◎編集者コラム◎ 『シャドウ』神田 茜

 ◎編集者コラム◎

『シャドウ』神田 茜


シャドウ

 もう5年ほど前のことです。下北沢のカフェで、神田茜さんと打合せという名の雑談をしていた時、「どうして、最近の若い人は恋愛をしなくなったのでしょうね?」という話になりました。ちょうどその頃、放送されていたドラマ『きょうは会社休みます。』にお互いハマっていたこともあり、その話題でも盛り上がりました。ヒロインの花笑は、年齢=彼氏いない歴の33歳OL。今、こういう女子って実は結構いるよね、という話から、新作は「恋愛下手(未経験)な30代女子が恋をする話」にしよう、ということに決まりました。

 作家の他、講談師としても活躍されている神田さん。芸能の世界を裏側までご存じだからこそ書ける物語をご執筆いただきたいな、ということも同時に考えていました。そこで、私からのリクエストはたった一つ。「ヒロインは、女優の"付き人"をしてる女の子でどうでしょうか?」

 現実的にはマネージャーが付くことがほとんどでしょうが、それだとややビジネスライクに過ぎる。女優が輝くために、"付き人"として仕事を支え、身の回りのすべての世話をし、まるで"影"のように生きている女の子がいたとしたら。そして、彼女が初めての恋をしたら──

 打合せを重ねる中で誕生したヒロイン元菜は、女優として活躍する姉の陽菜の付き人として生きてきた31歳の女の子。元菜はロケ現場でカメラマンの生駒と出会い、恋に落ちますが、その先に待っていたのは陽菜とのまさかの三角関係で……!? 元菜の初めての恋の行方と、彼女の成長、そしてラストでの決断を、見届けていただけたら嬉しいです。

 そして、今回の装丁は、イラストではなく写真を使いたい、と考えていました。深い絆と愛情で結ばれつつも、恋人をめぐって三角関係になってしまうような、ちょっと"普通じゃない"陽菜と元菜の姉妹関係。これをダイレクトに表現できるような一枚を……と探したのですが、なかなか見つからないこと数ヶ月。デザイナーの岡本歌織さんが数十点のラフを作成して下さり、ようやく、「これだ!」という会心の一枚に出会うことができました。

「文庫オリジナル」として刊行される今作。姉妹がいる人も、いない人も、恋愛体質な人も、恋愛下手な人も、ぜひ気軽に手に取っていただけたら幸いです。

──『シャドウ』担当者より
 
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