今月のPick UP

「WEBきらら」好評連載。瀧井朝世さんによる、作家インタビュー! 

寺地はるなさん『川のほとりに立つ者は』
書いているのは、答えじゃなく問い 読んだ人の数だけ答えがある 小説のなかで、今の時代だからこそ考えたい問いかけを放ちつづける寺地はるなさん。新作『川のほとりに立つ者は』もまた、恋人の秘密を知った女性の、心の軌跡が丁寧に描かれるなかで、読者にもさまざまな発見をもたらしてくれている。読んだ人にとって大切な一冊になるであろう
白岩玄さん『プリテンド・ファーザー』
子どもに対してやったことが家族を作るんだという思いに辿り着きました 現代男性の生きづらさや価値観の変化を小説やエッセイで綴ってきた白岩玄さん。新作『プリテンド・ファーザー』でもまた、二人のシングルファーザーの姿を通して、今の時代に私たちが考えなければならない諸問題を丁寧に浮き上がらせていく。そのなかで著者自身が気づいた
荻堂顕さん『ループ・オブ・ザ・コード』
世界自体がどんどん〝清潔〟を求めるようになっている 二〇二〇年にデビューを決めたばかりの新鋭が、驚きの巨編を上梓した。荻堂顕さんの『ループ・オブ・ザ・コード』は近未来を舞台に、すべてが〈抹消〉された国で発生した謎の奇病と、テロリストとの攻防が描かれる。今の時代に通じる問題を内包したエンタメ巨編が生まれるきっかけとは。
芦沢 央さん『夜の道標』
自分が抱いていた恐怖や問題意識と繫がりました 作家生活十周年を迎えた芦沢央さんの新作『夜の道標』。一九九〇年代に起きた殺人事件をめぐり、容疑者の男、男を匿う女、彼らに関わる二人の少年、調査を進める刑事の姿から炙り出されるものとは。この時代、この人物設定だからこそ切り込めるテーマに勇気を持って挑んだ痛切で衝撃的な一作だ。
飛鳥井千砂さん『見つけたいのは、光。』
みんなグラデーションの中で生きている 飛鳥井千砂が久々に新作を上梓。『見つけたいのは、光。』は、仕事と育児をめぐる物語。復職したい母親、職場でマタハラを訴えられた女性、人気育児ブログの書き手という、まったく異なる立場の三人が偶然集まった時、そこで繰り広げられる会話とは? 今の時代の問題点をあぶり出す意欲作だ。 きっかけ
千葉ともこさん『戴天』
私が書くなら、自己犠牲の英雄にはしたくない 二〇二〇年に松本清張賞を受賞したデビュー作『震雷の人』で骨太な中国歴史絵巻を披露し注目された千葉ともこさん。待望の新作『戴天』は前作に続き、唐の時代の安史の乱がモチーフ。前作とは登場人物も切り口も異なる本作で描こうとしたものとは? 唐の時代と今の日本を重ねて まだデビュー二作
白尾 悠さん『ゴールドサンセット』
この年齢だからこそ身体が語る部分がある 人間の身体の豊かさ、人生の輝きを感じさせてくれる作品。それが白尾悠さんの新作『ゴールドサンセット』。中高年限定の劇団のメンバーと彼らと関わる人々の人生模様を浮き彫りにする本作のきっかけは、実はとても身近なところにあったという。 きっかけは母親の女優デビュー 白尾悠さんの新刊小説『
深緑野分さん『スタッフロール』
一生懸命働いた人のクレジットがないという問題は気になっていました 読み進めるうちに、名作映画の数々を観返したくなってくる。深緑野分さんの新作長篇『スタッフロール』は、映画愛にあふれる一作だ。80年代のハリウッドで活躍した特殊造形師と、現代のロンドンで働くCGクリエイター。映像に夢を託した2人の女性の情熱と葛藤、不思議な
葉真中 顕さん『ロング・アフタヌーン』
属性が違うから分からない、と片づけたくはないんです 一度も顔を合わせたことのない女性二人が、フィクションを通して共犯関係となっていく。葉真中顕さんの『ロング・アフタヌーン』は、現代女性への抑圧と、フィクションを書く/読むというテーマが浮かび上がる長篇。ミステリアスなシスターフッドの物語を書いた背景にはどういう思いがあっ
