話題作、読んで観る?

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◉話題作、読んで観る?◉ 第60回「ロストケア」
 日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した葉真中顕の犯罪小説を、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』や『そして、バトンが渡された』が高く評価された前田哲監督が10年がかりで映画化。松山ケンイチと長澤まさみが共演した、スリリングな法廷サスペンスに仕上げている。検察庁に勤める大友秀美(長澤まさみ)は、老人と介護センターの
◉話題作、読んで観る?◉ 第59回「ボーンズ アンド オール」
 ティモシー・シャラメ主演『君の名前で僕を呼んで』が話題となったルカ・グァダニーノ監督の新作映画。全米図書館協会が発表するアレックス賞に選ばれたカミーユ・デアンジェリスのYA小説を原作に、生きづらさを抱えた若者たちのロードムービーとなっている。主人公は女子高生のマレン(テイラー・ラッセル)。子どもの頃から転校を繰り返し
◉話題作、読んで観る?◉ 第58回「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」
 ハリウッドの大物プロデューサーによる性犯罪を告発した、「ニューヨーク・タイムズ」の女性記者たちの手記『その名を暴け』の映画化。映画界のタブーに斬り込む主人公コンビを、キャリー・マリガンとゾーイ・カザンが熱演している。大統領候補だったドナルド・トランプの性的スキャンダルを追っていた記者ミーガン(キャリー・マリガン)は、
◉話題作、読んで観る?◉ 第57回「夜、鳥たちが啼く」
 作家・佐藤泰志は41歳の若さで亡くなったが、彼が残した小説は『そこのみにて光輝く』など5本が映画化され、再評価が進んでいる。これまでは佐藤の故郷・函館でのロケ作品が続いたが、城定秀夫監督が映画化した『夜、鳥たちが啼く』は、東京近郊の地方都市を舞台にした大人の男女の物語となった。慎一(山田裕貴)は若くして作家デビューし
◉話題作、読んで観る?◉ 第56回「あちらにいる鬼」
 直木賞作家の井上荒野が、父・井上光晴と愛人関係にあった瀬戸内寂聴をモデルにして描いた同名小説の映画化。主演の寺島しのぶは、出世作『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督と久々のタッグとなり、剃髪シーンで実際に髪を剃り上げたことでも話題となっている。1966年、作家の長内みはる(寺島しのぶ)は、徳島で開かれた講演会で気鋭の作家
◉話題作、読んで観る?◉ 第55回「ある男」
 芥川賞作家・平野啓一郎が2018年に刊行した長編小説を、劇場デビュー作『愚行録』で注目を集めた石川慶監督が映画化。別人としての人生を歩もうとしたひとりの男の謎めいた生涯を、社会派ミステリーとして描いている。弁護士の城戸(妻夫木聡)は、奇妙な仕事を引き受けた。宮崎で暮らすシングルマザーの里枝(安藤サクラ)は、夫・大祐(
◉話題作、読んで観る?◉ 第54回「よだかの片想い」
 顔に痣のある女性を主人公にした、島本理生の恋愛小説の映画化。女優の松井玲奈が長年熱望していた企画で、主人公が傷つきながらも成長していく姿が繊細かつドラマチックに描かれている。大学院生のアイコ(松井玲奈)は生まれつき、顔に青い痣があった。周囲に気を使われるのが嫌で、大学院で研究に没頭する日々を送っている。出版社に勤める
◉話題作、読んで観る?◉ 第53回「百花」
 これまでに『告白』『君の名は。』など数多くのヒット映画を放ってきた川村元気プロデューサーが、監督として自身の小説を初めて映画化した。母親と息子との記憶をめぐる愛憎劇となっている。レコード会社に勤める泉(菅田将暉)は、シングルマザーである百合子(原田美枝子)に育てられた。久しぶりに実家に戻ると、百合子の様子がおかしい。
◉話題作、読んで観る?◉ 第52回「TANG タング」
 2016年のベルリン国際映画祭にて「映画化したい一冊」として紹介された、英国の作家デボラ・インストールの処女作『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の映画化。池井戸潤原作の映画『アキラとあきら』が8月26日(金)から公開される三木孝浩監督が、大人になりきれずにいる30代の男性とポンコツロボットとのおかしなロードムービーとし
