今日のメシ本 昼ごはん

第37回
千葉県
幕張 蔦屋書店
後藤美由紀さん
かわいすぎて使えなかった布巾を
ランチョンマットに!
meshibon

 当店は、書籍を中心に文具、CD、DVDのセル・レンタルの取り扱いの他、店内にスターバックスコーヒーを併設する大型店舗で、千葉市内にあるイオンモール幕張新都心の中にあります。モール自体もとても大きく、昼食を買いに出ると最低でも10分はかかるので、貴重な休み時間を減らさないためにもお弁当持参が基本。といっても、今春より子どものお弁当作りから解放されたので「残りものdeお弁当」ということがほとんどです。

○月×日

 茹で豚サラダの温玉添え弁当。額賀澪さんの『拝啓、本が売れません』を読む。この先、紙の本をどう売っていくべきかというのは常に頭の中にあるので「本を売る」「モノを売る」をテーマにした本はやはり気になる。本書の中に出てくる「自分が面白いと思ったものを、丁寧に伝えていく努力をするしかない」という言葉に自分の仕事を省みる。基本的で大切なことができてないなあ。

○月×日

 児童書を担当しているので、絵本や児童向け読み物を読むことも多い。今日は気になっていた朝日学生新聞社児童文学賞受賞作品の『言葉屋 言箱と言珠のひみつ』。児童書でも大人が読んで読み応えがあるもの、逆に文芸書でもヤングアダルトに読んで欲しい作品は数多くある。その実、うちの店では『さよなら、田中さん』はYAの棚からよく売れる。「ジャンル」という垣根をもっと低くして様々な出会いの場を提供できるような本屋でありたいと思う。お昼は冷食のパスタとシリアル&ヨーグルト。これはおかずが何もない時の常套手段。

○月×日

 大根と豚肉和風煮とほうれん草のお浸しをおかずにお弁当。今日のお昼のおともは『本の雑誌増刊 本屋大賞2018』。投票された全作品のコメントが掲載されているので、あれも読みたいこれも読みたいと贅沢な悩みが増える。

○月×日

 2階にあるサンマルクカフェのホットサンドを片手に湊かなえさんのプルーフ『未来』のラストを読む。最後の最後で目の前に現れたものに、読後しばし呆然。「湊さん=イヤミス」という固定観念を完全に覆された。仕事に戻れる気がしない……。

 

(「STORY BOX」2018年6月号掲載)

芥川賞作家・三田誠広が実践講義!小説の書き方【第45回】私小説の不思議な輝き
◎編集者コラム◎『落ちた花嫁』ニナ・サドウスキー 訳/池田真紀子