藤谷 治さん『ニコデモ』
小説というのはある意味、歴史とは逆の表現形式だ 藤谷治さんの新作『ニコデモ』は、戦時中にフランスに留学していた青年と、北海道の開拓民となった家族の数奇な運命の物語。意外にも出発点は、「ファミリーヒストリーを書かないか」という依頼だったとか。さて、その経緯とは? 一人の男と、とある家族の不思議な縁 藤谷治さんの新作『ニコ
南原 詠さん『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』
ふと、ここに好き勝手に物語を書いてみたいなと思ったんです 第20回を迎えた『このミステリーがすごい!』大賞。昨年大賞を受賞したのは、現役弁理士の南原詠さんだ。自身と同じ職業、しかしまったく異なるキャラクターを主人公とした『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』は、特許権侵害をめぐる難題に挑む女性の奮闘を描く一作である。
河﨑秋子さん『絞め殺しの樹』
いいものも悪いものもいつかは終わりを迎えるんです 発表する作品が毎回高く評価される河﨑秋子さんが、待望の新作『絞め殺しの樹』を発表。根室に生きた一人の女性と、彼女の人生を想う青年の物語。書名はなんとも不気味だが、実はこれ、菩提樹のこと。主人公たちの人生のなかで、この言葉が意味したものとは?
辻村深月さん『闇祓』
ホラーの文脈の中で謎と真相を用意しようと考えました 「なんか不快だけれどもその理由をうまく説明できない」という経験をした人は多いだろう。辻村深月さんが新作『闇祓』で描くのは、そんな闇に取り込まれる恐怖。著者初の本格ホラーミステリ長編だ。
町田そのこさん『星を掬う』
人生に意義や意味を見出して希望を持ってほしかった 『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこさんが、待望の受賞後第一作を上梓。『星を掬う』は、幼い頃に出奔した母親と大人になって再会し、一緒に暮らすことになった女性の物語。この二人はもちろん、周囲の女性たちの事情をも交え、さまざまな痛みと苦しみ、やがて見つけ
岡崎琢磨さん『Butterfly World 最後の六日間』
キャラクターは血の通った人であってほしいと思っています のちに大ヒットシリーズとなる『珈琲店タレーランの事件簿』でデビュー、以来さまざまなテイストのミステリ作品を発表している岡崎琢磨さん。新作『Butterfly World 最後の六日間』は、彼の新たな代表作といえる特殊設定の本格ミステリ。そこにこめた思い、創作の苦労
川越宗一さん
架空のキャラクターであっても〝自分の人生を生きてほしい〟 江戸時代、東シナ海では各国から集まった海賊たちが幅を利かせていた。そこから登場したのは、あの英雄─。川越宗一さんの新作『海神の子』は、台湾鄭氏の祖である鄭成功の生涯を、架空の人物も交えてダイナミックに描く長篇小説。実は最初に興味を引かれたのは、彼ではなく、彼の母
白石一文さん『ファウンテンブルーの魔人たち』
女と男は一度、本気で戦う必要があるのかもしれない。 単行本で600ページ超の大作『ファウンテンブルーの魔人たち』について、まったく展開を決めずに自由に書いたという白石一文さん。だが、書き進めるうちに、自身の中にあった問題意識が鮮明になっていったという。それは男と女、そしてセックスに対する違和感で──。
米澤穂信さん
英雄と英雄が戦う話よりも、当時の世界で必死に生き抜いた人の姿が好きでした なんと、米澤穂信さんが歴史小説を上梓。これまでにも中世ヨーロッパを舞台にした『折れた竜骨』などを発表してきたとはいえ、新作『黒牢城』は荒木村重と黒田官兵衛という、戦国時代に実在した人物が登場する。しかし読めば、これは実に米澤さんらしい本格ミステリ