アイルじゃないよ、アイスだよ。

アイスランドの魅力、堪能してください。
書店員名前
旭屋書店新越谷店(埼玉) 猪股宏美さん

 突然ですが私、アイスランドが大好きです! とにかく自然のパワーに圧倒される、火山と氷河の国アイスランド。ここ数年、日本からのツアー客も増えてきているものの、まだ知名度が低いのか、よくアイルランドと間違えられる国アイスランド。今回はそんなアイスランドにまつわる本を紹介します。

『雪盲』ラグナル・ヨナソン

雪盲
小学館文庫

 首都レイキャヴィークから北端の小さな町シグルフィヨルズルに赴任した、新米警察官が主人公のミステリ。

 平和な町で起こった転落死亡事故をきっかけに住民それぞれの秘密が明らかになっていく様は人間の奥深さを感じさせます。小さな町ならではの閉鎖的な雰囲気と雪によってもたらされる閉塞感に加え、前半の場面転開がとても雰囲気のある一冊です(ちなみに、実際のアイスランドはとても治安の良い国です)。
 

『タイムボックス』アンドリ・S・マグナソン

タイムボックス
NHK出版

 経済危機に見舞われたある国でタイムボックスという時間を止める箱が大流行。この危機をタイムボックスの中でやり過ごし、景気が良くなったらまた人生を謳歌しようと人々はこぞってこの箱の中に入り、それぞれの時を止めます。システムの不具合か誰かの思惑か、両親が設定した時間よりも早く箱が開いてしまった子供達に一人のおばあさんがパンゲアという国にいた王女の昔話を聞かせるという、過去と現在が入り混じったファンタジーです。

 子供は純粋におとぎ話を楽しみ、大人は楽しみつつも人間のあり方、自分の人生を生きるということについて深く考えさせられる作品です。
 

『風とマシュマロの国』ふかわりょう

風とマシュマロの国
幻戯書房

 タレントのふかわりょうさんもアイスランドに魅了された一人で、この本は2007年から五年にわたってアイスランドを訪れたふかわさんの紀行本です。

 当時とは違うところもあるでしょうが、行ったことのない人が読めばアイスランドのイメージが広がりワクワクするでしょうし、行ったことのある人は自身の思い出を重ね、そしてまた訪れたくなる。そんな魅力溢れるエッセイです。

 どうでしたでしょうか? このコラムを機に少しでもアイスランドが気になってくれる方がいたら嬉しいです!

〈「きらら」2019年10月号掲載〉
 
鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』
今月のイチオシ本【警察小説】