で、これは応えないわけにはいきませんでした」  と朝井リョウさん。何の話かというと、文芸誌『小説BOC』創刊時から始まった「