今日のメシ本 昼ごはん

第38回
広島県
啓文社 ゆめタウン呉店
三島政幸さん
肉・玉子、そば入りの広島焼きは
そばを増量して午後の活力に!
meshi

 呉駅と大和ミュージアムに挟まれた「ゆめタウン呉」館内の書店です。平日は日常利用されるお客様、休日は遠方からの家族連れでごった返しています。

○月×日

 フードコート「OKONOMI ICHIBANCHI」の広島焼きで昼食。広島のお好み焼きはそば入りが基本。ここは無料でそばを増量できる。残りの休憩時間を使って、清水浩司さんの新作『愛と勇気を、分けてくれないか』(小学館)プルーフを読了。広島が舞台で世代も近く、いろいろ懐かしみながら読める青春小説だった。根底にあるのは「広島をもっと盛り上げたい」という著者の想いだ。

○月×日

 職業柄、本や本屋を題材にした本には敏感に反応し、買って読むようにしている。今日読んだのは『本屋という「物語」を終わらせるわけにはいかない』(筑摩書房)。業界でも有名な盛岡・さわや書店フェザン店の松本大介店長の本だ。実際にやってきたことを語りつつ、本屋が生き残る方法を模索している。こういうことを常に考えている人がもっといれば、本屋はなくならないはず。

○月×日

 辻村深月さんが本屋大賞のお礼にとわざわざご来店くださった。読み終えたばかりの『青空と逃げる』(中央公論新社)の感想もお伝えできた。世間から隠れるように各地を転々とする母子の物語だが、素晴らしい人々との出会いに感動する。『かがみの孤城』(ポプラ社)とはまた違ったアプローチながら、読了後の印象が近い気がした。

○月×日

 広島本大賞授賞式。受賞作家さん、出版社のみなさんにもお集まりいただいた。実行委員に運営費などの負担をしていただきながら、毎年運営できている。会場販売で最も売れたのは中本忠子さんの『ちゃんと食べとる?』(小鳥書房)。中本さんは非行に走った子供たちに無償で食事を与え、更生させる活動を長年続けておられる。最初に食べさせた子供たちはもう五十代で、いまでも交流があるそうだ。造本も実に素敵。

○月×日

 連城三紀彦さんの『悲体』(幻戯書房)読了。著者の意図が分かり難い凡作だが、晩年まで実験的な作品を書いていたことに脱帽する。

 

〈「STORY BOX」2018年7月号掲載〉

文学作品に学ぶ、“人ならざる者”への恋の作法【文学恋愛講座#9】
◎編集者コラム◎『ショートショート千夜一夜』田丸雅智