◎編集者コラム◎ 『△が降る街』村崎羯諦

◎編集者コラム◎

『△が降る街』村崎羯諦


△が降る街写真

△が降る街』の編集者コラムをご覧いただき、ありがとうございます。本作の編集業務を担当させていただきました、A田と申します。
 本作はデビュー作ながら2021年の年間ベストセラー【文庫】部門でベスト10入りをはたした『余命3000文字』の村崎羯諦先生の最新作です!
 これまで『余命3000文字』を読んで村崎先生のファンになった読者の皆様から、「新しい作品が出たら絶対買います!」というお声をたくさんいただきました。
 そんな何よりも嬉しいお言葉をいただき、否が応でも編集業務には熱が入っていったのですが……。

 その中で私の頭を一番悩ませたのが「どうすればもっとも分かりやすく、この本が『余命3000文字』を書いた村崎先生の新しい作品だよ、ということを伝えられるのか」ということでした。
 というのも『余命3000文字(2)』といったような巻数表記をつけることができれば、もっとも分かりやすくはなるのですが……「余命3000文字」は短編集におさめられた単体で完結する一作品名であるため、2とすることができないのです。

 ならば、例えば「××3000文字」「××3000光年」などなど、数字の繋がりで書き下ろし作品をご執筆いただくことはできないか、ということも村崎先生と一緒に考えもしたのですが……そういった「都合」ありきでの執筆は、やはり良くないな、ということで却下。
 その後も、何か良い方法はないか……と思考の迷路をさまよっていた中、助けてくださったのが、前作から引き続き装画のご執筆を担当してくださった、イラストレーターのsyo5先生でした。

 どうすれば新作が『余命3000文字』と同じシリーズだと一目で分かるようになるか。syo5先生からいただいたアイディア。それは「カバーのイラストを横に繋げてみるのはどうか」というものでした。
 な、なんということでしょう……! タイトルは違えども、カバーのイラストが繋がることで、見事にシリーズとしてのまとまりが生まれ、かつ、それが一目で分かる。最高のアイディアでした。
 また、2冊を横に並べるイラストになったということは、書店様の店頭で新作だけでなく前作も並べて置いていただけるのが、一番美しい仕掛けになっているということで……。
「す、すごい、すごすぎますよ! syo5先生!!」
※それは、A田の中で、邪な売上アップ作戦の道が花開いた瞬間でもありました。

 こうして完成していったのが、『△が降る街』のカバーイラストです。
 降りしきる「文字」を見上げる少女と、降りしきる「△」を見つめる機械の青年が織りなす幻想的な世界観。涙から笑いまで、様々な感情をゆさぶる作中の多面性を見事に表現してくれています。

『△が降る街』は短いもので1話5分ほど、どこから読んでも楽しめる短編集となっています。前作『余命3000文字』を未読のかたでも、満足できる1冊となっておりますので、ぜひお手にとっていただき、村崎先生という新しい若き才能に興味を持っていただきましたら嬉しく思います!
 以上、『△が降る街』の編集者コラムでした!

──『△が降る街』担当者より

△が降る街

『△が降る街』
村崎羯諦

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