今月のイチオシ本

今月のイチオシ本【エンタメ小説】
「料理が好きな人」三年前の春に出会った時、好きな人のタイプを尋ねた優花に、真島は即答した。以来、ことあるごとに同じ質問をするものの、「料理が上手な人」「料理好きな人」と、言い回しは変わっても、答えはいつも同じ。この真島の言葉が、優花にとって呪縛となる。何故なら優花は料理が嫌いで苦手、だからだ。それでもなんとか三年越しの
今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
 実在した上海自然科学研究所の研究者が、戦時下の上海で細菌兵器の謎を追う『破滅の王』が直木賞候補になった上田早夕里の新作は、やはり戦前の上海を舞台に日中戦争の和平交渉を描いている。一九三九年、今井武夫陸軍大佐らが中心となり、蒋介石と和平交渉をする「桐工作」が進められた。当時の中国は親日派の汪兆銘と対日強硬派の蒋介石が争
今月のイチオシ本【デビュー小説】
 クリープハイプの尾崎世界観が候補になったこともあり、メディアでも派手に報道された第164回芥川賞。下馬評通り、宇佐見りん『推し、燃ゆ』が受賞したが、デビュー作ながら同じ回の候補になったのが、すばる文学賞受賞の本書。題名はポルトガル語で〝配偶者〟の意味(著者によれば、コンタクトと同じく、「コン」にアクセントがあるらしい)。
今月のイチオシ本【ミステリー小説】
 それが、現実──。ままならない日々を、そう割り切って受け入れていく生き方も、ひとつの処世術といえるのかもしれない。けれどそうすることで、目を背け、距離を置き、冷遇しているなにかを忘れてないか。丸山正樹『ワンダフル・ライフ』は、複数のケースを提示し、ミステリの手法を用いて読み手に、その〝なにか〟の一端をのぞかせようと
今月のイチオシ本【ノンフィクション】
『医療現場は地獄の戦場だった!』 大内 啓 ビジネス社  著者は米マサチューセッツ州ボストンにあるハーバード大学医学部の助教授で終末期医療の研究者である。同時に内科と救急科両方の専門資
今月のイチオシ本【警察小説】
『ドッグデイズ 警部補 剣崎恭弥』 柏木伸介 祥伝社  ハードボイルド・ヒーローといえば、卑しい街を一人ゆく騎士的存在だったが、一九七〇年代、アメリカではベトナム戦争で心身に傷を追った
今月のイチオシ本【エンタメ小説】
『ババヤガの夜』王谷 晶 河出書房新社  読んでいる間中、胸の奥から名状し難い興奮が突き上げてくる。冒頭、ぼっこぼこにされた状態で、新道依子が暴力団の会長宅に連れてこられた場面。組員の
今月のイチオシ本【デビュー小説】
『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』 竹田人造 ハヤカワ文庫  最高にポップでテッキーな最新型のAIコンゲーム小説が登場した。その名も、『人工知能で10億ゲットする完全犯罪
『妖しい刀剣 鬼を斬る刀』東郷 隆 出版芸術社  博覧強記で時代考証にも定評がある東郷隆は、文物の故事来歴を掘り下げる江戸時代の考証趣味に通じる『戦国名刀伝』『本朝甲冑奇談』などを発表
『放課後の嘘つきたち』酒井田寛太郎 ハヤカワ文庫  ライトノベルのフィールドから、青春ミステリの有力な書き手が颯爽と現れた。  酒井田寛太郎『放課後の嘘つきたち』は、全校生徒五千
今月のイチオシ本【警察小説】
『ワトソン力』大山誠一郎 光文社  ワトソン力のワトソンとは、かの名探偵シャーロック・ホームズの友人で相棒のこと。本書の主人公和戸宋志は、自分から一定の距離内にいる人間の推理力を飛躍的
今月のイチオシ本【エンタメ小説】
『ハッピーライフ』北大路公子 寿郎社  人は感情に翻弄されがちだ。とりわけ、不安や悲しみ、恨みや憎しみといった昏い感情に。それらはじわりじわりと心を侵食していき、やがて拭っても消えない
今月のイチオシ本【ノンフィクション】
『マル農のひと』金井真紀 左右社  2020年は新型コロナ流行の年として歴史に残るだろう。外出、会食、人との接触を自粛せよ、という通達が出たとき、どんな生活になるか不安しかなかった。
今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
『ちえもん』松尾清貴 小学館  一七九八年、長崎から出港したオランダ船が、暴風雨で座礁、沈没した。長崎奉行は沈没船の引き揚げができる人間を募集したが、ことごとく失敗した。そこに廻船業者
今月のイチオシ本【デビュー小説】
『隣人X』パリュスあや子 講談社 『隣人X』は、第14回小説現代長編新人賞の受賞作(鯨井あめ『晴れ、時々くらげを呼ぶ』と同時受賞)。それぞれに悩みを抱えた3人の女性が小説の軸になる。文
今月のイチオシ本【ミステリー小説】
『売国のテロル』穂波 了 早川書房  アフリカの小さな漁村から世界各地に広まったとされる、従来の抗生物質や成分ワクチンがまるで効かない新型の炭疽菌災禍。漁村からは都市や農村への渡航、空
今月のイチオシ本【ノンフィクション】
『幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた〈サピエンス納豆〉』高野秀行 新潮社  前作『謎のアジア納豆そして帰ってきた〈日本納豆〉』(新潮文庫)で納豆は日本人だけの食べ物ではない、と証明
今月のイチオシ本【エンタメ小説】
『口福のレシピ』原田ひ香 小学館  まず最初に言っておきます。本書を読むにあたっては、空腹時を避けるべし! 空きっ腹にしみすぎて悶え苦しむことになります。ほどよく小腹を満たしてから、お