話題作、読んで観る?

◉話題作、読んで観る?◉ 第56回「あちらにいる鬼」
 直木賞作家の井上荒野が、父・井上光晴と愛人関係にあった瀬戸内寂聴をモデルにして描いた同名小説の映画化。主演の寺島しのぶは、出世作『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督と久々のタッグとなり、剃髪シーンで実際に髪を剃り上げたことでも話題となっている。1966年、作家の長内みはる(寺島しのぶ)は、徳島で開かれた講演会で気鋭の作家
◉話題作、読んで観る?◉ 第55回「ある男」
 芥川賞作家・平野啓一郎が2018年に刊行した長編小説を、劇場デビュー作『愚行録』で注目を集めた石川慶監督が映画化。別人としての人生を歩もうとしたひとりの男の謎めいた生涯を、社会派ミステリーとして描いている。弁護士の城戸(妻夫木聡)は、奇妙な仕事を引き受けた。宮崎で暮らすシングルマザーの里枝(安藤サクラ)は、夫・大祐(
◉話題作、読んで観る?◉ 第54回「よだかの片想い」
 顔に痣のある女性を主人公にした、島本理生の恋愛小説の映画化。女優の松井玲奈が長年熱望していた企画で、主人公が傷つきながらも成長していく姿が繊細かつドラマチックに描かれている。大学院生のアイコ(松井玲奈)は生まれつき、顔に青い痣があった。周囲に気を使われるのが嫌で、大学院で研究に没頭する日々を送っている。出版社に勤める
◉話題作、読んで観る?◉ 第53回「百花」
 これまでに『告白』『君の名は。』など数多くのヒット映画を放ってきた川村元気プロデューサーが、監督として自身の小説を初めて映画化した。母親と息子との記憶をめぐる愛憎劇となっている。レコード会社に勤める泉(菅田将暉)は、シングルマザーである百合子(原田美枝子)に育てられた。久しぶりに実家に戻ると、百合子の様子がおかしい。
◉話題作、読んで観る?◉ 第52回「TANG タング」
 2016年のベルリン国際映画祭にて「映画化したい一冊」として紹介された、英国の作家デボラ・インストールの処女作『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の映画化。池井戸潤原作の映画『アキラとあきら』が8月26日(金)から公開される三木孝浩監督が、大人になりきれずにいる30代の男性とポンコツロボットとのおかしなロードムービーとし
◉話題作、読んで観る?◉ 第51回「戦争と女の顔」
 ノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの処女作『戦争は女の顔をしていない』は、第二次世界大戦に従軍した女性たち500人以上の声を集めた証言集だ。戦場の過酷な状況が皮膚感覚で生々しく記録されている。逢坂冬馬の小説『同志少女よ、敵を撃て』の主要参考文献にもなっている。1991年生まれのカンテミール・バ
◉話題作、読んで観る?◉ 第50回「流浪の月」
 2020年の「本屋大賞」を受賞した凪良ゆうの小説『流浪の月』を、『悪人』『怒り』などで知られる李相日監督が映画化。ネット上での中傷が続くデジタルタトゥーや家庭内暴力によって居場所を失った男女の姿を、いっさいのケレン味を排して描いている。更紗(広瀬すず)は10歳のときに女児誘拐事件に遭った被害者としてのトラウマを抱えて
◉話題作、読んで観る?◉ 第49回「死刑にいたる病」
 日本ホラー小説大賞読者賞を受賞した『ホーンテッド・キャンパス』で知られる櫛木理宇による、長編小説『死刑にいたる病』の映画化。『孤狼の血』で鮮烈なバイオレンス描写を見せた白石和彌監督が、死刑が確定している連続殺人犯と彼に魅了された若者との危険な関係をスリリングに描いている。中学までは優等生だった雅也(岡田健史)だが、今
◉話題作、読んで観る?◉ 第48回「やがて海へと届く」
 旅行中に東日本大震災に遭遇した体験を持つ彩瀬まるの小説を、『四月の永い夢』がモスクワ国際映画祭国際批評家連盟賞などを受賞した中川龍太郎監督が映画化。大切な人を失った女性が、喪失感を克服していく姿を描いている。ダイニングバーで働く真奈(岸井ゆきの)は、大学時代の親友・すみれ(浜辺美波)のことが忘れられない。すみれは3年
