◎編集者コラム◎ 『死にたい、ですか』村上しいこ

◎編集者コラム◎

『死にたい、ですか』村上しいこ


「よくぞ書いてくれた!ありがとう。嘘のないこういう本にこそ出合いたかった!」──本音で語ってくれたのは自身もいじめ被害の経験を持つ、お笑いコンビ「たんぽぽ」の白鳥久美子さん。「いじめに遭っているときは本に逃げ場を求め、いじめの本を読みあさりました。でも、必ず最後は仲直りや平和なエンディングばかり。いつも『こんなの嘘だ!』と思っていました。でも、この本は違う。これこそ、真実の本」 

 世の中から消えない絶対悪「いじめ」。

 この作品は、児童文学の世界では明るい楽しい作品をたくさん刊行し、ベストセラーや数々の受賞作を世に出している村上しいこさんの一般文芸デビュー作となります。村上さんが一般文芸としてどうしても書きたかったもの。それが、この、真摯に「いじめ」問題をとらえた小説になります。
著者の村上しいこさんご自身も、幼少期から虐待にあい、家庭でも学校でも壮絶ないじめの被害者でした。

 何度も何度も取材を重ねた迫力ある法廷シーン。そして、丁寧に解決策を探るため取材をしたセラピストの言葉の数々・・・。自身の経験から、誠実にこの小説に取り組みたい、そんな意欲に溢れた一冊になります。

「いじめ」問題のみならず、自死遺族の苦しみと生き様も心に迫ってきます。生きることへの葛藤、そして模索。

 台風の後にのぞく太陽の光が澄んで美しいように。誰もが心に傷を抱えつつ、それでも、生きていく、その尊さに気づかされる一冊です。

 冒頭にも引用した、白鳥久美子さんの巻末解説にも注目です。

──『死にたい、ですか』担当者より

死にたい、ですか

『死にたい、ですか』
村上しいこ

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