◎編集者コラム◎ 『警視庁殺人犯捜査第五係 少女たちの戒律』穂高和季
◎編集者コラム◎
『警視庁殺人犯捜査第五係 少女たちの戒律』穂高和季
唐突ではありますが、交通はもちろん、スポーツやゲームのルールほかに、マナーやエチケットも、ある意味戒律のひとつではないでしょうか。
マナーやエチケットは、罪刑法定主義のように、具体的な刑罰が決まっているわけではないですが、暗黙のうちには存在しているからです。
たとえば、マナー違反をすれば、周囲から白い目で見られ、無視されたり、排除されたり、陰口を叩かれたり、悪い噂を流されたりします。いわゆる、社会的制裁があるわけです。
そういったルールは、権を握った人間が決めるものでしょうが、この物語では、あるひとりの少女Aが権を手中にし、ルールを決め、決めてしまったことで、次々と悲惨な事件が起こっていきます。
少女Aが決めたルールは、周りの少女たちを脅かしますが、少女A本人には適用されません。まるで神のように。
少女Aの周りにいる少女たちは何を怖れて、ルールを守らざるを得なかったのか? ルールを守ることで、少女たちは何を隠したかったのか?
ルールを知ることが、この物語で起こる殺人事件の解決に繋がるわけですが、そのために、警視庁殺人犯捜査第五係の捜査員たちが奔走します。
悪戦苦闘の捜査の末、ようやく男性フリージャーナリストが容疑者として浮かび上がり、被害者の故郷で六年前に起こった、有名な冤罪事件と、その発端となった女子中学生殺人事件に関係していたことが判明するのですが、捜査すればするほど、事件は意外な様相を見せていきます。
少女たちの深淵を垣間見た捜査員たちは――。
序盤から結末の大どんでん返しまで息詰まる、本格ミステリーにして、良質な警察小説をどうぞお手に取ってみてください。
──『警視庁殺人犯捜査第五係 少女たちの戒律』担当者より
『警視庁殺人犯捜査第五係 少女たちの戒律』
穂高和季