◉話題作、読んで観る?◉ 第51回「戦争と女の顔」
 ノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの処女作『戦争は女の顔をしていない』は、第二次世界大戦に従軍した女性たち500人以上の声を集めた証言集だ。戦場の過酷な状況が皮膚感覚で生々しく記録されている。逢坂冬馬の小説『同志少女よ、敵を撃て』の主要参考文献にもなっている。1991年生まれのカンテミール・バ
◉話題作、読んで観る?◉ 第50回「流浪の月」
 2020年の「本屋大賞」を受賞した凪良ゆうの小説『流浪の月』を、『悪人』『怒り』などで知られる李相日監督が映画化。ネット上での中傷が続くデジタルタトゥーや家庭内暴力によって居場所を失った男女の姿を、いっさいのケレン味を排して描いている。更紗(広瀬すず)は10歳のときに女児誘拐事件に遭った被害者としてのトラウマを抱えて
◉話題作、読んで観る?◉ 第49回「死刑にいたる病」
 日本ホラー小説大賞読者賞を受賞した『ホーンテッド・キャンパス』で知られる櫛木理宇による、長編小説『死刑にいたる病』の映画化。『孤狼の血』で鮮烈なバイオレンス描写を見せた白石和彌監督が、死刑が確定している連続殺人犯と彼に魅了された若者との危険な関係をスリリングに描いている。中学までは優等生だった雅也(岡田健史)だが、今
◉話題作、読んで観る?◉ 第48回「やがて海へと届く」
 旅行中に東日本大震災に遭遇した体験を持つ彩瀬まるの小説を、『四月の永い夢』がモスクワ国際映画祭国際批評家連盟賞などを受賞した中川龍太郎監督が映画化。大切な人を失った女性が、喪失感を克服していく姿を描いている。ダイニングバーで働く真奈(岸井ゆきの)は、大学時代の親友・すみれ(浜辺美波)のことが忘れられない。すみれは3年
◉話題作、読んで観る?◉ 第47回「ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ」
 ジャズシンガーとして、1930年代〜50年代に活躍したビリー・ホリデイの伝記映画。公民権運動の歴史を描いた『大統領の執事の涙』のリー・ダニエルズ監督が、英国人作家のヨハン・ハリが執筆した『麻薬と人間 100年の物語』の第一章「アメリカ vs. ビリー・ホリデイ」にインスパイアされ、ドラマ化した。ビリー・ホリデイの代表
◉話題作、読んで観る?◉ 第46回「クライ・マッチョ」
 91歳になるクリント・イーストウッドの主演・監督作。サスペンス映画『恐怖のメロディ』で監督デビューしたイーストウッドにとって、40本目となる監督作だ。『ダーティハリー』などのアクション映画でタフガイを演じてきた彼らしい、男くさいロードムービーとなっている。イーストウッドが演じるのは、かつてロデオ界のスターだったマイク
◉話題作、読んで観る?◉ 第45回「私はいったい、何と闘っているのか」
 お笑い芸人のつぶやきシローが2016年に刊行した同名小説の映画化。一家の大黒柱として働く中年男性の空回りしがちな日常生活を、コミカルに描いたホームドラマとなっている。主人公の春男(安田顕)はスーパーマーケットの万年主任。40歳を過ぎても店長になれずにいるが、上田店長(伊集院光)から「春男はこの店の司令塔だ」と信頼され
◉話題作、読んで観る?◉ 第44回「ずっと独身でいるつもり?」
 写真集『Sincerely yours…』が60万部を超えるベストセラーとなった、元TBSアナウンサー田中みな実の初主演映画。原案・雨宮まみ、原作・おかざき真里の同名コミックを、作家としても活躍するふくだももこ監督が映画化した。まみ(田中みな実)は望んでいたライターという職業に就き、充実した生活を送っている。だが、
◉話題作、読んで観る?◉ 第43回「そして、バトンは渡された」
 2019年に「本屋大賞」を受賞した瀬尾まいこのベストセラー小説の映画化。バトンリレーのように、次々と親が替わり、家庭環境が変わっていくことになる主人公を、永野芽郁が演じている。本作にはさまざまな親たちが登場するが、それぞれ問題を抱えている。水戸さん(大森南朋)は自分の夢を叶えるために、家族を残してブラジルへと渡った。