上流階級
次の日は、コーヒーを飲む時間もなく、朝から電話にメールにと対応に明け暮れた。
「わかりました。本日必ず伺いますので。大丈夫です。……はい。失礼します」
電話を切って思わずため
せっかく本店に来たからということで、芦屋川店には入っていないブランドにも立ち寄った。静緒と同じマンションに住む百合子(ゆりこ)・L・マークウェバーに頼まれた、ルイ・ヴィトンの新作のパーカー
NIMAさんにご紹介したのは、元町本店のすぐ側にある老舗の弁護士事務所Rで、オーナー弁護士の一人であるT先生が代理人を引き受けてくださることになった。
アシスタントにはIT関連に詳
弁護士にもいろいろある。本当にいろいろある。
「いや、一般人としては、国家試験通った人はみんなできる人で、ましてや司法試験なんて難関を突破した人はスーパーマンだって思うじゃない? で
NIMAさんは、あれこれ聞いてこず、黙って必要なだけ情報を渡してくれる静緒を気に入ったらしい。徐々に自分のことを話してくれるようになった。
「昔いじめられっ子でねー。中学で不登校に
「塾でも、K大付属豊中中は難しいから、ランクを落として付属茨木中はいかがですかっていうのよ。私はまあ、結局最終的にK大に入れるならいいか、と思っていたんだけど」
「なにか問題が?」
「なんて?」
「だから、転職」
「うそでしょ」
「できる人間が、もっといい待遇を求めるのはあたりまえでしょ。会社が困るなら、もっと給料払って引き留めれば良い」
彼の
美容整形外科に来た。
芦屋にある、待合室はすべて個室、そこにある椅子もすべて猫足という、ある意味ブランディングのしっかりしたオール自費診療クリニックである。
「こち