◎編集者コラム◎ 『警視庁レッドリスト2』加藤実秋

◎編集者コラム◎

『警視庁レッドリスト2』加藤実秋


『警視庁レッドリスト』が発売後、すぐに重版がかかったことをうけて、シリーズ化すべく加藤実秋さんと昨年末に打合せを行った。
 加藤さんと続編を考えるのは、『モップガール』以来だ。わたしには、結構好きな仕事のひとつでもある。とは言え、かつてはうんうんとお互いに唸りながら、半日以上打合せを重ねたものだった。その甲斐もあってか、続編の大まかなプロットは、打ち合わせをはじめてから数時間でまとまった。

 閑職とも言える「職場環境推進室」に異動させられても、出世をあきらめない主人公が、警察組織の陰謀を止めた前作。しかし、その強引な捜査手法に利用された新興宗教団体内部では、後継者争いとともに主人公への復讐をもくろむ一派が台頭していく。そして、思いも寄らない手法で、主人公は被疑者に追い詰められてしまう、というのが今回のおおまかなストーリー。警察組織を揺さぶる頭脳戦の行方を是非とも楽しんでほしい!

「赤文字リスト」とは、明確な違法行為・コンプライアンス違反には至っていないが要注意と判断された職員をピックアップした名簿のことである。そこに載ると、出世の見込みもなくなり、警察官としての経歴は終わってしまう。警察という特殊な組織だからこそ問題視される警察官を、寄せられた情報にしたがい「赤文字リスト」入りさせるのかどうかという面白さは、今回も健在だ。

 デザイナーの片岡忠彦さんによって、続編も新感覚な警察小説にふさわしいカバーになった。書店で実物を見てほしい。できれば、手にとっていただきたい。

 特に、パンが好きで、食べ歩きを趣味にしている方には、余計に楽しめるはずだ。

──『警視庁レッドリスト2』担当者より

警視庁レッドリスト 2

『警視庁レッドリスト2』
加藤実秋

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