◎編集者コラム◎ 『人情江戸飛脚 月踊り』坂岡 真

◎編集者コラム◎

『人情江戸飛脚 月踊り』坂岡 真


人情書影
江戸時代の風流を表現したら、天下一品の装画家・宇野信哉先生。墨絵と浮世絵が融合したような、とても不思議で魅力のある装画を描いていただけました。

 シリーズ累計200万部突破の大ヒットシリーズ「鬼役」の著者が描く、人情味あふれる風流時代小説「人情江戸飛脚」シリーズ。
 その第一弾『月踊り』が、めでたく刊行となりました。これもひとえに読者みなさまのおかげというもの。誠にありがとうございます。
 前作『死ぬがよく候〈五〉雲』が書店さんに並んだのは、2020年3月。
 実に2年ぶりに、小学館時代小説文庫にご登場いただきました。本当に嬉しいことです。心より感謝。

 で、話は戻りまして、『月踊り』をば。
 坂岡真先生が本作をご執筆するにあたって目を付けたのが、影聞きという一風変わった職業。
 仕事の中身は、世間に知られたくない秘め事を探る、いわば現代の浮気調査の探偵といったところでしょうか。
 その影聞きを商売にする、元コソドロの「どぶ鼠の伝次」が狂言回しとして登場、物語を拍子よく進めます。セリフなんか、まるで落語のよう。思わずニヤリとしてしまうはず。
 狂言回しがいるなら、もちろん主人公も存在します。その名も「浮世之介」。なんとふざけた名前でしょう。どうやら卯之介が本名らしいのですが、それもかなり怪しげ。

 この浮世之介、飛脚を商う兎屋の主人なのに、奇妙な髷にカブいた着物をまとって外に出ては、真昼間っからお酒をひっかけて、端唄を唄いながら千鳥足で帰ってくるという遊び人。
 ですがその正体は、情にもろく、人に温かく、通らぬ筋は許せない侠気溢れる男。伝次とともに悪党を一刀両断しては、困っている人たちの心のもつれを解きほぐします。
 はてさて、このシリーズ第一弾は、いったいどんな事件が待ち受けているのでしょう。
 それは読んでのお楽しみ。

──『人情江戸飛脚 月踊り』担当者より

人情江戸飛脚 月踊り

『人情江戸飛脚 月踊り』
坂岡 真

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