◎編集者コラム◎ 『春風同心十手日記〈一〉』佐々木裕一

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『春風同心十手日記〈一〉』佐々木裕一


編集者コラム
板津匡覧監督が描く、主人公の夏木慎吾。意志の強そうな眉と、涼しげな切れ長の目! 背筋がぴっと伸びた二枚目です!! 背景もすべて手書きだそうで、繊細さにびっくりしてしまいました!!!

「公家武者信平」「浪人若さま新見左近」シリーズで、横綱級の人気を誇る時代小説作家・佐々木裕一先生が颯爽と小学館文庫に初登場です! 

 ちなみに、二枚目の佐々木先生は笑顔も横綱級。素敵な笑顔に担当者はみな、ファンになってしまいます。 

 その素敵な笑顔を写し取ったとしか思えないのが、本作の主人公・夏木慎吾で、「あいつが歩けば、春風がそよぐ」と言われそうなほど好い男。 

 北町奉行所の定町廻り同心で、とても仕事ができるのですが、今回の事件は岡っ引きの五六蔵に助けを借りたものの、すぐに手詰まってしまいます。 

 事件の中身は、木場で働く竹三という男が包丁で心臓を刺されたまま、深川の長屋の土間で冷たくなっていたという殺人事件。 

 なかなか進展を見せない探索具合に、慎吾は「女医」の国元華山に協力を求めます。 

 そうなんです、男尊女卑のイメージが定着している江戸時代にも、しっかり「女医」は存在していたのです。

「女医」という言葉自体は、701年(大宝元年)に、日本史上初めて律と令が揃って制定された律令「大宝律令」に見られるそうで、当時の女医の医療内容は助産婦に近いものと考えられているらしいとのこと。 

 江戸時代に入ると、土佐藩の名医・野中婉(のなかえん)、伊勢の眼科医・度会園女(わたらいそのめ。斯波園女とも)、上総の産科医・森崎保佑(もりさきほゆう)たちが現れ、幕末にはシーボルトの娘・楠本伊禰(くすもといね)が活躍、司馬遼太郎先生の長編小説『花神』に登場しています。 

 ですが、正式に国家の医師免許を初めて得たのは荻野吟子(おぎのぎんこ)で、1885年(明治18)まで待たなければならなかったところを見ると、やっぱり男尊女卑の世の中だったのでしょう。 

 そんな、江戸時代には稀な存在と言える女医の華山に助けられながら、慎吾は探索を進めるのですが、果たして見事に解決できるのでしょうか? 

 え? 慎吾と華山との色恋沙汰はあるのかですって? それは読んでのお楽しみ。

──『春風同心十手日記〈一〉』担当者より

春風同心十手日記〈一〉

『春風同心十手日記〈一〉』
佐々木裕一

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