ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第72回
どの穴に突っ込まれるのか。
乞うご期待である。
このペースで行くと次回の健康診断では一体どの穴に突っ込まれるのか、ついに私にもBL漫画に出てくる謎の第三の穴(サードホール)が開いてしまうのか、私の描くどの漫画よりも次回乞うご期待である。
このように私も加齢のせいか、健康診断を受ければ漏れなく何かが引っかかり、今日も後期高齢者の母から電話がかかってきて「いつも死にそうな声をしているが大丈夫なのか」と言われたところである。
そういえば健康診断の時の問診も最初の質問が「大丈夫ですか?」であった。
今思えば医者の質問としてかなり斬新である。
どうやら私は大丈夫じゃないことだけは確かなオーラを発しているらしい。
自分は自分のことを地味で目立たないタイプと思っていたが、他人からすると「病魔にしてははっきり見えすぎている」と二度見される存在だったのかもしれない。
この「自己評価と他者評価の乖離がひどすぎる」というのもコミュ症の特徴の一つである。
しかし、見た目が病気なだけで実際はかなり健康な方であり、今までの人生で一番具合が悪かったのは先日のコロナワクチンの副反応だ。
コロナウィルスと言えば、さすがにそろそろ終息ムードである。
今振り返ってみると、やはり漫画というのは数ある業種の中でもコロナウィルスの影響を受けなかった分野だったような気がする。
むしろ巣ごもり需要により漫画業界は史上最高の売り上げを叩きだしたという話もある。
私個人は、特需もなければ、かといって持続化給付金をもらえるほど収入が減っていないという、広島と福岡の間状態だったのだが、連載が打ち切りになりそうだった時「コロナのせいで終わりそう」と言い張ったことで、連載が継続できたという意味では恩恵を受けている。
そんなわけでコロナで何か生活が変わったかというと、ほぼ何も変わっていないのだが、唯一変わったといえば、この二年ぐらい全く東京に行っていないという点である。
もはや作家が上京せずともできる仕事なのは周知の事実だが、取材などどうしても現地に行かなければいけない打ち合わせ以外では、定期的な上京すら特に要らないということが判明したのである。