◎編集者コラム◎ 『私のカレーを食べてください』幸村しゅう

◎編集者コラム◎

『私のカレーを食べてください』幸村しゅう


『私のカレーを食べてください』写真

私のカレーを食べてください』の編集者コラムをご覧いただきありがとうございます。本作の編集業務を担当させていただきましたA田と申します。

 以下、私事で恐縮ですが出版社に入り本に携わる仕事をするようになって今年で15年、編集者になってから数えても気がつけば10年弱の時が経ちました。

 ありがたいことに、これまで色々な作品の創作の場に携わらせていただきましたが『私のカレーを食べてください』では、初めての経験がありました。

 それは、カバーの写真を撮り下ろすことです。これまでも、写真をカバーに使用した作品を担当したことはあったのですが、ゼロから写真を撮り下ろす作業は、本作がはじめての経験でした。

 本作は2021年に単行本として発売した書籍で、単行本時はイラストレーターのMiltataさんに、とてもお洒落で食欲をそそるカバーイラストを描き下ろしていただきました。今回、その文庫化にあたり、単行本刊行の際とは見た目を変えることで、新しい読者さんにも訴求を広げたいと思い「カレーの写真をカバーにしよう!」と決めたわけですが――

 なにせ、まったく経験がないため、そもそも何から手をつければいいのかが分からない。そんな中、たくさんのアドバイスをいただいたのが、単行本時からレシピ提供の形で大変お世話になっていた、スパイス料理研究家の印度カリー子さんでした。

 カリー子さんには、カバーに登場するカレーの作成をご依頼させていただき、著者の幸村先生と協議した「思わず手が出る」「見ただけで、うまい! と分かる」「食ってみ、飛ぶぞ!」そんな言葉が脳裏をよぎるカレーを作り出していただきました。

 そして、ただお作りいただくだけでなく調理後、調理中、どの状態のカレーを撮影するのか、湯気の有無、カメラマンさんのご紹介などなど、多くのお知恵をいただきました。また、そうしてご紹介いただいたカメラマンの鈴木信吾さんには、撮影はもちろんのこと、お皿やスプーンなどの準備にいたるまで、詳しくレクチャーいただき、著者の幸村先生も太鼓判を押すカレーが完成していきました。

 本作では、天涯孤独の身である主人公が様々な人々の人情やサポートにふれながら、理想のカレーを追い求めていきますが、このカバー写真の撮影も、まさにそうしたたくさんのサポートに助けられ完成していきました。

 ここまで読んでくださった方は、さて、それならどんな写真になったのか、気になっているかと思いますが……それはぜひ、書店様の店頭で『私のカレーを食べてください』を手にとってご覧いただけましたら幸いです。

 なお、撮影時に作っていただいたカレーは、幸村先生と一緒にいただきましたが、まさに「飛ぶぞ!」なおいしさでした。こんな役得も初めての経験ですね、幸村先生、最高の経験をありがとうございました!

──『私のカレーを食べてください』担当者より

私のカレーを食べてください
『私のカレーを食べてください』
幸村しゅう
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