三浦英之
書店員をやっていると「一番好きな本(または作家)」を聞かれることがある。とても絞りきれないので、その手の質問には「選べません」と答えているが、その代わり、一番好きな映画なら即答できる。1973年に公開された、悪魔祓いを描いた作品『エクソシスト』だ。という流れで、芦花公園さんの最新刊『とらすの子』を紹介したい。物語は、
幼い頃、動物園で誰しもが見たことがあるアフリカゾウが、絶滅の危機に瀕しているなんて――。しかも、その原因が密猟組織による虐殺だなんて――。恥ずかしながら、本書を担当するまで、私もまったく考えたこともありませんでしたが、野生のゾウは十数年以内に絶滅すると言われているのです。