◎編集者コラム◎ 『都立水商! 2年A組』室積 光
◎編集者コラム◎
『都立水商! 2年A組』室積 光
室積光さんの伝説のデビュー作『都立水商!』は、2001年の発売以来ロングセラーを続け、猪熊しのぶさんによるコミックスが大ベストセラーとなった作品だ。
テレビドラマ化もされ、二度目のドラマ化となった2019年に、18年ぶりとなる続編『都立水商1年A組』を刊行した。主人公の淳志は、中学時代にいじめられ、仕方なく水商売専門の都立高校、通称「都立水商」に進学する。入学早々、淳志は担任の熱血漢・伊東に学級委員に指名される。同級生や先輩は、問題を抱えてはいるが、いい人たちばかり。その道のプロから教わる授業は、実践的で面白い。やがて淳志は、生徒会を手伝うようになり、どんどん水商の魅力に気づいていく、といった物語だ。
それから3年。さらなる続編として12月に本作を、1月に『都立水商3年A組 卒業』を刊行する。2作品に共通しているのは、コロナ禍のまっただ中にあることだ。夜の街は活気を失い、おのずと水商売を専門とする高校の存続もいかがなものかという世論が高まっている。
それでも、だ。生徒たちは匍匐前進さながら、はいつくばってでも前に進むことをあきらめない。それを象徴するのが、バスケット部だ。水商売の専門学校なのに都大会を勝ち抜き、ウインターカップの決勝試合は、手に汗握る展開に。今なお現役のバスケットマンである著者の本領がいかんなく発揮されている。是非とも読んでほしいシーンだ。
「都立水商」シリーズは、一貫して、男らしさや女らしさを超越し、どんな生徒だって輝けるのだと思わせてくれる。だから本作から読んでも、面白さは補償する。できればシリーズを通して「こんな高校があったら入学したい」とページをめくってくれたら幸いだ。
──『都立水商! 2年A組』担当者より
『都立水商! 2年A組』
室積 光