どの巻から読んでもでら面白い! 懐広し徹夜ミステリー!
心から大変尊敬している人物がいる。ジェフリー・ディーヴァー著書の大人気シリーズの主人公である。敏腕のNY市警科学捜査本部長だったリンカーン・ライムは捜査中の事故で脊髄を痛め四肢麻痺となる。絶望し安楽死への誘惑に駆られるが捜査依頼を受けることに……。頭脳明晰で毒舌で容易に他人を寄せ付けない。科学捜査を信念とし、超一流の犯罪学の知識を持ちグリッド捜査などを駆使し真実に近づく。この捜査方法を読んでからというもの、他の推理小説でもきちんとした捜査をしているのかどうかが気になって仕方なくなってしまった。それ程彼の仕事は完璧なのである。『スキン・コレクター』はライムシリーズの最新作である。一作目の『ボーン・コレクター』に触発された犯人が登場するが……。社会問題を織り込み、隅々まで考え抜いた構築力、そして手に汗握る大どんでん返しのあるサスペンス。ライムを始め登場人物達の人間的成長も見逃せない。著者がスピンオフも含め年に一度は新作を発表することに感謝する。新作の表紙をめくる度に登場人物達と再会出来た喜びを噛みしめるのである。
幼い頃兄が変質者に攫われ行方不明のまま、犯人も捕まらない。35年経った現在もキャフェリー殺人捜査課警部は、自分を責め続けている。『虎狼』(モー・ヘイダー著)はシリーズ最新作第七作目に当たる。絶望と共にしか生きられない彼を毎回祈るような気持で見ている。世の中には信じられない程の悪意やえげつない行為が存在する。だが、同じ位の素晴らしい世界もまた存在するのだと思う。光程眩しくはないが、うっすらと仄かに感じるものがある。そんな彼の世界をこれからも見ていたい。
真夜中、やっとできた自分の時間にプレゼント用の編み物をしながら『素晴らしき哉、人生!』を鑑賞する彼女が素敵だ。『毛糸よさらば』(ジル・チャーチル著)の主人公。シリーズ二作目の今作はクリスマスの雰囲気がとても楽しい。未亡人ジェーンは三人の子供と犬一匹猫二匹を抱え毎日が大わらわ。近所で殺人事件が起き……。地にしっかり足を着け日々の生活をこなし恋もする。出てくる料理も美味しそう。海外と言えど近しさを感じられるコージーミステリーは素晴らしい!