ガチマヤー(食いしん坊)あつまれ! な3冊

マニュアルでない料理書は著者の食エッセイともいえる。
書店員名前
リブロ リウボウブックセンター店(沖縄)筒井陽一さん

 こんにちは。年末も日に日に近づいてきました。冬はほっこりしたご馳走で食卓を彩りたいもの。沖縄も汁物や温かい料理が、時節柄好まれます。誤解されがちですが、当県も決して常夏の島ではありません。冬は風が非常に強く、はっきり言って寒いッ! 体の芯から温まりたく、皆で鍋などつつく機会も多くなりましょう。活躍するのは実用書。中でも地元出版社による沖縄の本─県産本─の動きが店頭でも安定・人気です(県内では約20の出版社が硬軟あらゆるジャンルで精力的に活動中)。気候風土が違えば、食材だって違う。本土とレシピが変わってくる事もある。動植物図鑑も県産本しか役に立たん……なんて事もザラ。これ沖縄の実用書担当者あるある。

 前置きが長くなりました。今回ご紹介するのは様々な局面で使えるレシピ集。えー、「きらら」でレシピぃー!? といわれそうですが、文芸要素が多くある3冊を選んでいます。幕間のコラムや、沖縄年中行事にまつわる話題がGOOD ‐ TASTE。単なるマニュアルでない料理書=著者の食エッセイともいえるのではないでしょうか。そう、池波正太郎先生や檀一雄先生のそれのように……。というわけで、ずらっと紹介。

「OKINAWA 豆腐×magic=Healthy&Beauty」新崎亜子

「OKINAWA 豆腐×magic=Healthy&Beauty」新崎亜子
琉球新報社

「健康=食」を体現した素晴らしい一冊。お豆腐のレシピ集です。
 全編彩度の高い撮影画像で、島の美味しそうな食材が更に映えます。

「家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理」家庭料理友の会編

「家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理」家庭料理友の会編
むぎ社

 硬派な料理書。主婦の台所における思想を、きっちりと読める本でもあります。民間伝承の紹介&解説、旧暦と共に暮らすには? など、ミニコラムも充実。

「松本嘉代子のイチから琉球料理 家庭料理の作り方」松本嘉代子

「松本嘉代子のイチから琉球料理 家庭料理の作り方」松本嘉代子
タイムス住宅新聞社

 空前の大ヒット。
 沖縄そばの「そば」そのものも初めから作れます。まさかの自家製麺!
 続編「沖縄の行事と食」では年中行事情報も満載。コラムも満載。一家に一冊、これで一年中安心です。
 

〈「きらら」2018年12月号掲載〉
藤岡陽子、最新作『海とジイ』を語る! 「人が人を壊すこともあれば、修復することもある。生き直そうとする人たちを一番書きたい」――3人のジイたちの強さとやさしさに癒やされる珠玉の短編集!
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車②