アジア9都市アンソロジー『絶縁』ができるまで⑨
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はじめまして。いよいよ今週金曜日に発売となるアンソロジー『絶縁』の編集担当かしわばらのお手伝い編集者です。村田沙耶香さん、ウィワット・ルートウィワットウォンサーさん(福冨渉さん訳)、ラシャムジャさん(星泉さん訳)、グエン・ゴック・トゥさん(野平宗弘さん訳)の作品を担当しました。村田さんとは長くお付き合い(朝からお酒を飲んだこともありました)させていただきながら、小説の担当をするのは今回がはじめてでした(エッセイは『となりの脳世界』に収録していただきました。村田さんの頭の中を覗くようでとても面白いエッセイ集です。未読の方はぜひ)。
この企画が立ち上がり、村田沙耶香さんにご依頼した際、〝絶縁〟というテーマに対して「痺れる」とおっしゃっていただきましたが、編集の過程は常に痺れることばかりでした。それぞれの作品の原稿が届くたびに、上海出身のイラストレーター趙文欣さんの装画のラフを見て、デザイナー川名潤さんがそのラフを一つの形にまとめたとき、などなど。一冊の本を二人で編集する機会があまりないので、かしわばらと「いいね!」「面白いね!」と共有できることも新鮮で、なかなか痺れておりました。
そんなかしわばらが綴ってきたこの連載、前回めちゃくちゃ続きの気になるタイミングで「ソウルレポート」を振られました。わたしでいいのでしょうか。
ソウル滞在の日程は、1日目の午後に到着して文学トンネチームと会食、2日目午前中にチョン・セランさんと村田沙耶香さんの対談。皆さんでランチをしたあとは、それぞれ自由行動をして、3日目の午前中の飛行機で帰るというものでした。わりとハードスケジュールです。
初日、まずは文学トンネのみなさんと会食。『絶縁』を日韓で同時刊行するべく、文学トンネの編集者キムさんとかしわばらが前回書かれていたようなやり取りをしていることも知らず、待ち合わせ場所にも最後に合流した不届者のわたし。かしわばらが、キムさんが男性であったことに動揺していることも、知りませんでした。
連れて行っていただいたのは、美味しくて人気という焼肉屋さん。コミュニケーションのままならない私たちの会話をリードしてくださったのは、ここでもやはり、クオンの金承福社長です。人気の作家さんの話や、出版事情の話をたくさん伺いました。おすすめ上手な文学トンネのパクさんにすすめられるがまま、豚肉も冷麺も食べて満腹!
え……ちょっと待って……ソウルレポートこれでよいでしょうか。
私にとって、20年以上ぶりのソウルは、記憶の中の印象がほとんど残っていなくて、若い人が多く活気のある街でした。いよいよ明日、チョン・セランさんと村田沙耶香さんの対談です!
(続きは次回に)