◉話題作、読んで観る?◉ 第47回「ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ」
 ジャズシンガーとして、1930年代〜50年代に活躍したビリー・ホリデイの伝記映画。公民権運動の歴史を描いた『大統領の執事の涙』のリー・ダニエルズ監督が、英国人作家のヨハン・ハリが執筆した『麻薬と人間 100年の物語』の第一章「アメリカ vs. ビリー・ホリデイ」にインスパイアされ、ドラマ化した。ビリー・ホリデイの代表
◉話題作、読んで観る?◉ 第46回「クライ・マッチョ」
 91歳になるクリント・イーストウッドの主演・監督作。サスペンス映画『恐怖のメロディ』で監督デビューしたイーストウッドにとって、40本目となる監督作だ。『ダーティハリー』などのアクション映画でタフガイを演じてきた彼らしい、男くさいロードムービーとなっている。イーストウッドが演じるのは、かつてロデオ界のスターだったマイク
◉話題作、読んで観る?◉ 第45回「私はいったい、何と闘っているのか」
 お笑い芸人のつぶやきシローが2016年に刊行した同名小説の映画化。一家の大黒柱として働く中年男性の空回りしがちな日常生活を、コミカルに描いたホームドラマとなっている。主人公の春男(安田顕)はスーパーマーケットの万年主任。40歳を過ぎても店長になれずにいるが、上田店長(伊集院光)から「春男はこの店の司令塔だ」と信頼され
◉話題作、読んで観る?◉ 第44回「ずっと独身でいるつもり?」
 写真集『Sincerely yours…』が60万部を超えるベストセラーとなった、元TBSアナウンサー田中みな実の初主演映画。原案・雨宮まみ、原作・おかざき真里の同名コミックを、作家としても活躍するふくだももこ監督が映画化した。まみ(田中みな実)は望んでいたライターという職業に就き、充実した生活を送っている。だが、
◉話題作、読んで観る?◉ 第43回「そして、バトンは渡された」
 2019年に「本屋大賞」を受賞した瀬尾まいこのベストセラー小説の映画化。バトンリレーのように、次々と親が替わり、家庭環境が変わっていくことになる主人公を、永野芽郁が演じている。本作にはさまざまな親たちが登場するが、それぞれ問題を抱えている。水戸さん(大森南朋)は自分の夢を叶えるために、家族を残してブラジルへと渡った。
◉話題作、読んで観る?◉ 第42回「護られなかった者たちへ」
〝どんでん返しの帝王〟の異名を持つ人気作家・中山七里が「河北新報」に連載した小説の映画化。『64 ロクヨン』『友罪』などで知られる瀬々敬久監督が、福祉制度だけでは救うことができない格差社会の闇に迫った社会派ミステリーに仕上げている。
◉話題作、読んで観る?◉ 第41回「鳩の撃退法」
 直木賞作家・佐藤正午が5年がかりで書き上げた上下2巻ある長編小説の映画化。佐藤作品は『永遠の1/2』『ジャンプ』『身の上話』などが映像化されており、本作は5本目の映画となる。主人公となるのは、女にもお金にもだらしない作家崩れの津田伸一(藤原竜也)。かつて直木賞を受賞し、天才作家と呼ばれたのは過去の栄光。今では食い
◉話題作、読んで観る?◉ 第40回「キネマの神様」
 原田マハの同名小説を、「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督が映画化。ギャンブル依存症の父親に振り回される家族という設定は同じだが、熱狂的な映画マニアの父親から、かつては映画監督を志していたものの挫折した男へと、大きく脚色されている。競馬、麻雀好きなゴウ(沢田研二)は借金を重ね、妻の淑子(宮本信子)は困り果てていた。
◉話題作、読んで観る?◉ 第39回「Arc アーク」
 中国出身の米国人作家ケン・リュウのSF短編小説『円弧 アーク』を、『愚行録』『蜜蜂と遠雷』の石川慶監督が映画化。〝不老不死〟をテーマにした異色ドラマに仕立てている。17歳のリナ(芳根京子)は生まれて間もない息子を残して、実家を出た。ダンサーとして流浪の生活を送っていたリナだったが、エマ(寺島しのぶ)に拾われて「ボディ