ニコデモ 風は思いのままに吹く

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◇長編小説◇藤谷 治「ニコデモ 風は思いのままに吹く」連載第4回
「ニコデモ 風は思いのままに吹く」連載一覧 「かよ」市兵衛(いちべえ)は赤ん坊をおぶった女の人に声をかけた。「せがれだ」  かよは「判(わか)ってる」と頷き、正太郎(しょうたろう)に「疲れてるでしょう
◇長編小説◇藤谷 治「ニコデモ 風は思いのままに吹く」連載第3回
 気がつくと鈴木正太郎(すずきしょうたろう)は、またしても雑踏の中にいた。  昨日のことはすべてがぼんやりしていた。詰襟を着た東京の学生さんや、西洋人の女が乗せてくれた大きな船のことを忘れたわけではな
◇長編小説◇藤谷 治「ニコデモ 風は思いのままに吹く」連載第2回
 とうとう半ば常軌を逸したニコデモは、船着き場に積み上げられた大きな木箱の上によじ登り、たったひとつ残された小僧の形見を歌い始めた。  花よ、花咲けよ、花は花咲くもんだなし。 ・・・・・・・・・・・・
◇長編小説◇藤谷 治「ニコデモ 風は思いのままに吹く」連載第1回
「ニコデモ 風は思いのままに吹く」連載一覧  昔むかしの大昔、日本が戦争に勝っていたころ、ある裕福な家に、一人の男の子が生まれた。両親はこの子をニコデモと名付けた。父母ともにキリスト教徒であったので、