ミステリかぶれもビックリ!
ミステリばかり読んでいると途中で犯人がわかってしまったり、伏線に気付いたりと展開が読めてしまい残念に思うことはありませんか?
そんなミステリかぶれを吹き飛ばしてくれる本をご紹介します。
『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』 麻耶雄嵩
こちらはメルカトル鮎という探偵が奇妙な事件を解き明かす新本格派ミステリです。
ただし、〝シリーズもの〟や〝探偵もの〟といったものにある概念を完全に無視のとんでも展開になっています。
残念ながら読み手を選ぶ作品ではありますが、著者の奇才をしみじみ味わえるはずです。なんとこちらは著者のデビュー作で、二十歳のとき書かれたというので本当に驚きです。
こちらが楽しく読めた方には、メルカトル鮎シリーズの他の本も是非お手にとって頂きたいです。どの本も麻耶雄嵩とんでもないな! と思えます。
『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介
動物の不審死が相次ぐある街。主人公ミチオは妹のミカと死んでしまった同級生S君の幽霊と共に、S君の死体を探すことになります。節々に違和感はありつつも、「ひと夏の兄妹アドベンチャーか、展開が読めてきたぞ」と思いだした矢先の衝撃のラスト! 一見ハッピーエンドのようにも見えるのですが……ご自分の目で確かめてください。
『その女アレックス』 ピエール・ルメートル
翻訳ものから1冊。こちらはベストセラーになりました。ご存知の方も多いのではないでしょうか? 私は読む前と後では、ガラリと読書の世界が変わりました。
主人公アレックスは突然男に誘拐され檻に幽閉されます。徐々に弱っていくアレックス、事件を捜査する警察たち、これからどうなってしまうのか……とここまでが序章です。ここから一気に思いもよらぬ方向へ話は転じてゆきます。主人公はアレックスなのですが、各章ごとにこの女は誰だ? と読み手は自問してしまいます。
読了後の感動を実際に感じて頂きたいので多くは語りませんが、ひたすら震撼させられます。悲しみに絡められながらも吹き抜けるような爽やかな読後感でした。是非読んで頂きたいです。